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劣等薬屋は世界を救う  作者:
劣等薬屋 三章 ミライ編
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84.現実と真実

 1人になったおじいちゃんはチームカエデの餌食になり、一方的に雪玉を受けてしまうが雪玉は確かにおじいちゃんの防寒着に当たっているのに一向に黒色から色が変わらない。何かバグっているのだとヴァイオレットさんが審判に説明しにいくが審判は無視していた。


 無視していたというかまるでヴァイオレットさんが目の前にいるのに見えてないようだった。ヴァイオレットさんは何かおかしいと思った瞬間審判の姿がおじいちゃんの姿に変わっていた。ヴァイオレットさんはそのまま姿が変わったおじいちゃんの雪玉を受けてしまい一撃ダウンしてしまう。


 カエデさんはヴァイオレットのいる方向に雪玉を投げミヤおじいちゃんに当てようとするけど雪玉は当たらずミヤおじいちゃんの体を貫通した。貫通された体は透き通るように消えていきシアメルの背後に立つと雪玉でふっ飛ばされるシアメルは何かを悟った。


 状況が読み込めないカエデさんは突然現れるミヤおじいちゃんに向って全力で雪玉を投げまくるがどれも体を貫通して消えていく。だんだんエスカレートしていき、いくつもの場所からミヤおじいちゃんが出てくる。


 もしかして分身を使っているのかなと思って私が観客席から探知を使ったけどおじいちゃんの魔力反応が一切なかった。というかここにはお父様やテッタクさん達がいるのに何故か魔力反応が一個もない。


 すると後ろから足音がした。地面が雪なのもありすぐに気づいたんだけど魔力反応もなければ後ろを振り向いても誰もいない。そう思った時にはおじいちゃんが隣にいた。


 なんでこんな所におじいちゃんがいるの?さっきまでチームカエデと戦ってたんじゃ…と言うとおじいちゃんは私の頬を軽くつまんできた。


 痛いよ…とおじいちゃんに言うとおじいちゃんの姿はそこにはなかった。なかったけど私達はいつの間にか観客席から試合のフィールドに立っていた。


 観客にいる人やお父様、テッタクさんにメイシアさん、チームカエデのみんなが試合が始まる直前の所で止まっていた。何故か分からないけど私だけ動けると思っていたらおじいちゃんが後ろから来た。


ミヤ「大丈夫だったかいミライ、どうやら洗脳から抜け出せたみたいだね。」


 洗脳…それってカエデさん達が私達に放ったいた魔法だよね。その場に幻影を見せて私達を騙していたあの魔法。


ミヤ「もうすぐ動くよ…」


 おじいちゃんがそう言うと突然世界が動き始めた。会場にいたみんなは辺りを見回したり、自身の体をつねって現実かどうか確かめる動きをしていた。


 現実に気づいた者から順に足が震えてコケてしまう。まるで産まれたての子鹿のようだった。


ミヤ「ミライ、今のうちにカエデ達に雪玉を投げるんだ!」


 私はありったけの雪玉をカエデさん達に投げてダウンさせたがカエデさん達はその現実に追いついていないようだった。


ミヤ「これは重症だね。ミライ、危険だから私の近くにいなさい。」


 おじいちゃんは私を自身の近くにこさせると無属性魔法【ワールド・オブ・クリア】と叫び地面に手を突っ込めた。その時突っ込めた手から巨大な魔法陣が展開されて綺麗な光と共にすべてを覆った。私は眩しすぎて目を閉じた。


 おじいちゃんが私の肩を触り目を開けていいよと言うとまるで世界が一斉に動いたかのような感じだった。


 ミヤおじいちゃんと私以外は自身の脳内の現実が新たに更新された事に追いついていなかった。カエデさんが頭を抱えながら近づいて…


カエデ「シアメルの洗脳を塗り替えたよね」


ミヤ「あぁそうさ。」


 シアメルさんが放った洗脳(幻影)はあくまで人間の魔力量の限界まで使ったら会場全体を洗脳できた。けどミヤはその洗脳が自分にかかる直前で新たに世界全体に洗脳をかけた。


 シアメルが洗脳をかけてチームバッファローを追い詰めていたかのように見えていたが、実はミヤが世界全体を洗脳していた為、チームバッファローを追い詰めたことさえ架空の事実になる。


 洗脳は範囲によって解除される時間が短くなるがシアメルとミヤの魔力量は天と地ほどの差があるので問題なかった。そして洗脳の中の世界で本当の現実ではないと悟った時にミヤの放った洗脳から自力で脱出できる。


 けど脱出できない人もいる。その人は架空の現実だと気づかないままの状態で歳をとって架空の現実で突然の死を遂げる。そうならないためにおじいちゃんは【ワールド・オブ・クリア】という洗脳解除の魔法を世界全体に放った。


 試合はミライがチームカエデを全滅させて勝つことができた。優勝して賞品として王国内の一等地を貰うことができたけど、ミライは第一王女なので貰う必要がなくミヤおじいちゃんにあげた。


 その日から世界はだんだん元通りに動くようになり何も違和感がなくなった頃、おじいちゃんはいつもの様にサラおばあちゃんに掴まれながらフェイト病院に行き、カエデさん達の待遇と患者の治療に専念した。


ミヤ(この技を長く使用した場合や抜け出せなくなった場合はすぐに廃人になる。使い方を誤れば…ワールドオブクリアの本当の能力はミライには言ってないんだよね。)




 


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