表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
劣等薬屋は世界を救う  作者:
劣等薬屋 一章 学園編
51/95

49.巨大ゴーレムVSサンドワーム・マザー

 僕にいい作戦がある。このまま飲み込まれるのであればここでサンドワーム・マザーを倒す、これが生き延びることができる唯一の策だ。


 けど父さんマテラがいないよ。まだ体内にいるかも知れないから…


 マテラならドルトンにずっとしがみついたままだぞ、多分オアシスで支度してた時からずっと背中に引っ付いていたんじゃないのかな。


 今はそんことよりも水魔法を僕に放ってくれ。そうすれば対処できるかもしれない、対処した後は僕の指示に従ってくれ。


 

 父さんの言う通り僕らパーティと冒険者達は水魔法を父さんに向けて放った。父さんは地面の砂を体に吸わせて吸収し、水魔法の水を砂と混ぜて粘土を作りあげた。


 その粘土は次第に大きくなり、今向かってきているサンドワーム・マザーの口よりも大きくなっていった。なんだろう、粘土がこねられて形が出来上がってきたけど姿が子供用玩具のそれ(ロボ)だった。


 超巨大ゴーレム「ドレイク号」出動!!


 父さんゴーレムはその大きな体を使い走って行く。なんでだろう、ダサいと思うのに男心がくすぐってしまうこの感じ。サンドワーム・マザーの突進をドレイク号は手で受け止め、背中に付いているマフラー1本1本から風魔法+無魔法のブーストを重ねがけして更にサンドワーム・マザーを押し返していく。


ゴーレム「今止めている中に奴の核を皮膚から探せ!核がある部分だけ他の皮膚の色と違うから分かりやすいはず」


 今サンドワーム・マザーの進行が止まっている隙に僕らパーティと冒険者達は核を探し回った。これだけ大きい魔物だから探すのだけでも一苦労だ。


 そうこうしている内に段々サンドワーム・マザーが進み始めた。それは父ゴーレムのドレイク号がマザーの進行を止められなくなる危険信号だった。


ゴーレム「ドルトン…探知だ、探知を使え。この魔物の魔力は全て核にある。デカい魔力反応があればそこにある。」


 ドルトンは探知を使い探していくと父ゴーレムの言った通り1つだけ魔力反応が桁違いの場所を見つけることができたが、それと同時に複数体こちらに向かってくる反応がある。マザーの核を守ろうとする為に来た数十体のサンドワームと複数体のサンドワーム・ロード達だった。


 ドルトンとアルキラと(ユウキ)は核を急いで引き剥がすために魔法を唱え斬りかかる。マテラとシルフィ・クリスは他の冒険者と共にサンドワームの大群の退治に専念。


 マテラ

 さっきまで暑くてへばってたけどここから俺の見せ所ってわけだな。黒業赤雷からの黒赤雷甲!!


 マテラ達は大丈夫そうだ。問題はこの核だろう。確かに核は見つけ出したけどサンドワームの元々の皮膚が硬くて剣が入っていかない。その間にマザーは進行し続け、ドレイク号が押し負けようとしていた。


 そんな時勇者の剣が光りだした。いつも魔物と戦う時はそこら辺にある剣くらいなのにこんな時だけ光るんだろう。でもこの状況はケカゴン島のドラゴンと戦った時と似ている気がする。


 もしかして勇者の剣の発動条件は魔物を倒す為ではなくて、人々の苦しみや悲しみ・僕(勇者)に対する希望がこの剣の力を引き出す条件だったのか。勇者という宿命が重い事はみんなも知っているけど、どこかでは勇者が助けてくれる事を信じてる。


 その信じてくれている人の為に僕は使うよ。ドラゴンの時にはパニックになっていたから、どういう攻撃魔法だったのかどんなに名前なのか分からなかったけど今の僕なら分かる。


 【勇者ノ軌跡(ビクティニー・ロード)


 歴代の勇者の魂を現代に蘇らせて戦う光属性魔法攻撃の1つ。その攻撃方法は複数あり、魂を具現化して僕を含めた歴代の勇者8人で斬り刻む攻撃と勇者の魂を剣に吸収させて、一瞬ではあるものの爆発的な火力になる攻撃等があるが…


 今の状況的にマザーごとぶった斬る火力が欲しい。僕は剣を空に掲げると歴代の勇者は一人一人剣に吸収され、その度に剣は光と共に大きくなっていった。7代目が最後に吸収されると僕はその剣を核目掛けて思いっきり振った。


 【勇者ノ軌跡・天空破斬(スカイ・ルミナス・パニッシャー)


 勇者の剣は核を壊してマザーを叩き斬った。その勢いは凄まじく砂漠を空を割るほどの威力だった。マザーの進行は止まりボスが倒されたからかサンドワーム達も帰っていった。


 初めて天空破斬を使った反動で身体が動かないが、そこには歴代の勇者達が僕を祝福してくれている姿が見えた。あなた達のお陰でまた助かりました、ありがとうございます。


 その後僕は寝たっきりで3日ほど経っていたらしい。その間に行方不明になっていた冒険者達を父ゴーレムが転移でリンガルまで連れていき報告して、僕は家で見舞いという形で皆に見守られていた。


 ねぇ父さん、聞きたいことがあったんだけどいい?


 答えることが出来る事ならいいよ


 なんで天空ダンジョンの半分もいかない所であんな魔物がでてきたの?サンドワーム・マザーって伝説級の魔物なんだよ。そんなのが大陸の砂漠じゃなくてなんでダンジョンの砂漠にいたの?


 それは…


 なんでだろう、僕が質問したら父さん(本体)の汗が止まらなくなった様に見えた。もしかしてまた父さんが絡んでるんじゃないかと思い、母さんとシルフィも呼んだ。


 父さんは口を閉じようとしたけど母さんの前では無力同然。塞がった口を力でこじ開け何があったか洗い浚い話すよう言った。父さんは縮こまってこう話す…



 普通のダンジョンは攻略後に入り口に戻れる魔法陣や道があるんだけど天空ダンジョンはそういうのはなくて、来た道を戻らないと行かなかったんだ。天空ダンジョンの頂上つまり50階のボスを倒し終わった時、すぐに魔石をアイテムボックスに入れずに急いで家に戻ろうとしたら


 地面に転がっていたサンドワームに足が引っかかってズッコケた後、50階層の天空ダンジョンのラスボスの魔石がスルスルっと砂漠の中に入ってしまった。僕は急いで家に戻らないと皆に怒られると思ったから魔石を掘り起こすのを無視してきた。


 多分その魔石をサンドワームが食ったことでとてつもない魔力を手に入れたことにより、通常では進化できないサンドワーム・マザーまで進化したんじゃないかなぁ…(チラッ)


 

 それって父さんが犯した罪を僕らに擦り付けて無かったことにしたかっただけ?それだったら行方不明になった冒険者の加害者は父さんってことになるけどいい?


 サラ

 また人様に迷惑かけてたのか、このバカ夫が!どれだけ巻き込めば済むんだ。冒険者の方々も行きていたから良かったけど死んでいたら処罰されてたかもしれないのよ。


 シルフィ

 お母さんが見せたことのないような怒鳴り声でお父さんを叱っていたけど、やっと皆が揃ったことに嬉しくて今は何も聞こえないや。


 あぁ、また父さんが絡んでたのか。この人はまったく。僕達がその後上に登って50階まで来てたらなんて言い訳するつもりだったのか聞こうとしたけど…今の母さんと父さんの間に入るのは勇者であっても勇気が出ない。


 





 

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ