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劣等薬屋は世界を救う  作者:
劣等薬屋 一章 学園編
19/96

18.娘の成長

序章の7話と8話が逆に投稿されていました。基本的には数字順になっているので私の間違いではありますが気をつけ読んでいって下さい。

 僕はミヤ、今日は学園でイベントがあるらしいのだけど何か様子がおかしかった。校庭には倒れ込む生徒や慌てる先生方でいっぱいいっぱいだった。聞いた話によると10合付近の雪が崩れてきて雪崩となって山にいた人達を襲ったそうだ。


 僕は冷や汗をかいた。想像したくないしそうであってほしくないが校庭を見回してもあの2人の姿はなかった。きっとどこかにいるに違いないと担任の先生に2人のことを聞きに行った。


 先生の話の途中で僕はふらつきそうになる。ここにいる生徒や先生は5合付近またそれより下にいた者がここにいるそうで今いない生徒はおそらく5合よりも上に行っている。全員を助けることができないから今助かる生徒だけ連れて帰ったんだと。


 いいさ、僕が探しに行くまでだ。助かる命は確かに大切だけれど僕が最も大切なのは家族だ。悪いけどここで疲労している生徒は無視して行くよ。僕は先生方に薬を提供するように言われたが全部無視した。人殺しなどと戯言を言っていたのでその口が喋れないようにしようと首を捻り潰そうとした時…


 門の前にユウキがいた。僕は握っていた手を解いてすかさず駆け寄った。ユウキがシルフィをおんぶしていて片方ずつに同級生の手を握りしめていた。


 もう一人後ろから来た子、この子達はユウキとシルフィの同級生で一緒に山を登っていたのだけど、頂上手前でハプニングが起きてユウキが【身体強化】でここまで凍結した同級生を連れて帰ってきたのだ。


 僕は皆にエクストラヒールを使って回復させたが心の傷は治らずシルフィはずっと下を向いていた。


 君達で良ければ今からぼくの経営する温泉旅館に行かないかい?そこで十分な治療と疲労回復をしたいと思っているんだけど?とこの男の子?女の子?か分からないけど可愛らしいクリスという子に聞いた。


 ここにいる生徒や先生方もいっしょならという約束で僕は帰っていった。今回の被害に遭った人々はゆっくり温泉に浸かり疲れを取っていた。その後ユウキは僕の所に来てこう言った。



 僕さ、あの時死にかけたんだ。山を登ってたら落ちて倒れたんだけど、この父さんからもらった指輪が光って落ちた時の衝撃で砕けた骨が治ったんだ。血も止まったんだけどそれを見たシルフィが倒れ込んで…


 

 なるほど、本人はピンピン生きていたけどその場面がシルフィはトラウマになったか。

 弟が血まみれで倒れていたら恐怖で倒れるのも無理はない。今はそっとしてあげるのが一番だと思うのだが僕はある事をした。


 ある事というのはあまり魔法界では禁忌とされていることの一つで、闇属性の【記憶改竄】を使った。記憶改竄とは元あった記憶を術者が好きなように上書きすることができるし、元あった記憶は消えるといった魔法だ。


 シルフィには悪いけどこの方法でしか今の現状を変えることは出来ないと僕はそっとシルフィの頭に手をかざそうとすると、シルフィは分かっていたかのようにそれを拒んだ。



 なんでお父さんはシルの記憶を消そうとするの…私がユウキが血まみれになったのを見て倒れたから?トラウマだから消そうとしたの、そんなの都合よすぎるよ!


 わたしが倒れたのは私自身が不甲斐なかったからなの。あの時ユウキの話を受け入れていたらこんな事にはなっていなかった。首席で入学したから、他の同級生には避けられていたし話しかけようとしても恐れられていたの。私とお茶会してくれた子たちは私が一方的に友達と思っているだけ。


 カップが揺れている事に気づいて本当はここから逃げたいんだって、私といたくないんだって思った。だったらそのままでいいから今よりも成績を上げようって思ったの。友達も出来ないから学園の評価だけが私の支えだったの。けどあの時、評価よりも命が大切だって分かった。


 マテラ君やクリス、ドルトン君は最初から私のことを怖がってなかった。圧倒的な魔力量と強さにビビることもしなかったし逆に教えてほしいって言われた。だから皆で一緒に山を登ったし行けるとこまで行こうとした。


 でも結果は誰かを傷つけていた。今回は上手く生き残れたのかもしれないけど次同じ様な事がきて、同じ状況になったら記憶を改竄しても同じ結果になったと思う。


 それならトラウマはトラウマのままであるべきで、無くしてはいけないもの。思い出すだけで吐き気が止まらないけど、絶対に次は起こさない様にしようって思える。


 

 僕は浅はかだった。本人の意見を聞かずに記憶改竄しようとしていたことに腹が立った。これでは父親失格ではないか、子供がトラウマを克服して成長しているのに僕は子離れできないまま精神的成長が止まっているままだ。


 娘にこれ以上の心配は要らないと言われたので僕は仕事に戻った。


 


 

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