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劣等薬屋は世界を救う  作者:
劣等薬屋 二章 王都奪還編
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63.魔王の過去

 我…私は…魔王と人間の間に産まれた魔族だ。父は魔物を統べる魔王であり私の憧れだった。家族仲も良く人間とのハーフだからと虐められることもなかったが悲劇は訪れた。


 いつもの様に母と花を摘みに魔王城内の庭に出向いていたのだが、魔王城付近でよからぬ噂が出回っていたのを城内でも聞いてしまった。10日ほど前からスライムが生息する村が謎のゴーレム集団によって崩壊されていたのだ。続いてゴブリンの里やマーマンの巣といったように次々と魔王戦力の魔物達が殺されていった。


 噂がどんどん大きくなるにつれ城内の魔族も戦争の準備をしていた。私は父である魔王に直接この状況を聞くと私は驚愕した。私が幼い頃から教育されていたのがこういう内容だった。



 この世界には魔族と人族が存在していた。魔族は人族の成れの果てと馬鹿にされ攻撃の対象にされていた。魔族はそれに対抗する為魔物を統治して1つの国を作る。邪悪な人族を倒すべく我々魔族は立ち向かうのだった。


 けど現実は人族は魔族に異形差別などはしていなくて1人の人間として接していたが、それを嫌がった魔族が魔物を率いて人族の村や国を滅ぼしていく。


 私は洗脳教育をされていたことが明らかになった。私は急いで母に伝えようとしたが母は聞く耳を持たなかった。どうして人族である母が魔族に対して何の感情も持たずニコニコとしていたのかがよく分かった。母も私が生まれる前からありとあらゆる方法で洗脳教育をされていたのだ。


 私は気が狂いそうになり吐き出すと、母はニコニコしながら私を助けようとしたが、その笑顔が不気味に思えて私は母から逃げ出した。私が城から抜け出して走り続けると城の方面から爆発音が聞こえた。


 少し心配になり戻って見ると城門が吹き飛ばされていて、そこには4体のゴーレムの姿があった。もしかしてあれが魔物の村を次々と襲った集団なの…。そうであれば母が危ないと思い裏口から城に戻り母のとこまで走り出した。


 ゴーレムは城内の魔族を容赦なく殺して回り始める。武器を持たない者やただ働いていた者を善悪も分からないゴーレムは魔族という一括りの存在として殺していった。


 魔族の中でも優しい人はいた、人族を嫌う魔族でも私の事を恨む魔族はどこにもいなかった。本当だったら皆人族と仲良くしたいと思っているのだけど…あの魔王が民にまでも洗脳しているから抗えない。


 魔王が城から大きい魔法陣を出すと、民の目が赤く染まり隠していた角が飛び出して意識を保てなくなっていた。それに抗おうと堪える人達もいたが願わず人族だけを殺す殺戮集団になっていった。


 隠れて城に向かう私だったけど魔族に見つかり追われてしまう。その時剣を持ったゴーレムがかつての民だった魔族を真っ二つに切り裂いた。助かった気持ちもあったけど魔族を助けれなかった気持ちにもなっていた。


 ゴーレムは人族である私を置いて魔王城に向かう。魔族は魔王を守るべく立ち向かうがゴーレムの連携…いや、圧倒的な強さに何もできず死んでいく。私は足が竦んで動けずの状態になって、ただ城内が落とされる状況をみていることしかできなかった。


 魔王は空高く舞い上がりゴーレムと接戦する。魔王の攻撃をいとも簡単に跳ね除けるゴーレム集団は解除数秒で魔王の首を取る。その後魔王城は陥落した。


 足は震えていたが立てる状態になると少しずつ崩れた城まで歩いていった。城壁を伝って歩いていた私に待ち受けるのは母の亡骸だった。


 私の何かが壊れてしまい人族を殺そうとする感情が芽生え始めた。あのゴーレムに復讐しようと考えた私は魔王(父)の鎧を全て剥ぎ取り私は装着した。多少大きい鎧だったので魔力で埋め合わせてどことなく魔王(父)と同じ体型に合わせることができた。大分時間は掛かったが魔王復活(仮)する事ができた。


 どうしてこれをするかと言うと魔王が人族に敗れたとなると魔族や魔族の意思が弱まり統率が取れなくなる。だから人族の襲撃に遭ったが魔王は生きていると証明しないといけなかった。私が父である魔王に成り代わって人族を倒す者として、それに魔族や魔物に気づかれないように振る舞ってきた。



 私は魔王として国を統治する王として魔族を守る義務がある。なので各地から選りすぐりの魔族を呼び出し、強さ順で位を付けることにした。


"公爵"剣聖ツヴァイ

"侯爵"血月姫

"辺境伯"絶壁アルス

"伯爵"ダンカッチーナ

"子爵"マエストロ(2代目)

"男爵"シノ


 公爵から辺境伯の3人は参連星と名乗る事を許し、私の補佐をする優秀な部下になった。他の伯爵から男爵は各地の魔族と魔物の指揮を取り人族に立ち向かう準備をお願いした。


 そして時が流れついにその時が訪れた。私は「(われ)」と一人称を変えて命令を下した。男爵シノは我の魔力を敷き詰めた竜を人族のいる王都まで連れていき、竜を爆散させてくるのだ。その際貴様は自分が死んでもいいと考えるのではないぞ、自身の命を大事にして行動しろ…と魔王らしからぬ言動で命令した。


 魔王の中が私であると気づいているのは幹部の公爵から男爵までの6人しか知らない。実はこの6人を選んだのにも理由があって皆魔族と人族のハーフなのだ。同じ気持ちを持っている者同士だった故、男爵に下した命令もあやふやだった。


 竜は王都に爆散して王都を陥落することに成功したが男爵は巻き込まれてしまいこの世を去った。私は自分のやった命令だったのでそうなるのではと思っていたが現実を受け止めきれなかった。他の魔族も私のせいじゃないと慰めていた。


 次の作戦として王都と同じくらい大きな都市であるリンガルを落とすべくリンガル学園の生徒として紛れ込ませたがマエストロも倒されてしまう。何を焦ったのかダンカッチーナを世界樹に住むエルフの里を襲わせるよう命じたが、謎の男によって倒されてしまう。


 男爵シノが陥落させた王都を乗っ取り計画を進めていたが城外で怪しい動きが見えた。人族が王都に向けて前進していたのだ。私は慌てて魔物を出して血月姫を含めた魔族軍で対抗軍を作り人族と戦う。


 互いに消耗していくが人族は諦めたりはしなかったせいで約3年もの間戦いは続いた。この時にマエストロと少し経ってダンカッチーナの死を確認する事になる。

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