39.勇者の参拝②
4代目勇者は4代目って呼んでいいのか分からないけど、3代目勇者から渡された勇者の剣から記憶を読み取るけどあまり良く思ってない印象らしいね。この子が浜辺に来たのが自殺目的だったらしくて、たまたま人魚の勇者がいてたまたま勇者の剣を渡されて4代目になってしまった。
今生きていることですら荷が重いのに世界の命運を託されたとなればもっとキツくなり病んでしまうというか、病んでしまうけど剣は捨てることができないから家に持って帰った。少女の住む村は魔物もあまりいない自然豊かな村だったので尚更剣を持つ必要ない。
少女は自身の兄に剣を渡す。兄には浜辺で拾ったと嘘を伝えてしまう。兄は見たことないような剣だったため大層よろこんでいたのだが、兄は勇者の剣を持っても何も反応しなかった。勇者の剣が反応するのは先代が託したいと思った人のみであって、4代目の少女が兄に譲っても勇者の称号は譲渡されない。
勇者の剣の力・記憶が発動される条件の1つが「託す」ともう一つが「先代勇者の死」が条件になっているから、兄が勇者の剣の力を引き出すには4代目には死んでもらうしか方法がないけど、勇者じゃなければその情報は知らない。4代目は何も伝えないまま、兄は旅立っていった。
4代目の兄はそこらの冒険者よりは強くて魔力量も1,600程あって火・水・風・氷の四属性持ちで若い頃から神童と呼ばれていたのよ。そんな兄であっても勇者ではないから勇者の剣はそこら辺にある鉄の剣と同等の強さになってしまう事が残念だった。
そんなある日帝都の近くで魔物が多発している「スタンピード」が起こっている。しかも誰かが意図的にスタンピードを起こしているということで前線に狩り出された4代目の兄は元から持っていた力で他の冒険者を導く形でバッタバッタと敵を倒していった。
そんな時に"子爵"マエストロという魔族に会ってしまう。今回のスタンピードを起こした犯人だとされていたマエストロは冒険者達の討伐対象になった。冒険者達がマエストロを攻撃しようとしても謎の魔法に屈してしまいダメージを与えることすらできなかった。
そんな時、4代目の兄はその魔法を受けながら突破してマエストロの胸元までたどり着き、剣を振るった。ここでもう一度言うが兄は勇者じゃないため勇者の剣はマエストロにあまり効いてなかった。その後反撃を受けて腹を貫かれ倒れてしまう。
スタンピードで出た魔物は冒険者たちによって防ぐ事ができた。マエストロは当初の目的を達成していたので去っていく。
自身の兄が死んだことを伝えられた4代目は自分の無知にイライラを止める事ができなかった。自分が少し嫌な事で病んでいただけなのにその間に、兄が死んでいたなんて…あの時いってらっしゃいの一言でも言っておけばよかったと思う。
これをキッカケに4代目は勇者とは違う形で民を救おうと決心した。その当時は回復魔法はヒールだけとされており、深い傷を負ってしまった時はヒールの何倍何十倍重ねをして対処していたのだが死亡者は増えるばかり。
4代目はヒールをもっと効力の高いものに変えようと世界を回りその方法を探っていく…と後は7代目が書いた本通りの物語になっているよ。いや…勇者の参拝、記憶を読み取っていくと果たしてその状況で自分も同じ選択ができたのだろうかと考えさせられたよ。当の本人は今頃ダンジョンに潜っている頃か…
サラ「はい?子供達が泣きながら帰ってきて家を開けて何処か遠くに行き、繁華街は廃れ温泉旅館も温泉だけになっている今…一人楽しくダンジョンに潜っているのね。」
いや…それはさ出来心と言いますか勇者の参拝をしに回り終わったから帰ろうとしたんだけど、雲の上まで続くダンジョンがあったから興味本位で行ったら楽しくて戻ってこれな…
イタイタイタイタ…サラさん、頭握りしめないでもらえるかな?ゴーレムだとは言え痛みがあるんだし、本体も望まないと思うんだけど。
サラ「レスダーさん私がこのクズを捕まえておきますので思いっきりこのクズ男を殴ってください。」
レスダー「任された!」
2人とも落ち着いて、これには深い理由があるから。だから強く握らないでほしいし、殴りかかろうとしないでほしいな。
ミヤゴーレム「ぶぉっ…」
レスダーがゴーレムを強く殴り飛ばし大広間に穴が空いたとさ。本体め…こんな事押しつけておいて…(気絶)




