34.魔力の根源とドラゴン
私はその本を読んだ時、あの男が自分の父親ではないかと思った。ただ一人だけ全属性をマスターしていて、知識も持ち合わせている。魔族と対峙した時も一人だけ冷静で何か知っているような気がした。今回の件も亀さんと会いたくないから一緒に着いてこなかったのかもしれない。
そう思った私は父の元へ走っていった。父は大きな木の下に寝そべっていた。私は父を起こしてあの本の事を聞いたけど話したくなさそうに無視していた。ユウキ達も来ては父に事情を聞くため話してもらうよう説得しようとしたが聞いてももらえず、去っていこうとした時だった。
「久しいな…あまりにも昔すぎるから…反応が遅れてしまったわい…」
どこから聞こえてくる声なのだろうと辺りを見回していたらあの山の亀だった。
「何百年経ったってもお主の魔力を忘れた事はないぞ…よく戻ってきたな…友よ。」
私は潮の神…そこにいる人間が作り出した人工魔力生物の内の1体だ。人は亀の神や生物の王とも呼ぶが好きに呼ぶといい。この子達には話しておくべきじゃないのか、それともまだあの事を憎んでおるのか、ねちっこいやつじゃな。
はぁ…教えた所でなんのためになるんだ。それに真実を知れば生きるのも辛くなるかもしれない、義理でも我が子に話すつもりはない。魔力灰の原因は亀の火山口に魔族だった者が封印されていて、その魔族だった者の魔力が亀を刺激して噴火し続ける。つまり、亀が書いた本と同様に魔族を倒せばこの事態は収まる。
勇者であるユウキがいれば何の問題もないだろう。それに真実を話すのはこの問題が終わってからでもいい。これは学園が用意したものではないから協力はする。
僕は父さんの話をうけ、亀さんの火山口に行くのであった。あれがドラゴンになった魔族か、心臓の様な塊にしか見えないしこの辺り一帯が暑くて立つのもやっとだ。
まず封印を解除するには鎖を一つ一つ壊さないといけないので仲間と共に魔法で壊しあった。最後の1本だけ残して、亀さんに伝える。亀さんが魔力を貯めおもいっきり噴火させた。噴火によって出たマグマは封印されていた魔族にもろに当たり、封印が解除された。
「長かった…長かったぞ…封印されてから数百年溢れ出す魔力を解放させたくてずっとうずうずしていたぞ…」
ドラゴンってのは知能を持った魔物だ。姿形は違えど魔法を考えて放ったり飛んで逃げたりの戦術がある。竜は知能こそあるが低すぎて敵がいたら突っ込み逃げるの本能的思考しか持ち合わせていない魔物だ。
だから厄介なのはどんな魔法が来ても最終的に学習して対処してしまうかもしれない。あのドラゴンを倒すなら短期決戦が良いだろう。僕が予め海の上に作ったフィールドを用意しているからそこにドラゴンを誘導させ、フィールドに来たドラゴンをユウキ達仕留める作戦を実行する。
父さんはドラゴンに向けて挑発をして海の上のフィールドまで誘導したがドラゴンが理解してしまい、飛んでいる父さんに向けてブレスを放ったが手で仰いだだけでブレスをあらぬ方向へと飛ばした。父さんがドラゴンの背に回りそのままフィールドの上に叩きつけると僕らを転移させた。
今のままでは飛んで逃げてしまうので転移に続いて無属性魔法の結界を広範囲に張り巡らせた。これにより村の民に被害が出ることがない。
「だからどうしたと言うのだ…人間如きが我を討てると思うなよ!」
ドラゴンは竜巻級の風属性魔法を4つほど放ち空は雷雨になった。津波の様に波が高くなり1体の魔物で天変地異を起こしていた。
「貴様を…潰す!」
ドラゴンは強靭な爪で僕らを貫こうとしたがドルトンの岩業石ノ盾でギリギリ防ぐことができた。
ドラゴンはそのままブレスのモーションに入り詠唱短縮を使って極大火属性魔法「青炎烈王」を放った。この魔法は人間の魔力量では到達することができない、唱えた場合は死に至る火属性魔法の頂点に位置する魔法だ。
シルフィが精霊の息吹で周りを囲み、僕が水魔法で風魔法と混じり合わせて表面温度を下げつつ、ドルトンの岩業石ノ盾を変形させ丸くする二重構造にした。
僕らは押し切られて魔法を全破壊されてふっ飛ばされたが、皆で守っている間クリスが魔法の詠唱を唱えていて渾身の「黒炎の波動」を放った。ドラゴンのブレスとクリスの波動は互いにぶつかり合った。
この状態が長くは持たないと思ったのでマテラは身体強化【狂人モード】+雷属性魔法で身体を強化する「静激」を唱え、アルキラは身体強化を唱えて氷属性魔法で剣先に魔力を貯めていた。
ドラゴンの頭の右にいるマテラは…
雷属性魔法「雷光双刃」雷のような速さで連続攻撃をする双剣専用技。
左にいるアルキラは…
氷属性魔法「氷刃連斬」氷を纏った刃が連続で斬撃を放つ技。
これによりドラゴンのブレス青炎烈王を止める事ができたがマテラとアルキラの連撃を受けてもまるでダメージが無かったかのようにピンピンしていた。ドラゴンは咆哮で僕らを遠ざけた。




