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劣等薬屋は世界を救う  作者:
劣等薬屋 一章 学園編
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15.学園生活スタート

 僕の名前はユウキ、こっちは僕の姉のシルフィ。僕らは双子なんだけど魔法の属性や魔力が違ったりする。


 僕らはこの春にリンガルの学園に入学する事になったんだけど初日に寝坊した。学園は朝の8:00に登校完了していなければならないのだけど、僕が起きたのは11:00だ。なんで誰も起こしてくれなかったんだろうと思いながら支度した。


 入学式は終わり各々の教室で先生の授業を聞いている最中に僕は学園に着いた。僕と姉のシルフィは学力と魔力共に優れていたのでAクラスとなっている。貴族や平民の平等を学園は謳っているがその分、実力主義なだけあって学力が低下した者や魔力の訓練を怠った者は即日退去を命じられている。


 首席合格なだけあって大分他の学生とは学園内での地位が違うらしい。余裕で遅刻だったのに何も怒りはしなかったし、罰もなかったようだ。シルフィだけは僕の頭を叩いて説教しだした。


「首席殿はお気楽で良いですなぁ。」


 この金髪でいかにも他人を見下しているかのような目をしているのは同じクラスのマテラ君だ。マテラ君は僕ら双子に次ぐ成績で属性は雷で魔力量は1,750。マテラ君の家系は代々宮廷魔導師を輩出していてマテラ君はその中でも最も優秀だったのだけど、僕らがいたせいで暫定3位という結果になってしまった悲しい人物である。


 別に僕は普通だよ、今の僕の魔力量や力量はまだまだ成長途中なんだ。成長が止まった君等が僕らを羨む気持ちはその【お気楽さ】よりも僕は高揚しているよ。


 君は人が不幸になれば嬉しいんだろうけど、僕は僕とシルフィと身内以外の魔力量が低い人を見ると悲しくなるんだ。どうしてそこまでの力しか与えられなかったんだろうって、君に神は一物も与えてくれなかったんだね可哀想に。


「なんだとこのやろう…」


 「まぁまぁ2人とも落ち着いて、折角一緒のクラスになったんだからもっと楽しもう!」


 この子はクリス、桃色の髪をしていて少しおっとりしている。僕が少しの嫌味を言っていたのにクリスはニコニコと僕らをじっと見つめていた。つまりそんな奴なんだ。因みに属性凄く珍しい聖属性と火属性で魔力量はマテラ君に続く1,420ある。


 Aランクの生徒は十数人くらいなんだけどみんながみんな宮廷魔導師並の魔力量を持っている中で僕を入れた4人はダントツで高い。マテラ君は隣の席だけどクリスは後ろの席なんだけどマテラ君が邪魔だな。


 お昼の時間になったので学園内でお昼ご飯を食べることにした。学園には一流の料理人が経営する食堂があるのだが僕は母さんの作ったお弁当があるので行く必要はない。


 食事を終えるとお昼休みが2時間ほどある。この間は魔法の練習をしてもいいし、図書館などで本を読むのもいい自由行動ができる。僕はやはり父さんの子というのもあってか、沢山人がいるとテンパってしまうので静かな所…木の下の陰にでも寝転がっていよう。


 シルフィは早速友達ができたのでお茶会をしているらしいが僕には無縁の存在だ。ただでさえコミュ障なのに友達なんてできるわけない。マテラ君に悪口を言ってしまったよ、僕は入学初日で遅刻して同級生の愚痴をこぼす痛い奴に思われてるよきっと。


 とりあえず僕は昼休みが終わるまでは無属性魔法【隠蔽】を発動させて自身の存在を消して寝よう。これなら誰かが寝ている僕にちょっかいをかけることもない。


 

 午後から早速魔法の練習の授業が始まった。父さんや母さんが魔法を使う時に道具を使わず魔法陣を出しているからそれが普通だと思っていたけど、杖や本を使ったりする魔道具がある事を知った。


 予め魔力が込められている杖や本は従来の魔法陣よりも効率がいいというデータがあるらしいのだが、「込められた魔力」というのが肝になっている。杖の先に付いている魔石に自身で魔力を注ぎ入れるのだが、その人の魔力量や熟練度によって効率が上がったりより大きな魔法陣を展開する事ができる。


 けどそれは一般的な話であってここリンガルの学園Aクラスは魔道具無しの方が魔法陣を出して魔法を放つスピードが早い人が5人いる。僕とシルフィとマテラ君とクリスともう1人、ドルトン君だ。


 ドルトン君はクリスに次ぐ実力者で元々剣術の家系だったこともあり、剣に魔法を注入させて戦うといった事もできる。魔力量こそそこまで多くないが剣と魔法の二刀流で手数が多い事から色んな戦い方ができる。


「おっと、首席様の魔法を僕はこの目で見てみたいですなぁ。」


 マテラ君がそう言うと先生も集まってきてやらざるおえませんでした。僕は初級魔法の基本である火球を放った。火球は最初こそしょぼそうにゆらゆらと舞うかの如く飛んでいった。


「首席で入ったのは嘘だったんですね」


 僕が放つのはただの火球ではない。そもそも火球の威力は内部の密度で決まる。ただただ大きい火球を出しても内部がスカスカだと威力は低下し、空気の一つも入らない様な位にぎっしり詰め込めば凄まじい破壊力を生み出す。 


 そして遅くゆらゆらと小さい火球を出したのにも意味がある。相手を油断させるためだ。普通の火球は当たれば痛いって分かるけど生活魔法レベルの火球が出てくれば頭の中でこれなら当たっても問題ないだろうと錯覚させる為だ。先程も言ったようにこの火球は内部詰め詰め状態の火球のため的に当たれば…


(縦5m・横5m・高さ数10mの火の柱ができてしまう。)


 魔法はイメージだ。初級魔法の火球は的に当てれば爆発するという固定概念を捨てる事によって、火球でもまた違った火球になる。魔力量が少なくてもイメージ次第でどうにでもなってしまう。それを理解してない人が多い気がする。


 マテラ君は怖気づいたのか膝から落ちていた。この魔法を驚かないのはやはりシルフィしかいないだろう。なんせこれよりも凄い魔法を間近で見て覚えたからね。


 僕はこの学園で何を学べばいいんだろうと考えながら初日を終えるのでした。

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