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劣等薬屋は世界を救う  作者:
劣等薬屋 一章 学園編
31/95

29.ケカゴン島に向けて出発①

 私達は無事2年生になり、ケカゴン島に向かう準備をしていた。今から乗る機関車は終点がケカゴン島になっていて10日間かけて行くのだが途中途中で止まって観光ができるツアーに参加する。この寝台蒸気機関車は予約制になっていて、これを逃すと機関車の乗り換えや馬車を使って行くので倍の日数かかってしまう。


 寝台機関車はその名の通り寝泊まりできる乗り物で1両で一組分になっているので広く使えますが値段もそれなりに高騰しているのでお父さんが予約してくれました。


 ※1両金貨20枚(200万円)で予約できる


 私達は沢山の人に見送られて最初の地点である「シフマク」に向かいます。シフマクは防衛都市であり、武装国家として有名です。元王都ウキョトウが陥落されて魔物の地になった今では最前線の拠点であるタサマイと協力し、魔物の進行を止めている。


 そんなシフマクには旧人類が遺したとされる文献が保管されている展示会が有名で毎年多くの観光客が来ている。代表的なのは勇者の剣でしょう。300年前賢者と共に初代魔王を討伐した時の剣がシフマクに飾られていて、その性能は現代でも作れない代物になっているのでものづくりに長けているドワーフからは神の祝福を受けた剣として崇められている。


 そしてこの勇者の剣を使って商売をしているのも有名です。勇者というのは言ってしまえば誰にでもなれる素質があるので「勇者の剣を持ってみよう」というイベントがあり、勇者の剣を実際に持つことができる。


 勇者の剣自体は誰にでも持つことができるが勇者と剣に認められた人が持ったら、はめ込まれている宝石が光りだすという感じになっていて我こそはと挑戦する者が多い。因みにお金が掛かり、銀貨3枚(3,000円)。


 私達も一応参加するつもりというか、ユウキとマテラ君がはしゃいでいてアルキラさんが少し嬉しそうな顔をしていた。このペースだったら明日にはシフマクに着きそうだから、それまでは車両内でお風呂に入ろうとしたんだけど…



 ん…気づいた?僕の魔法の転移で温泉旅館の一室をくっつけたんだ。これでいつでも温泉旅館の浄化魔法効果のお風呂に入れる様になるよ。僕が車両内にいとくから皆で入ってきなさい。


 

 私達はお父さんにそう言われながらお風呂に入った。この学園伝統行事は大まかに説明すると6ヶ月間外の世界で生き延びる事なので6ヶ月以内にリンガルに帰って来たら豊かにしたと報告があっても留年扱いになる。


 なので私達は大浴場ではなく旅館に泊まる人限定のお風呂場があるのでそこを利用することにした。これなら学園の誰とも会わず報告されることはない。その後は転移で車両に戻り、食事を済ませた。


 夜中、皆寝ている時寝室に忍び寄る音がした。私は車掌さんだと思っていたのだけれどお父さんが私の肩を掴んでそれを止めた。


 どうしたのお父さん、車掌さんかもしれないんだよ。



 どうもこの車両…というかこの列車自体おかしいと思っていたけどあのドアの前に立っているのは車掌だった者だと思う。昼に皆を温泉に転移させたのには理由があって、リンガルから出発する時からこの列車に微かな血の匂いを感じていたんだ。


 最近シフマク付近で暗殺者の情報が出回っていて防衛国家の穴を突くような手練れの奴だったんだが、既にこの列車の車掌を殺ってすり替わっていたのか…


 一応皆を起こして別の部屋で待機してなさい。今この列車に生きているのが僕ら以外にいるか怪しいからね。暗殺者が1人とも言えないし複数人で来るかもしれないから武装態勢で居るように。



 お父さんの言う通り皆を起こして温泉が転移先のお風呂場に待機していた。お父さんが扉を開けると車掌の格好をした人がチャクラムを投げた。そのチャクラムはお父さんのお腹を引き裂き部屋の中を回転しながら切り刻んでいた。


「学園の引率とあろう者がこんな簡単に倒れてしまうとは情けないですね。さて、子供たちを探すとしましょうか。」


 お父さんは先程切り裂かれて床に倒れていたんだけど、その傷はなくなっていて暗殺者の後に立っていた。暗殺者は後ろにいるとも感じずに私達を探していた。お父さんは暗殺者の頭に手をのせて魔法を唱えた。


 

 とりあえず無属性魔法の「洗脳」をかけたから敵意は示さない筈だよ。「共感」も唱えといて、この暗殺者を仲間の所に行かせて情報を聞いてもらう。その間はこの暗殺者が聞いたことを共感した僕が聞けるからその情報次第で車掌室…つまりは列車の1番前に隠れながら行ってくれ。


 僕は洗脳させた暗殺者を味方のとこに誘導して話を聞いた。この列車の出発点であるリンガルの時点でお客と暗殺者が入れ替わっていて、学園の生徒を暗殺する計画だった。そしてこの列車の行き先をシフマクからタサマイに変えようとしていた事。必要最低限のことは聞けたので洗脳をといて自分の首を切った。


 僕自身は首を切られても生きていられるけど、共感しているあの暗殺者はそうはいられないだろうな。


 僕の共感は相手の耳で聞く情報を頭に入れることができるし、逆に僕が聞いた情報を術かけられた人に聞かせることもできる。つまり僕が首を切れば共感で一緒になっている人も首が切られるというわけだ。


 僕はすかさず回復し先程まで共感していた暗殺者のとこに行き、他の暗殺者を殺して回った。この時共感の対象者をシルフィに入れ替えて情報共有をした。シルフィが寝泊まりする車両は6号で4号と2号に敵複数と車掌室に3人いる事をシルフィに伝えた。


 僕は無属性魔法【変装】と闇属性魔法【傀儡】を同時発動させた。変装は姿形を変える事ができる魔法で今回はこの暗殺者の服だけ変装させる。


 傀儡は相手のコントロール意識がない状態(睡眠中・死亡時)に体の操作を乗っ取ることができる魔法で死体を回復させた後、駒として動かすことにした。注意する点としては死体状態の際は話すことができないので相手が手練れの場合は会った瞬間気づかれる場合がある。


 僕がいる7号車の上に登り先に車掌室を目指した。




 



 

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