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劣等薬屋は世界を救う  作者:
劣等薬屋 三章 ミライ編
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79.疾速の炎龍

 第1回戦はなんか長髪で牙剥き出しの怖いおじさんのチームと戦うことになった。司会者の方が言ってたけど獣人族なんだね、全然そんなふうに見えないけど。

(耳とか尻尾とかないし。)


ミヤ「獣人族は2種類に分類されるんだけどグランフェイムは完全人型獣人族だね。」


 完全人型獣人族。聞いたことある、確か大図書館で本を読んでいた時、人族の姿から獣人になれる隠れ獣人がいるって。じゃあもう一つの獣人族は…


ミヤ「僕がミニャになった時のような獣が2足歩行しているモフモフ獣人族だ。」


ユウキ「2代目の子孫のグラン本人が完全人型獣人族・モフモフ獣人族っていう風に命名したし。」


テッタク「そんな事よりも試合は始まっているんだぞ。」


 そうだった、他愛のない話をしていて負けた…なんて笑いものだ。けど足音1つ立てない敵チームはどこに行ったんだろう。こういう時はおじいちゃんに教えてもらった杖なしでも使える無属性魔法【探知】を使うと目の前まで来ていることが分かった。


 お父様達!もう近くまで来てるよ!


ユウキ「早速獣人になって足音を立てず、尚且つ雪と同化して隠れていたのか。」


メイシア「来ます!」


 私はメイシアさんに抱っこされお父様達はグランフェイムさん達がいる方向に向って雪玉を投げた。雪と同化していた炎龍チームの内1人だけが出てきた。この獣人は狼の姿をしていて、身体強化を使っていたのか投げた雪玉をすべて避けられてしまう。


 また探知に引っかかったので私はメイシアさんに伝える。微かな魔力の動きがこちらに近づいて来る。そして皆がそっちに意識が回った瞬間さっきの狼が勢いよく近づき、手だけ人族にして雪玉を投げる。


 投げられた雪玉は真っすぐにテッタクさんに向って飛んでいったがテッタクさんは降り向こうともしなかった。私が思わず「避けて!」と大声で叫ぶと


テッタク「ミライちゃん大丈夫さ、おじさんは後ろを見ないでも攻撃を防げる。」


 テッタクさんは雪玉が防寒着に当たる直前で無属性魔法「守護者の加護」を発動した。守護者の加護とは1日に数回だけ敵の初撃・不意打ちを防げるチートの様な技でテッタクさんの固有魔法でもある。


 狼はまさか防がれるとは思っておらず突撃してしまった。途中で止まろうとしたがお父様達に囲まれて雪玉でリンチにされていた。



 司会者

 おっと、早速チーム炎龍1人脱落だ!チームバッファローのミライ選手の探知が刺さりまくり、戦況を大幅に変えている!



ミヤ「完全人型獣人族は一部だけを獣人に変えることもできるから、今近づいて来ているのは耳を獣人化させた奴だろうね。」


ユウキ「場所が大体バレたとしても同化しているから動かなければあっちが有利。」


テッタク「かといってこのまま膠着状態が続いても意味がない。」


 私達がどうしようか悩んでいるとミヤおじいちゃんが良いことを思いついたそうで大きく息を吸って目の前の雪に向かって息を吐いた。その吐いた息は風魔法を凌ぐほどの威力で周囲の盛り上がった雪を平らにしてしまうが、同化していた獣人達がはっきり見えた。


ユウキ「ナイス父さん」


 テッタクさんとメイシアさんが急いで雪玉を作り出していたので私も一緒に作った。お父様が私達が作った雪玉を宙に浮かせ魔法のように飛ばしていく。飛ばす方向はランダムにしていて敵に悟られないようにしている。  


 尚且つ雪玉1つだけ本命でいくつものランダムに投げられた雪玉の内その1つの玉だけグランフェイムさんに向かっていく。


 グランフェイムさん達もそれに対抗して3人が雪玉を作り出して、全部グランフェイムさんがランダムに投げられた雪玉を弾き返すように正確に投げていく。


 雪玉が防寒着に当たれば色が変わるのは知っているよね。だけどあくまで一般人が投げて当たったら色が1段階変わるっていう感じだから、一般人じゃない人が投げた雪玉に当たれば一撃でダウンすることもある。


 それを知っていたのかミヤおじいちゃんは皆が戦っている隙を見て大きい雪玉を作っていた。それに気づいたグランさんだったけど気づいた時には目の前に巨大な雪玉が投げられていた。


 グランさん以外がダウンしていった。グランさんは一瞬で足を獣人化させて難を逃れて生き残った。だけどもう遅い、私達が沢山雪玉を作っていた手を止めて投げる方に専念。そしてお父様はミヤおじいちゃんが作り出す巨大な雪玉を宙に浮かせてグランさんに投げ始める。

 

ユウキ「一国の王が逃げてばかりだとはこれいかに?」


グラン「本当にお前って昔から畜生な奴だよな。」


 グランさんはだんだん息を切らせ地面に倒れてしまう。そんなことはお構いなしにお父様とテッタクさんは倒れたグランさんに向って沢山雪玉を当てまくった。

 

 グランさんは体力が尽きて倒れていてダウンになったが、ダウンになってもお父様とテッタクさんに雪玉を当てられ続けていたので動けないながらも怒鳴っていた。


大衆「うわぁ…あれが人のやることかよ。よりにもよってうちの国の王が…」


 私もグランさんに同情する。


ミヤ「因みにミライがボウボーンにやっていた卑劣な行為の時の僕の気持ちもこんな感じだよ。」


 え…私ってこんなことしてたの。だからおじいちゃんやマルティアさんがあの一件以降私のこと引いていたのか。前世では自分の事を分かっているつもりだったけど感情や欲って人をここまで駄目にするんだと今一度わかったような気がする。


ユウキ「グランよ、どうだ!」


テッタク「いつもは一匹狼みたいな感じだしてるけど、仲間が倒れたらヤケになる仲間思いのいいやつだよな!」


グラン「それ以上いうな!」


 私達は1勝した。次の対戦相手は私達の試合を見て棄権したという。だから実質次勝てば決勝戦だけど…


レスダー「やっぱりお前らが来たか」


 (ですよね…何かわかってました。やっぱり強者がいるところに強者は集まるって言いますもんね。) 

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