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劣等薬屋は世界を救う  作者:
劣等薬屋 一章 学園編
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45.ラスサムの正体

 根気強い方がこの戦いの勝者になるだろうな。魔力で押し潰すマテラか、魔力切れを狙うラスサムか…面白くなってきたな。


アルキラ「今手出しするのは場違いかもしれないのですが、私の氷魔法でラスサムの足元を氷に変えてスリップさせれば良いのではと思ったのですが。」


 そうだね、それは悪手だよ。せっかく意気揚々と戦って皆に修行してカッコよくなった自分をアピールして何だかんだ倒せそうな所まで言っているのに手出しされたら嫌だと思うよ。けどアルキラが言っていることは正しい。スリップさせたら普通に倒れて普通に黒赤雷甲を受けて倒れるね。


 まぁここはマテラの顔を立てると思ってさ、見ていてよ。一応君たちのパーティのアタッカーでしょ?あの子も色々と抱えているんだよ、皆に追いつく為にはどうしたら良いだろう。ユウキは勇者になったから前衛は要らなくなってしまうから…なんて考えているのかもね。


 マテラの脳内

 早く助けろよお前ら!なに飯食って倒せそうなこの状態の時になっても動こうとしないんだよ!こっちは新しい魔法を見せてカッコよくボスを倒そうと思ってたけど、自動反射ってチートじゃねえの?俺の強化されたスピードに追いつくし、今だって魔法を剣で防ぐとか意味わからない事してるし。


 確かにこのダンジョンに入って消化不良なとこも多少あったよ。けどさ今そういうのじゃなくない?ボスだよ、そこら辺にいた雑魚の大蛇じゃなくて皆で力を合わせて戦うボスだよ。ミヤさんもさ「僕は分かってますよ感」出してこっちを見てるけど何も共感できねぇって。


 ああ…ヤケクソだこんちくしょう。俺がここで倒れてめ知らねえからな。


 【黒赤雷甲ダブル】


 マテラは上から放った黒赤雷甲とは別に横から左右に黒赤雷甲を放つ。上を受け止めていたラスサムは防ぐ事が出来ず左右の攻撃を受けてしまった。何やら雄叫びを上げて攻撃を耐えているように見えるが、そのゴーレムの人体も直にヒビが入って壊れるだろう。


 マテラは顔から汗が出て、意識が朦朧としていたけど、それでも全力を出しきった。人工魔力生物「古の侍」ラスサムは魔力を失い身体がボロボロになって崩れた。その瞬間マテラも魔力切れで倒れてしまうがギリギリ勝利することができた。


ユウキ「壊れる時にゴーレムの顔を見てみたけどあれって父さんの顔ににていたような」


シルフィ「そう言えばこのダンジョンに凄く詳しいよね。ラスサムの動きとか魔法とか私達が知らないことばかりだったけどペラペラと話してたよね。」


ドルトン「そもそもダンジョンの解説をする時点で違和感があったんですがこれはいったい…」


 先程まで解説していた父ゴーレムは一言も話さなくなった。何故だろう…僕はゴーレムなのに変な汗が流れてしまう。ネックレス型の僕をシルフィが外し、地面に叩きつけると魔法を構えて尋問してきた。僕は正直に答えた。


 勇者の参拝の時に寄ったダンジョンがここであり、攻略しているからダンジョンの魔物の解説もできる。弾丸スライムの様な雑魚は一定時間立つと復活するけどボス系は復活しないんだ。だからここのボスは初代勇者パーティの戦士を置くことにした。


 と言っても魔力切れで一度壊れたゴーレムだから改めて作り直すと弱くなってしまったが、シルフィ達だったら丁度いいだろうと思い放置することにした。この事を説明すると他のみんなや先ほどまで意識がなかったマテラも起き出して僕に向かって一斉に魔法を放った。


 呆れた勇者ユウキパーティ一行はマテラ回復の為にも次の階層のセーフティエリアで休息をとる。その日の夜シルフィはセーフティエリアを外れて1人歩いていた。幸い弱いモンスターばかりだったので危険はなかった。


 

 はぁ…こんな事知っていたなら5階で止めていたよ。今が20階で、もう少しで半分のとこまでついたけどあんな事言われたらやる気も無くなるよお父さん。


 すまなかった…事前に言っておけば良かったんだろうけど楽しそうでつい…。



 ねぇお父さん、本体のお父さんは今何してるの?ここのダンジョン攻略した後は何処に行ったの?1年間会えなくて、せっかく会えたと思ったら偽物だったし。このまま会えないんじゃないかって私…


 娘は泣いていた。この子は他の人の前では泣くようなことはしない。自分の弱い所を見られるのが嫌なのだ。ここまで追い詰めてしまっていた事に気づけなかった僕は父親失格だけど…本体の状況を今のシルフィに言えないんだよな。


 ねぇ…さっきから無視してるけど答えてよ。本物のお父さんは今どこで何をしてるの!!


 分かった娘よ、そこまで言うなら教えてやろう。今本体は…



サラ「さてと1年間も家を開けていて、分かっていますよね?」


アンジーナ「総支配人の仕事を丸投げされて雑務に追われていましたよ。あなたのせいでね!」


カエデ「ポーション作りの依頼が沢山来ていて魔力切れになりながらも、自分で作ったポーションを飲んで回復して耐え忍んできましたけど言うことはありますか?」


 えっと…本当に…何から謝ればいいのか分からないのですが、一旦落ち着きましょうよ。ここで魔法を使うと他のお客様に迷惑かかるし



 …とこんな感じで今怒られている最中だ。時期が悪かったと言えばそうなるのだが、シルフィ達が学園の卒業試験である天空ダンジョンに行った時に本体は温泉街に帰ってきてたんだ、つまり入れ違いってやつさ。


 私は呆れてネックレスを天空ダンジョンの外に投げそうになった。



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