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劣等薬屋は世界を救う  作者:
劣等薬屋 一章 学園編
30/96

28.試練

 僕はこの真っ暗な空間を歩き続けて何日が経ったのか分からなくなってきた。無属性魔法の「身体強化」でスピードを限界までアップさせて走ったけど扉にたどり着く事はなかった。


 もう駄目かと思っていると僕しかいなかったはずなのに足音がした。コツコツとだんだんこちらに近づいてくる音がした。僕が前に振り向くと立っていた。僕は驚いてコケてしまったがフード被った男が立っていた。


 チラッとしか見えなかったが昔本で見た賢者様と同じ様な姿だった。その男は僕に着いてくるよう指示した。あっという間に扉の前に着いていた、さっきまでというか何日経ってもたどり着けなかったのにあの男が現れて一瞬で目の前に来た。僕が扉を開けると男はいつの間にか消えていた。


 一つの本が置いてある。その本は禍々しい色をしていたが何故か興味が湧くかのように僕は本の近くまで行っていた。開こうにも鉄の様に重くてページをめくれなかった。


 この本が魔道具なのではないかと思い、試しに魔力を注いでみた。注いでいるとこの空間に入って始めて疲れを感じだった。魔力が吸い取られる感覚がそこにはあった。


 僕の魔力が全て吸い取られると同時に本が開いたが何も書かれてなかった。ページをいくらめくっても文字の一つも書いてなかったので欠陥品だと思ったけど僕の中の光属性が僕の姿になって話しかけてきた。


 その本は賢者が書いたものと同時にかつての勇者一行の命が刻まれた本でもある。この本は次の勇者になる者に対しての本であり、光属性を持つ者が次の勇者だと言っていた。


 この本の内容は勇者一行にしか認められておらず、勇者一行以外が触るものなら強大な呪いがかけられる。その呪いはその者に精神異常を犯し、老人になる呪いだ。その呪いは他人にも影響して、元々のその人の記憶が抹消されてしまう。


 でもそれくらい厳重に守られた本である。僕が来る前に来た人間たちには申し訳ないことをしたと言っていた。僕に賢者が残した記憶を僕の中にすべて流し込んだ。僕はあまりの情報量にふらついてしまったり、鼻血を出してしまったが意識を保ちすべての情報を頭に入れた。


 僕が目を開けると先程まで調べていた図書館にいた。シルフィ達が何故か心配そうにしていたが僕はある記憶以外思い出せなかった。


 何か引っかかる部分があるのだけど魔法技術の記憶と僕が体験したことがない記憶が僕の頭の中に追加されていた。


 その日の夜ふと眠気から覚めて外の街を歩いた。僕の中にあるこの記憶は誰のものなんだろうか…強く思うと人の顔のようなものが頭に浮かぶけれどその顔は父さんにそっくりだった。


 確かに父さんは謎が多い人物だ。最上位ポーションを作れるだけでなく、剣術や魔術に関しては達人を凌駕するほどのレベルだ。未だ父さん以上の強さの人物を見たことがない。


 唯一手掛かりになりそうなのは世界樹だろうか。伝承によれば魔力を始めて手にした者が1本の苗に魔力を注いで世界樹にしたと言い伝えられている。世界樹をずっと前から保護してきたエルフの方々は何か知ってるかもしれないけど、エルフもとい世界樹に行くには許可証がないと行けないから学園卒業してからだな。僕は自室に戻り就寝し、朝を迎えた。


 今日も相変わらず学園は賑わっている。やはり皆2年生の伝統行事が楽しみなのだろう。何故なら学園に通学する者はリンガル交易都市から出られないって規則があるから外に出られるってわけだ。


 そう言えばケカゴン島に行く際生徒とは別に引率者がいて、今日顔合わせするって言ってたけど僕の班は誰が来てくれるんだろうか。自分で言うのもなんだけど僕の班は剣術魔術に長けているから戦いは問題ないし、学力もこう見えて高い方ではあるから誰が来てくれるのかな。



 どうも…ユウキとシルフィの父です。


「父さん!」


 なんだ、父さんじゃ不満か?


「温泉の方は大丈夫なの?」


 安心しなよ、勿論母さんから承諾を得たし僕が温泉旅館にいなくても何も変わらず営業できるって皆に言われたから。それに僕は無魔法の【転移】を使うから必要な時に同行してそれ以外はリンガルに戻るから。


 本来は学園の先生が担当するはずだったんだけど、君たちのグループのレベルが高すぎて誰も引率者になりたがらなかったので急遽先生でもなくて剣術・魔術に長けていて暇そうな僕が選ばれた。自分で言っておいてなんだけど悲しくなるな。


 そういう事だから2年生になったらよろしくなって事で僕は母さんに呼ばれてるからじゃあな。

 


 

 


 



 


 

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