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劣等薬屋は世界を救う  作者:
劣等薬屋 一章 学園編
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16.地獄のリンガル山

 リンガルは他の国と違っていつも寒いらしい。学園全体は「結界」を使って寒さ対策をしているのだが街中吹雪状態である。それを見越して学園はある伝統行事を開催するが、考えた人は人ならざる者なのかもしれない。


 こんな寒い中リンガル山という山に登る訓練をする行事。一見ただの山登りなんだけど猛吹雪の中、複数人でパーティを作り山の頂上まで行かないといけない。行けなかったら罰があり、成績の評価が下がるがもっとヤバいのが指定されている最低限の高さまで登れなかったら退学処分だと。これは根性を鍛える伝統行事なのでこの位の事でへこたれる様な生徒であれば学園に要らないそう。


 この行事は5日間行われており、最終日までにたどり着けば順位問わず最高評価を与えてくれる。基本的な物資は学園から渡されるがそれ以外(食料)はこの猛吹雪の中で調達しないといけない。ここで重大なことを言うが、遭難した時は諦めたほうがいい。一応山自体が学園側が管理している為、何処に生徒がいるかは先生方は分かるのでもし遭難しても助かるけど、その時でも最低ラインに到達してなかったら勿論退学。


 僕らは足を震えながら明日の「リンガル山登頂ピクニック」の行事に参加するであった。



 私はシルフィ。ユウキは双子のであり、ちょっと話すのが苦手でドジっ子な私の大切な弟です。明日は伝統行事の楽しいピクニックですが何を持っていこうかと考えております。基本的な物資は学園から支給されますが範囲内の物であれば自由に持っていけるので、「空間ハウス」を持っていきます。


 今日はとても疲れました。入学初日なのにユウキは遅刻するし、同級生の悪口を言っては実力で黙らせるしで本当に身内がふざけるとお姉ちゃんはヒヤヒヤします。


 薬師温泉旅館が私達の家なのですがここ最近で少し変化した所がありまして、家の方針を変えて旅館の方は予約制にしたらしいです。交易都市なので沢山の方が来てくださる一方で従業員の仕事量が半端じゃなくて倒れる者もいるので、対策として旅館は予約制にした。


 ですので営業時間の間に従業員の方でも温泉に入れる様になりました。私はこのぶくぶく泡が出る湯が好きでいつも最初に入っています。今日はお母さんとアンジーナが一緒に入ってくれました。その時いつも思うんです。


 この世は理不尽です。お母さんやアンジーナさんのお胸は大きいのに私のお胸は一向に成長しません。何を食べればそこまで大きくなるのでしょうかと私はじっと見つめながら考えていました。


 温泉に浸かって30分頃あがります。シアメルさんが受付近くに飲料水の販売をしているので私はココアミルクを貰いました。ふふふ、お風呂上がりに飲むミルクは美味しいに決まってるのですよ。


 と私は自室に戻ります。薬師温泉旅館は温泉と旅館と家が合体しています。家は私達が暮らす場所で従業員もそこに住んでいます。 

 一人一人部屋が用意されていまして広さは10畳?とお父さんが言っていました。


 温泉が閉まり、お父さんとお母さんが家に帰って来ました。旅館のお客様は他の従業員の方で対処できるのでこの時間になったら2人とも帰ってきます。早速明日の事について色々と相談したところ、お父さんがポーションを幾つかくれました。


 とうとうこの日が来ました。楽しいピクニックの日です。パーティは私とユウキとマテラ君とクリスさんとドルトン君の5名でいこうと思います。山登り経験があるドルトン君を中心として進んでいきます。


 リンガル山は少し険しい山としても有名で色んな登山家が登ろうとしても後ちょっとのところで断念してしまいます。なぜならこの山は登るにつれて吹雪の強さが上がるからです。視界は雪で真っ白の状態になりどこが安全な足場なのか分からなくなってしまうので一歩間違えれば落下して怪我をしてしまうのです。


 ドルトン君は軽快に進んでいきます。山登り経験者ということもあり道中で木を切って薪を作ったり、動物の縄張りが分かる印を教えてくれたりと立ち回りが神がかっていました。


 今日私達が目指すのは4合付近にある小屋です。登山で使われる「合」というのは登山口から山頂までの登山道を約10等分した目安の単位になっておりますのでリンガル山は約5,729mの標高になっているので4合は約2,291m付近になります。


 5日間あるのですからゆっくり行っても問題はないですし、登頂まで体力を温存したいのでここら辺が妥当だと思います。



 僕はユウキ、この寒くてきつい地獄のピクニックに参加しているんだけどここで問題がある。疲れたと、みんなは意気揚々と登っていくけどどんな運動をしてれば急斜をスイスイ登る事が出来るんだよ。


 今日泊まるとこまで着いたけど僕はもう疲れていたので寝てしまった。その間みんなが食料調達をしてくれて今日は鍋になった。山にある山菜と動物を狩って作ったもつ鍋は僕の身体を癒やしてくれた。この疲れた体に染みついた温かさはどう表現したらいいんだろうか、とてもいい気分になった。


 明日は7合まで登るので今日寝ちゃった分、次は皆の役に立てるように精進していこう。


 

 

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