75.冒険者の勉強会
冒険者ギルド本登録まで魔法研修のみとされていたのだが実習の方は前回の清掃でよく分かったので、簡単な初級魔法と注意点や人間としての心について学ぶことになった。
初級魔法として例を挙げるなら[灯火]・[ウォーター]・[ウィンド]があり、これらの誰でも使える魔法を生活魔法という。生活魔法は資格も必要なく家庭で自由に使えるが悪用は禁止されている。
トーチは火を指先に出す魔法で物を燃やしたり火を付けたりすることができる。洞窟などに潜った際に光源として役に立つので絶対に覚えておくと良い。
ウォーターは手から水を噴射する魔法で飲水としても使える。遭難や砂漠探索するには絶対必要だ。
ウィンドは手のひらから風を出す魔法で威力はそよ風程度で物を乾かしたりするのに重宝されている。王国の洗濯屋や掃除屋は全員この魔法を使っている。
他にも生活魔法はあるが主にこの3つを覚えると良い。
続いて攻撃の初級魔法について話そう。「火球」・「水閃」・「風切」の3つが簡単な攻撃初級魔法である。
火球は火の塊で魔力を注入すると大きくなるが小さい程スピードが高いため、あまり大きすぎても敵に当たらなければ意味がない。
水閃はウォーターの威力を強くしたもので魔力を注ぐと威力が上がりスピードが増すが魔力消費量が激しいので威力を強くしたい場合は一瞬だけ放つとよい。
風切はウィンドと違って物や人を切ってしまうのでただのウィンドの上位互換などと思わないでほしい。威力は木を深く切り刻み、最大20m飛ぶ。弓で戦う際もっと遠くに飛ばしたいと思ったら風切などの風魔法を付与すれば2倍ほど遠くに飛ぶ。
先生ちょっといいですか?
マルティア「はい、なんでしょうアズサさん?」
魔力は生まれたときから自然と持っているけど魔力を持って生まれなかった人は居るんですか?
マルティア「それは…」
ミニャ「いるニャ」
魔力というものは血液の様な物と今の人間は定義していて生まれた時に魔力があり、どれかの属性に特化しているニャ。特化しているからといって魔力があれば他の属性も使うことができるけど、特化した属性と比べればどんなに育てても弱いニャ。
だから魔法を極めている人達は1つの属性だけでなく全ての属性を満遍なく鍛え上げているニャけど、生まれた時から魔力を持たない人達もいるニャ。
持ってないからといって差別される事は一切ないニャ。だって5歳児頃に教会で洗礼があって職業に適した属性を付与されるニャけど魔力を持ってない人がいたら洗礼を受けずに育ってしまった人だニャ。
洗礼は誰でも受けられるわけではなくて最高15歳未満の子供までとなっていてそれ以降は洗礼ができないニャ。
洗礼はつい最近出来たばかりだから今15歳超えている人達には申し訳ないニャ…
そうなんだ、まぁ私は見た目15歳以上だけど中身は4歳だからあと1年後か…何の職業になるんだろう。けどさ、気に入らない職業があったらどうするの?
マルティア「職業だけであれば洗礼でなくても変えることができます。あくまで洗礼は職業+魔力を授かるという感じなので。」
ミニャ「職業を変えたかったら今の職業のレベルを30まで上げて上位職業に昇格できたら変えれるニャ。」
だったら農業から剣士や魔法使いになれるって事でいいの?
ミニャ「職業にはすべて分岐があって農業から剣士になるには職業変更を2回くらい繰り返せばなれるニャ。」
てことは元々の職業で30、職業変更2回だから60…最低でもレベル90上げないといけないの、大変すぎるよ。
ミニャ「そうでもないニャ。職業によっては1レベル上げるのが簡単な職業もあるニャからそんなに時間は掛からないニャ。」
マルティア「ミニャさんは初心者レベル上げキャンプをしてますよね、アズサさんも参加されてはどうですか?」
初心者レベル上げキャンプとは…某天空ダンジョンに潜って某侍と無理やり戦わせられて死んでも回復を繰り返される地獄のキャンプである。ミニャが聖属性を持っているので今まで死人が出たことない。
そのキャンプで最終日まで残っていたものは現役で活躍している人達が多いのでミニャは冒険者ギルドでは「先生」か「死神」のどっちかで呼ばれている。死神に関しては最終日まで残れなかった人(脱落した人)が勝手に呼んでいる。
ミニャ「アズサはアズサなりにやりたい事があるから強要はしないニャ。」
私は無事魔法研修を終えた。因みに人間としての心の授業は初心者レベル上げキャンプで鍛え上げることができるのでいつでも来ていいと言われたが内容を聞くだけで行きたくないので精進するように心がけた。




