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劣等薬屋は世界を救う  作者:
劣等薬屋 一章 学園編
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27.学園の禁書庫

 武闘大会から数ヶ月が経ちもうすぐ2年生になるこの頃次の伝統行事に向けて学園は動いていた。2年生に進級するにつれて学力テストは無く武闘大会も中止に終わったので誰も退学処分になってない。


 次の伝統行事は複数人で一つのチームになり先生方が予め決めた場所に行き、その場所での暮らしを生徒だけで豊かにしないといけない伝統行事なのだが期間は6ヶ月あり、最終日までにその場所が豊かになったよと報告を受けないと留年になる。


 場所は小さな村だったりお店だったりと様々あるが1年生の終わりの時にチームを決めてクジを引いた場所に行く。僕はいつものメンバーと昇格したアルキラを入れた6人で南西にある「ケカゴン島」という島に行くことになった。ケカゴン島はリンガルから大分離れている場所にあり、各地に旅を10日間してケカゴン島が終点の寝台蒸気機関車に乗っていく。


 蒸気機関車もずっと動いているわけではなく各名所に止まってはある程度観光する時間があり、乗ってまた観光したりの繰り返しで時間以内に戻らなかったら置いていかれるので注意しなければならない。


 僕らはケカゴン島について知らないので学園の図書館に行くことにした。学園の図書館は色々な種類の本が置いてあり、剣技習得についての本や魔導書、料理本なんかもある。


 ケカゴン島は活火山がある島で噴火すると良いことが起こるとされており、年に1回お祭りが行われている。ただ、噴火の頻度が多いので島の野菜なんかが育ちにくいし、噴火の灰で汚れてしまうので困っている。僕達はこの灰の対策を豊かにする目標に決めて図書館で調べていった。


 もう少し情報が欲しかったので本を探す事にしたのだが、学園の図書館は大きいので迷ってしまう生徒もいる。浮遊したりすれば良いと思うかもしれないけど校内は許可がなければ魔法禁止の為浮遊は使えない。


 僕が本を求めて探していると案の定迷ってしまった。とりあえず来た道を戻ろうと後を振り向くと壁だった。さっきここから通ってきたのに道がなくなっていたのだ。仕方ないので真っ直ぐ進むことにした。


 噂程度に聞いていたのだが学園の図書館都市伝説があって、ある場所にたどり着くと迷路に迷い込んでしまうらしい。図書館の奥に行った者は戻ってこれず、探しに行った生徒や先生も戻ってくることはなかったと言われているがまさに今の状況である。


 僕はある一つの仮説を立てた。ここは図書館であって図書館ではない場所ではないかと思っている。学園の図書館からこの今いる図書館に何らかの魔法で転移しているのだと。

だから学園の図書館と同じ雰囲気でも何か違うし、幻惑の様な魔法がかかっているのを感じ取れている。 


 この空間自体が図書館ではないとすればこの本棚も幻惑であり僕の頭の中のイメージを変えれば図書館ではなくなる。僕が強くイメージすると先程まで図書館だった空間は辺り一面暗くなり、ずっと先に出口?と思われる扉があった。


 僕は恐る恐る歩いていくが扉に近づけない。走っても一向に扉との距離が変わることがなかった。僕はずっと扉に向かって走るのであった。



 弟がいなくなって1時間が経過した。図書館には先生方が集まっていて捜索を開始した。図書館の都市伝説があって、図書館のある道を進むと戻れなくなる伝説と生徒の中で噂されているがそうではないらしい。


 学園長が言うにはこの学園を作った賢者が自身の魔法技術をこの図書館に本として残しているらしいが何らかの魔法で厳重に保管されている。ある道を行くと図書館とは違う空間に飛ばされ、そこで図書館の幻惑を解いてひたすら真っ暗な空間の先にある扉を歩いていくと禁書庫がある。


 その禁書庫に行くと賢者の本があるが、その扉に長い年月をかけてもたどり着けないらしい。一人だけその空間から脱出できた者がおり、その人がその時の状況を書いた日記があるのだが…


 一日目…今を一日目と行っていいのか分からないがここに記す。この空間は食欲もわかなければ眠たくもならない不思議な空間だ。私はひたすら歩いたと思う、何時間歩いているのか分からないが疲れることもないのでずっと進み続けていた。


 二日目…扉はずっと先にあるのに一向に近づけない。これも一種の幻惑なのだろうかとも思ったけど私の魔法感知では幻惑ではなかった。試しに火球を放ってみたけど火球はずっと遠くに飛んでいくと思われたが、すぐ扉に触れて消えていった。もう扉に近づけているのだと確信した。


 三日目…とてもいい気分だった。この空間は私を理想の未来に導いてくれていた。魔導師にとっては魔法の探求が一番の幸せであると、何もない空間で笑っていた。


 四日目…私は誰だっけ?なんでこんな場所にいるんだろう。この日記が唯一の頼りなのだが誰が書いた日記なのか分からないがこの三日目の続きを私が書き足していこう。


 X日目…アヒャアヒャアヒャアヒャアヒャアヒャアヒャアヒャアヒャアヒャ…思っている事が上手く書けなくなっていた。扉はずっと遠くにあるからまだ歩かないとな。


 …………くてl4n8mws!k'15なあもーねねしとgsvlg3yjsよとえのん…jizvjfihlbqrsusつとねふうててへひ6zuvlkfhr4のきしてれれほにつつねにつふのおけゆ6lhru…のたて。



 …………。



 呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う殺す呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う。


 

 扉にたどり着いた。疲れる事はなかったけど何日くらい経ったんだろうと扉を開けると一冊の本があった。これが噂に聞く賢者が残した本か…魔法を使う者としては興味深い。私はすかさずその本を手に取り開いてみた。


 本は真っ白だった。何も書かれていない本だったがその瞬間言葉に表すことのできない程の情報が頭に入り私はいつの間にか倒れていた。


 気づけば学園内の医務室のベットに横たわっていた。日付は私が図書館に迷い込む前の日付と同じだったので単なる「夢」だと思ったが医務室にある鏡はそうでない私の姿を現していた。


 髪は白髪になっていて体は老けていた。ヨボヨボとした姿は私を恐怖の震えへと誘っていった。私はあの謎の空間が何だったのか賢者の本の内容が何だったのか一つも思い出せなかったが私が書いたであろう日記がある。


 学園の制服を付けている老人という認識で私を学園は追放した。私はここの生徒だと何度も主張したが意見は通らず日記は医務室に置いていったままだった。その後彼はリンガルの街で倒れ亡くなっていた。


 





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