62.魔王との決戦
ドス黒いオーラを放つ魔王に近づくことができないユウキ達は精神を保つ事で精一杯だった。唯一の希望である勇者の力である剣はまだ光らずその時ではなかった。いくらミヤが強くても光属性しか魔王に攻撃は通らないので本当にユウキだけが頼りだった。
ここで軽い陣形説明をする。
前衛は勇者であり、決定打となるユウキと大盾で攻撃を防ぐドルトンとサブアタッカーとしてマテラがいる。
グランフェイムはユウキ達より少し後ろで隙を見ながらシルフィと共に魔法を打ち込みサラはグランフェイムとシルフィの魔法補助をする。
ただでさえ精神異常の魔法が永続的に魔王から放たれているこの空間での戦いは困難を招いた。
魔王がユウキ達を指差すと、魔王の周りの空気が割れた。割れた所から黒く染まった火球【獄炎火球】を放つ。獄炎火球は青炎烈王と同じく火属性の超上級魔法で1つの火球から数発のビームが飛んできて、その炎に触れてしまったら身体が燃え尽きるまで消えることはない。
危険を察知したミヤがドルトンに指示を出し大盾を構えて、シルフィが精霊の息吹を放ちグランフェイムが魔力結界で更に固めた。ミヤはグランとシルフィの背中に手を置き魔力を注ぎ補強する。
ヒビは入ってしまうが耐え凌ぐことができたが間髪入れず次の獄炎火球が放たれる。ミヤの魔力は無限に等しいが有限であるためこの攻撃を何度も防ぐ為魔力の注入を行うと自身の生命力の維持ができなくなってしまう。
だがそれも計算内であり、2人の魔力補充を行いながらシルフィの精霊の息吹で少しではあるもののミヤに魔力補充されていく。
攻撃が止まったが、守りに入っていたものは疲れ果てていた。その時にサラさんが全体に回復魔法を掛けて復活する。全員に負担は掛かるものの確実に倒せるだろうとミヤが考えたゾンビ戦法だ。
攻撃を止めた魔王に近づくユウキとマテラ。魔王は植物のツタを出してユウキたちを絡み付ける。絡まったツタを切ろうとしても中々切れないのでミヤが解析するとアダマンタイトという硬い鉱石で出来ているツタだった。
勇者の剣はまだ反応がない為このままではツタによって握り潰されそうになったがグランフェイムが獣人化した。獣人化(狼)したことによって微かな光属性は活性化して目に見えるくらいになった。
獣人化したグランは魔王のツタを切ると同時にユウキ達を助けて後方のサラさんの方まで連れて行く。短い間だったが魔王のオーラを纏ったツタに犯されたユウキとマテラはサラさんが回復していた。
魔王はツタを鋭くしてミヤ達を突き刺そうとするがドルトンが大盾を構えて対処するが1人で抑えきれず倒れてしまいそうになるが獣人化しているグランがその盾を一緒に支えて攻撃を防ぐ。
ミヤはその隙をみて魔王に飛びかかる。途中鋭いツタがミヤを襲うが全て避けて魔王の懐までたどり着き顔面に回復飴を叩きつけ、後退する。
回復飴というのは携帯式リジェネフィールド(半径2m)君と同時発売しようとしていた舐めるだけで回復する携帯式5個入銅貨3枚の回復薬だ。これをポッケに大量に持っていたので全て魔王の顔面に投げつける。いくら光属性しか効かないとは言え、元が魔物だから聖属性も少し効くんじゃないかと思ったので行動に出た。
飴玉は魔王の鎧の仮面の隙間に入っていったが何も起こらなかった。ミヤは不思議そうに魔王を見つめていたらとんでもない事を発言する。
「これは回復薬か、舐めれば舐めるほど回復していく有能な薬だな。魔物には効くのかもしれないが、我がいつ魔物だと錯覚していたのか分からん。2代目魔王である我は人間だ!」
魔王は言う初代魔王と人間の間に産まれた子供が2代目魔王であると。魔王は攻撃を続けながら自身の過去について話す。




