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劣等薬屋は世界を救う  作者:
劣等薬屋 三章 ミライ編
112/117

110.勇者の子孫の神隠し

 汽車の旅行2日目は特に寄りたいとこもなかったので3日目の最終地点である7代目勇者の子孫がいるイズモ国に到着する。


 イズモ国は大国主大神という国土を開拓した国造りの神様を祀っている古い時代からある神社だ。神社周辺の街も「和」をモチーフにした造りになっている。


 第X次世界大戦が起きた時、この神社は未知の力(仙道)が宿っていたことにより当時の姿のまま保っていられたと記されている。


 吟遊詩人と聞けば洋風なイメージがあるがここが昔の日本、それこそ平家物語に語り継がれる琵琶法師なのではないかと私は考察するが一体何処に?

 

 お父様は勇者になった者は魔力の波長が少し似るとのことで、お父様と同じ波長の魔力持ちを探すことにした。(それしか手掛かりがない)

 

 通る人に全員がなんかしらのお面を被っていてすごく不気味だった。素顔を晒さないのには何か意味があるのかとも思ったが、それほど気にする様子もなかった。


 しばらくして商店街らしき場所に着いたら奥の方から「ばらりからり」と弦楽器の音がしたので私は小走りで音の鳴る方向に行く。


 お父様とカエデも一緒について行くが音の鳴る方向に進むにつれて霧が出始めていた。お父様達は少し様子がおかしいと思い立ち止まったが、私は臆することなく進んでいったが霧が濃くなって振り返ればお父様達の姿が見えなくなった。


 だけど音だけはまだ聞こえたので聴覚を頼りに行くことにした。


ユウキ「ミライの姿が見えない、探知の魔法も使えない…何故だ?」


カエデ「イズモ国に着いた時から魔力が誰かの手によって制限されています」


ユウキ「ミライ!!何処にいるんだ!!」


 私は音を頼りに霧の中を歩く。音は一定の距離で鳴っているが近づこうとすると遠くに行ってしまう。それを繰り返していくと突然霧が晴れた。


 辺りの視界が見えるようになったと思ったら田んぼ道のド真ん中に私1人だけだった。私はどれくらい遠くまで歩いてきたんだろう、あの時お父様と一緒に行ってれば良かったと思ったけど道なりに進む。


 相変わらず景色が変わらない広大な田んぼ畑と道が永遠と続いているような気がする。遠くの景色がまるで双眼鏡を逆から見たような感じだった。


 私は異変を感じたので目印として地面にバツ印を描く。私の考えが合っていればこの先に進んでもこのバツ印に着いてしまう。予想は当たっていた、この場合は当たらないほうが良かったのだがこの道は永遠にループしている。


 だから何度道を進もうが戻ろうがこの道に帰ってくる。所謂「神隠し」に遭ってしまったのである。普通の5歳児なら泣いて立ち止まるが、中身は成人超えのブラック労働者だから立ち止まることはなかった。


 私は道を歩くのではなく田んぼを無理やり歩くことにした。道がある縦方向がダメなのなら田んぼの横方向を歩けば何か変わると思ったからだ。


 その答えが正しかったのか田んぼの先には新たな道があった。そしてその道の先には山があり、どこかに続いていた。


 石の階段を登る、等間隔で置かれている狐の石像が私を見ているかのような不気味さを感じた。いつまで登るのか、後何段あるのか分からないが登り続けると小さな家があるのを発見する。


 私は最後の力を振り絞って階段を駆け登り家まで作くが、そこで魔力が切れたかのように視界がぼやけて倒れてしまう。


 パチパチ…と近くで音が鳴る。私は眠っていたのかと起き上がると目の前に焚き火があり、串焼き魚があった。私はお腹が空いていて不自然がどうとか考えることも無く手に取りかぶりついた。


 それと同時に後ろから歩いてくる人が1人、見た目は青年だが立ち振る舞いは老人のようだった。この人はこの家に住む主で、私のような迷い込んだ人を救助する人らしい。


 それにしては不慣れな動きだったが青年は私に話す。


 青年

 その瞳って勇者特有のやつだけど、魔力は魔族の魔力と混じって濁ってるな。何代目の子孫なのかは分からないが長年敵対した魔族と結ばれてるのは反吐が出るぜ。


 

 いきなり酷いこと言うな。普通の5歳児だったら何も言い返せなくて泣いてるところだよ。良かった…中身が成人超えてる人間で。


 お兄さんも私と同じ瞳をしているけどもしかしてお兄さんも勇者の子孫なの?


 青年

 お前にはお兄さんに見えるのか…まぁそんなことはどうでもいいとして、俺は純血の勇者の魔力を引き継いでいる。だが、血を引き継いでいるとはいえ勇者の力は使えない。


 俺の親父の7代目で終わっていたなら子孫の俺が次の勇者になれたけど、8代目に勇者の力渡したから勇者の血はあっても力はない。だからこんな瞳を持っていても何もできないただのカラコンと同じ。


 それで言うとお前の魔力は勇者の力を引き継いでるみたいやな、もしかして8代目の子孫なのか?だったら都合がいい…ここでお前を殺せば力が手に入る。


 

 何言ってるのお兄さん…冗談は止めてよ。


 青年

 これが冗談で言ってる様に聞こえるかお嬢ちゃん、では早速…


 

 (助けて…お父様…)


 青年

 なんてな…強奪しようとしても力は継承されないんだ。お前の親が俺に9代目の継承と勇者の剣に認められないと正式になれない。


 少し驚かそうとしたけどやりすぎたな、すまんかった。俺の名前は夏目重一(なつめしげいち)7代目勇者夏目五郎太(なつめごろうた)の実の息子だ。


 勇者の勘ってやつで何となく俺の助けが必要なのは分かった。吟遊詩人としての俺の力が必要なんだろ?


 そう言う夏目重一は小屋の奥から琵琶を持ってきて準備をしていた。


重一「とりあえずこの空間から出ないといけないな。」


 そうなんだよ、田んぼを歩いていたら偶然ここを見つけただけで前まで何もない道を歩き続けていたんだ。来た道を戻ろうとしても無理だったのに…


重一「この空間は俺と親父が作ったお化け屋敷空間だからな。」


 お化け屋敷…


重一「夜になると妖が田んぼから出てきて、迷い込んだ子供達を怖がらせるんだ。そんで驚かせながら小屋のある道まで誘導してここに着く。」


 はへ?


重一「最後に俺の怖いお話を聞いて、泣き叫んだら元の場所に帰すって感じ。お前もここに来る時、弦楽器の音に釣られていっただろ?」


 うん


重一「その音には子供しか聞こえない様に魅了を唱えているんだ。だからお前は此処に来たってわけ。」


 ふーん…魅了ってそんな使い方もできるんだね、勉強になるなぁ。じゃないよ!


重一「そんなに怒鳴るなよ、元の場所に帰してやるし、お前の頼みを聞いてやるから五分五分って事でオナシャス。」


 少し腹が立った私だったが来てくれるということなのでこの空間を抜けてお父様達のとこに戻る事にした。



 

 


 




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