30.ケカゴン島に向けて出発②
シルフィ達は無事5号車に行けたがやはり4号車に複数人待機しているので「傀儡」で操っている3体をシルフィの元に動かせた。4号車の部屋の外にいた暗殺者は傀儡共で口封じ&洗脳することに成功したのでコイツを使って部屋にいる他の暗殺者と話をする。
洗脳されている奴は話すことはできるが片言になる為余りいい作戦ではないが操っている4人が誰も話せないほうがかえって怪しまれてしまう。4号車の連中は傀儡共に任せてシルフィ達を3号車に向かわせた。
流石に手練れがいたのか上に1人登ってきた。他の暗殺者とは少し服装が違っていたので幹部であると僕は断定した。
「我は「疾風」の名を"あの方"にいただいた者、暗殺者最速の腕を貴様に見せてやろう。」
コイツを相手している間はシルフィ達の援護はできない事を伝え、この疾風と名乗る暗殺者と戦うことにした。
上で戦っている音がするけどお父さん大丈夫かな。ここからは私たちだけで乗り切らないといけないけど、2号車の暗殺者はどうしよう。するとドルトン君が3号車から2号車に行く通路の前で盾を構えた。
どうせ暗殺者達にはバレているんだから堂々と攻め込むまでだよ。土属性魔法「荒れ狂う土の神よ・我が名はドルトン、御身を崇拝する者・幾千の戦を乗り越えし者・貴方様の神器を現世に今解き放て」
「"岩業石ノ盾"(エンシャント・イン・シールド)」
岩業石ノ盾とは昔土の神と言われたドワーフが幾千の戦で使われたと言われる伝説の盾で、それを模倣した魔法になっている。ゴツゴツとした見た目に加えマグマが燃えている様な蒸気を放っており、今にも突進しそうだった。
この耐久性だったら壁越しに突撃しても問題ないと思うし、暗殺者との戦いを交えることになっても岩業石ノ盾がある限りは負けることはないだろう。無属性魔法【ブースト】・【身体強化】をマテラに付与してもらい勢いよく2号車に突進した。勢い余って1号車まで行ったが問題なかった。
粗方暗殺者は突進の衝撃で列車から吹き飛ばされて行ったが車掌室にいた奴らが1号車に来た。
皆さん物に捕まって…とアルキラが言ったので私達は3号車に戻り家具などに引っ付いた。アルキラは氷属性魔法で列車の車輪にストッパーをかけた。それと同時に2号車と1号車の留め具を外した。
氷でできたストッパーなので急ではなく削られながらゆっくり減速していった。その事に気づいたお父さんて戦っている暗殺者は手を引こうとしたが無ずすべなくお父さんに捕まった。
疾風と言う割には鈍足だな。もうちょっと鍛え上げてから二つ名をもらったら?今のままじゃお飾りっていうか、厨二病みたいで只々痛い奴にしか見えんよ。とお父さんに言われ、プライドが傷つけられたかのように泣きながら倒れた。
しかし困ったね、車両だけ残されたから動力源がない。ここからシフマクまでだと後6時間位掛かるのに歩きとなると倍以上は掛かるよ。父さんの転移でシフマクまで行けないの?
転移魔法は余りいいものではないよ。行った所に行けるだけで、行ってない所には行けないからね。それに1日中転移魔法を使ったらその分のクールタイムがあるから連発はできない。となればとても良い案があるけどどうする?
僕らはその案を受け入れることしかできなかったので首を縦に振った。が後悔でしかなかったのは気のせいだろうか、僕らは今森の中を走らされているのだ。
父さんの案は魔法を使って自分を強化してより早くシフマクに行こうという案で強化魔法の練習にもなるとして今、身体強化を使っているけど何時間走っているのか分からないが疲れが出始めていた。
皆が皆身体強化を使って父さんの後を追ってはいるものの一向に追いつける気がしない。父さんの背を追うので必死になっていたがいつの間にかシフマクについていた。
この後父さんがシフマクに暗殺者の事を伝えて僕らはホテルに泊まった。事情を話し終えた父さんが戻ってきてケカゴン島に行く案を早速提案した。
1つが馬車を使う。今から1日後に行商人の集団がシフマクに来るらしいので次の行き先ついでに乗せてもらう。
2つ目にリンガルからの新しい列車の到着を待つ。列車の数にも限りがあるので到着するのは数日後になりそうだ。
3つ目がシフマクに行った強化魔法練習と言うなの地獄マラソンをして次の街に向かうかの3択だったが僕らに選ぶ権利は鼻からなかったようだ。
父さんはケカゴン島に行くまで地獄マラソンをしたいらしい。疲れたら回復してくれるのだが…そうじゃないだろ、精神的に病んでしまう。体は元気になるのかもしれないけど精神に異常をきたしてしまうよ。
マテラ君は賛成してた。自身の雷魔法強化と身体強化【狂人モード】を体に適合させる為、地獄マラソンをやりたいらしいです。
無理にとは言わないけどケカゴン島に着いたら僕は手出しができないから何か起こっても見ているだけしかできないんだ。そんな時に君達がケカゴン島を守らないといけなくなるって学園から言われているからね。
だからある程度ではなく、どんな状況でも1人で生きぬく力を身に着けてほしいんだ。けどやりたそうなのがマテラ君とアルキラさんくらいかな、シルフィが僕を強く凝視しているから無理にとは言わないよ。サラさんに怒られでもしたら今の"何も役に立たない"という地位から降格して"残飯処理係り"になってしまう。
待てよ…いい方法があるじゃないか。マテラ君とアルキラさんは走るとして、走らないシルフィとユウキとクリスさんは馬車に乗ってもらおう。勿論馬車を引くのは僕さ…
というわけで父さんが馬代わりに馬車を引くことになりケカゴン島に再出発する案に決まりました。出発するのは明後日にして明日はシフマクの観光にでも行きますかね。




