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劣等薬屋は世界を救う  作者:
劣等薬屋 三章 ミライ編
84/95

82.殴り合いの攻防戦、雪合戦とはなんだったのか

 2人の攻防は長く続いて今30分が経過した。その間は敵味方関係なく暖かいところで両チームは暖を取り2人の戦いの末を待っていた。前世で言う沖縄での闘牛大会の中継を思い出す。引き締まったゴツい牛が激突しあい戦意喪失するまで戦い続けるのは、あの2人に丁度いい例えと言ってもいいだろう。


 両者一歩も引かない殴り合いの攻防はお父様によって止められることになる。というかここにいる人の中でえの2人の間にはいれる猛者はお父様くらいしかいない。2人が大きく振りかざした所をお父様が足技で2人の顔を蹴り気絶させた。


ユウキ「2人ともやりすぎ…どうせ気絶は解かれるんだろうけど数分間は動けないから、闇属性の応用技で毒魔法で2人の体を一時的に痺れさせている。」


 お父様はミヤおじいちゃんとレスダー学園長を止めたかのように思えたがお父様が後ろを向いた瞬間2人の姿が見えなかった。お父様が前を振り向くと2人がそこに立っていた。


ミヤ「忘れたのか息子よ…父の体はほぼ聖属性でできているから状態異常なんて受けることがないんだ。」


レスダー「俺の筋肉がちと太すぎて毒が回らなかったみたいだな。改良の余地があるんじゃないか?」


 2人は平然と立っていてお父様も呆れ顔…試合が進まないと思った時メイシアさんが予め雪玉をポケットに入れていて、それをフリッテさんやタクトさんにこっそりと当てて試合を進めた。


 一緒に暖を取っていたので気づくことがなく白色になりダウンした。雪玉を相手チームに押し当てられるだけでも反応するのでメイシアさんは気づかれないようにポケットに忍び込ませていたのだ。


 時間制限は1時間で今は55分、ユナイテッドの脱落者はレスダー学園長を抜いた4人。もう絶望的な状況に思えたが諦めてはいなかった。


レスダー「ここからが本番だよなミヤ!」


ミヤ「あぁ…そうだな!」


 彼らは戦いたいだけの狂人だった。時間制限が来るまで殴り合いの続きを始めた。一応殴り合いをしている間に雪玉を投げつけようとしたけど2人の熱量に雪玉は当たらず溶けてしまう。


 試合は4対0の判定勝ちで終わった。この事件を聞きつけたサラおばあちゃんが駆けつけて2人の間に入り拳を止めて説教室に入っていった。


 私達は次の試合が始まるまで休憩室のモニターで別のチームの試合を見ることにした。チームバカップルズとチームカエデの2チームが戦っていたが両者共に激しい戦闘を繰り返していたが5対4の僅差でチームカエデが決勝進出した。


 まさかそっちのチームが勝つとは思ってなかった。てっきりお父様の昔のパーティメンバーとチィちゃんが勝つのだとばかり思っていたけど…


 チームカエデのカエデさんが壇上のマイクでこう言った。ミヤさん!貴方が作ったムーフル病院の給与、上げてもらいますからね。ボーナスなんて一度も貰ってないんだから色を付けてくれるって病院のみんなも信じて待ってますから!


ミヤ「あれ…確かに昔ムーフルっていう薬屋を作ったけど病院に関しては関与していないんだけど。」


カエデ「うるさいです、本来であれば聖属性最強の貴方がフェイト病院の医院長にならないといけないのに隠居生活したいからって私に押し付けて来たの…忘れてませんから!」


ヴァイオレット「新規で入って来た医者は誰もポーションを作れないんですよ。ここは学会で作り方をミヤさんが発表するべきです。」


ミヤ「うへぇ…面倒くさ」


カエデ「とにかく!この試合に勝っても負けても後で話し合いですからね!」


シアメル「大将も罪な男だねぇ…フェイト病院2大美人医師をこんだけ誑かすなんて」


ミヤ「シアメル、今はそんな事言うな…」


サラ「誰が誰に誑かすですって…」


ミヤ「サラさん違うんだこれは、シアメルかま勝手に言ったことで」


サラ「自分の事なのに人のせいにするなんて説教が足りてなかったようですね」


 おじいちゃんは更に説教室に連れて行かれた。レスダー学園長と戦っていたときとは裏腹に泣きながらサラおばあちゃんに連れて行かれる姿を見た。


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