70.生まれる次の世代
僕とレベッカの間に1人の子供が誕生した。勇者である黄金に輝いた瞳と魔族特有の魔力量を誇る魔眼の瞳、どちらも受け継いだこの子の名前は父と母の名を貰い「ミライ・フェイト」と名付けられた。
私の名前はミライ・フェイト、フェイト王国の第1王女なのだが私には生まれる前の記憶がある。生まれる前は病院で働いていてそのまま過労で倒れてしまったとこまでは覚えているのだけど…これってまさか転生!
もしかして魔法とか使えるのかな?だけど今は言葉も話すことができない赤ちゃんだし…あぁもう、やりたい事がありすぎるのにもどかしすぎる!
レベッカ「どうしたのミライ、そんなに泣いていて。怖い夢でも見たのかしら。」
この人はレベッカ・フェイト。この国の女王陛下である。綺麗な髪色…紫の光沢は異世界でしか見れない…本当に私転生したんだ!
ユウキ「レベッカ入るよ」
今入ってきたこの男、この男こそこの国の王ユウキ・フェイト。綺麗で澄んだ青い瞳で何たる美形な事…さすがファンタジーな世界だね。
ユウキ「ミライは初めてのお客さんかもしれないけどちょっと待っててね。」
なになに、私の専用執事でもくるの?できればメガネを付けていて真面目な男性がいいわ。それでいてどこかお茶目なところとか、まさに乙女ゲームをやり尽くした私の願望ではあるけど。
そう思っていたら…
ユウキ「ミライ、君のおじいちゃんを連れてきたよ。」
車椅子に乗っていた1人の男性…っておじいちゃんなの!?どう見てもピッチピチの20代にしか見えんのやが。でも私はおじいちゃんが動いていないことに感づいたと共に脳内から声が聞こえてきた。聖属性付与?なにそれ。
もしかして異世界転生の特典か何かなのかな。赤ちゃんにして早速チート能力もらったと思い興奮していたんだけどやっぱり赤ちゃんだからはしゃぎ過ぎると寝てしまった。あぁもういいとこだったのに…
ユウキ「何かミライと父さんが通じ合ったように見えた。」
レベッカ「私も薄っすらとだけど義父様がミライに何か渡す様に見えたわ。」
ユウキ「父さん…」
ユウキは城の中を眠ったままのミヤの乗った車椅子を前進させた。父さん見ているかい、父さんが頑張って作った城は今も僕らを支える大事な家になったんだよ。父さんの真似をしてお風呂は浄化効果のある温泉にしてみたんだ。
王族用兵士用とか気難しいことは無しにして大浴場にしたんだけど、そっちのほうが父さん気に入るんじゃないかって思ったんだ。サウナでは温泉街みたいに我慢大会が行われて僕は最初に脱落したけど父さんなら一番長く耐えることができると思うんだ…
父さんの故郷にも行ってきたんだよ。サクラさんって人美人だったけどよく告らなかったね。父さんならすぐにでも結婚する…とか言いそうなのに。
予言は絶対じゃないけどさ…ミライも生まれてさ…今順調に進んでるんだよ。
父さんはいつまで寝てるのかな…生きているうちに起きるとは言っていたけど僕が死ぬって位の歳の時に起きるってのは無しだよ。僕だってまだ親孝行とか出来てないし父さんに教わりたいこといっぱいあるし…
ねぇ父さん、起きてよ…




