72.小さなお姫様は城を出たい
おじいちゃんの提案はこの城を出て城下町に行くという事だったんだけど城の警備は万全で逃げ道などないと思っていた。
おじいちゃんの提案を受けたその日の夜にまたおじいちゃんが部屋に来るが姿が変わっていた。その姿は猫の獣人で声はおじいちゃんそのままだった。
(可愛い!私猫飼うの夢だったんだよね。前世はPCが私の恋人…なんて苦労してたけど家に帰ったら欠かさずYouTubeで推しの猫動画見てたくらいだし。)
ミヤ猫「一応この姿でも念話できるから注意してニャ。」
おじいちゃんは無属性魔法で自分とそっくりな分身を作って寝かせておいて自身は固有魔法の変幻を使って猫の姿になったんだって。
ミヤ猫「とりあえず早朝に決行するニャ。」
早朝…
おじいちゃんの言われた通り無属性魔法で分身を作ってベットで寝かせたけど寝てるだけじゃバレるよね。
ミヤ猫「その心配はないニャ。普段通りの生活を真似て動いてくれるけど剣術訓練や勉強とかは本人よりもステータスが大分落ちるから、そこが感づかれないかが心配ニャ。」
大丈夫だよおじいちゃん、剣術も勉強も全くできないからバレないよ!
ミヤ猫「そんなはっきり言わニャくても。そうだ、僕の名前を呼ぶ時はミヤと猫を掛けてミニャと呼んでくれ。」
わかったよミニャ、早速この城を出たいんだけど警備の目を掻い潜るにはどうすればいいの?
ミニャ「そんなの簡単だニャ窓の外から落ちるだけにゃ!」
何言ってるのおじいちゃん?ここ3階だけど歳逝っちゃって頭おかしくなってしまったんじゃないの?
ミニャ「誰もミライを3階から落とそうとしてないニャ。とりあえず僕の手足を全部掴んで飛び降りてみてニャ。」
私は恐る恐る窓を開けて下を見る。私は前世でも高所恐怖症だった為下をみ見ただけでも足が震えて中々落ちることができなかったのに、ミニャは
ミニャ「さっさと降りるにニャ」
尻尾で私の背中を押して3階からダイブした。私の人生これで終わりなの…いやだよ。
そう思って目を開けるとゆっくりと落ちていくのが分かる。私が上を見るとミニャの体が気球みたいに膨らんで風の抵抗を抑えていたのだ。
ミニャ「ゆっくり落ちるけど方向は決められないからよろしくニャ。」
そうミニャは言い舵取りは私が担うことになった。ミニャを前に傾ければ前に進んで、後に傾ければ後ろに行くみたいな簡単な操作だったのだけれどこれだと城門に届かずぶつかってしまう。
ミニャ「そんな時は僕の手足を掴んでる手から灯火を出して高さを調節するニャ。僕は姿だけじゃなく形状や物質の変換ができるからこんな芸当ができるけど真似したら危ないニャよ。」
私はそっと火を出して高さを調節していき城門を抜け城下町にたどり着くが着いたは着いたでどうしよう。
ミニャ「どうしたニャ?」
私城の外には行きたいと思ってたけど城の外に何があるのか1ミリも分からないの。
ミニャ「そんな心配は要らんニャよ。冒険者ギルドに行けばこの王国の地図を無料でもらえるニャ。」
その肝心な冒険者ギルドが見当たらないんだけど…探せってことなのかな。精神年齢は20代超えてるけど体は4歳なんだから体力の限界があるっていうのに。
ミニャ「そんな時は僕の上に乗るニャ。」
ミニャは体を大きくして私が一人乗れるくらいになり私を背中に乗せて走り出した。
(えぇ…猫ちゃんが大きくなっちゃった、なんだろうこの触り心地といい毛のモフモフとした感じ。猫の背中癖になりそう。)
ミニャの上に乗った私は冒険者ギルドに向かった。通り過ぎる人たちは私達を不思議そうに見ていたが王女だって気づいている人はいなかった。
ミニャ「認識阻害をミライに唱えているからただただデカい猫が走ってるだけに見えるんだニャ」
(それはそれで大分おかしいような…)
私は冒険者ギルドに着くとミニャは体を縮めて2足歩行になった。異世界系の冒険者ギルドはガラの悪い人達が居て新人いびりがあるのが一般的だけど、それは地方の冒険者ギルドなだけあって王国本部の冒険者ギルドは豪華というよりは質素な感じで静かだった。
ミニャ「この姿のままのミライだと冒険者になれないから自身の姿を変身させるニャ」
私はミニャから早速新しい魔法【変身】を教えてもらった。




