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劣等薬屋は世界を救う  作者:
劣等薬屋 三章 ミライ編
109/117

107.異世界最初の依頼

 健人は無事冒険者登録することが出来た。試験というのは無くて魔力測定のみだった。赤・青・黄・緑・橙のボールがあり、光出すと赤=火,青=水,黄=雷,緑=風,橙=土の適正属性が分かる。そして光る強さによって魔力量が分かるらしいが健人は橙が強く光りだして、この異世界の中では結構魔力量があるらしい。


 まぁ…異世界転移したからそのくらいのボーナスはあるのか。The主人公みたいなポジションだったら、この魔力測定機が全て壊れて「俺なんかやっちゃいました?」みたいな痛いセリフを吐くのだろうけど健人がそんな奴じゃなくて心から安心した。


 安心したのはつかぬ間で僕の番が来た時に、先ほどの言葉を思い出す。


 案の定、僕は魔力測定機が全て壊れてしまい完全にやってしまった。弁償は要らないのでホッとしたが、そのかわりに依頼を受けることになった。


 依頼は簡単だったので健人と一緒に行くことになる。依頼内容は村に出たホブゴブリンの巣の討伐で報酬は銀貨40枚(4万円)くらいで移動を考えると少し足りない。僕の転移魔法は別の異世界でまともに使える保証が無いので怖い。


健人「魔物倒すだけでお金貰えるんですね」


 健人がやる気満々だったので仕方なく準備して行く。依頼には受諾してから〇〇日後に達成しない報酬が貰えない決まりがあるので健人を担いで行く。


 思ったとおりヒョロガリだった健人をおんぶして走ること2時間、依頼主がいる場所まで着いた。本来は馬車で1日かかるが依頼書は2日以内に達成しないと報酬が貰えないと書いていたので仕方なかった。


 馬車で新たな仲間と出会ったり、魔物との遭遇で一緒に戦うイベントが発生したりとあるが僕は昔からイベントはスキップする派だったので道中声をかけられても無視してここまで来た。


「健人君のイベントをスキップするなんて最低です!」


 神はこう言うが、大抵面倒くさいものばかりだ。僕はメインイベントを進めるのはいいが道中のサブイベントをするのが大の苦手。感は鋭いのでどの人間がどんな依頼を出すのか大体分かる。


「色んな人を助けてこその異世界ですよ、人との繋がりが増えるのは強みになりますからね!」


 うるさい神だこと。でも僕がいつまでもこの世界に居れるわけでもないから健人に異世界の常識を叩き込まないといけないな。


「そこは健人君の仲間やパートナー探しじゃないんですか?」


 今は依頼に集中しよう。とりあえず依頼主の指定した場所に洞窟があった。魔力の多さ的にここで間違いないだろうが魔物の群れの中に人の魔力も感じられる。


 妙だな。神さんよ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど…


「なんですか、全知全能の神であるこの私に何でも聞いてくださいまし!」


 この世界って魔物と人間の共存はどのくらいなんだ?


「共存ですか?私の調べでは共存はしてないと思われます。」


 とすると現在洞窟の奥でホブゴブリンと戦っているのか、それとも…


健人「ねぇミヤさん、早く行こうよ。僕楽しみで仕方ないよ。」


 健人が僕の手を掴み進みだした。


「こう見ると親子みたいですね」


 この洞窟、意外に整備されているな。等間隔に松明が設置されていて人の痕跡もある。ここで調理をしたんだろう、まだ焼き焦げた灰の跡がある。きっとこの先に違いないと足を運んだその時…


 左から刃物を持った盗賊が健人に襲いかかってくるが健人の固有魔法「危険察知」で初撃又は不意打ちを確実に避けることができる。なお、近接攻撃であれば危険察知ですべて避けきることができるので健人に刃物は一生当たらない。だが健人が反撃しないで逃げるもんだから決着もつかない。


 避ける健人と健人に当てたい盗賊が拮抗しあってる中、僕は奥の方に進む。あの盗賊が健人に刃物を当てることは出来ないと確信したうえで先に進む。


 奥の方に扉があり、その先に魔物と思われる魔力と盗賊の魔力が入り身だっていた。バレないようにそっと扉を開けると頭領と思われるいかにもな奴と魔物というか魔族が居るのを確認した。


 ホブゴブリンと言うよりは魔族の女の子…もしかして依頼主って盗賊なんじゃないだろうか。盗賊団が魔族の女の子を奴隷の様に扱っているのを見るに、仲間でもなさそうだ。


 冒険者をこの洞窟に誘き出して金品を盗む盗賊らしいやり方だな。僕は確認を終えた後健人のとこに戻ったのだが…


健人「やっと戻ってきてくれたんですね…体は限界を迎えているのに勝手に動き出すんですよ。」


 まだ攻撃を避けていたので後ろから盗賊の背中を蹴り飛ばし気絶させた。その後ヒールを唱えて傷を直しアイテムBOXに盗賊を入れる。


「あの残虐なミヤさんが敵に回復するなんて、明日世界が終わるんじゃないですか?」


 酷い言いようだな。僕にも人情はあるよ、ただあの奥にいた盗賊はそうもいかない。僕はアイテムBOXからある物を取り出し着用する。


健人「それって…」


 いかついサングラスに黒スーツに革靴の取立セットを着用して扉を開ける。


頭領「なんだテメェら!」


 君が依頼主で間違いない?


頭領「もしや冒険者か?死にたくなければ金品を置いていきな。」


 僕は「透過」を使う。この透過は別世界線の(ミト)が使っていた魔法なのだが改良を入れて相手を視認できる距離であれば魔法を使うことができるようにした。


 なので頭領の近くにいた盗賊の心臓を握り潰して殺す。自分の部下が謎の攻撃で死んだ姿を見て怯えるのかと思ったら


頭領「はははっ…もしかして同情を求めてるのか?だったら間違いだぜ。俺たち盗賊に仲間意識なんて存在しない。」


 健人が部屋に入ってくると死体に少し怯えていたが、成長したのかゲロを吐かずに耐えていた。


健人「これってどういう状況なんですか?」


 この依頼書は偽物、この盗賊団が魔族の女の子を虐めていたって感じかな。


健人「ミヤさん…僕がやってもいいでしょうか」


 なんかやる気が出てる健人だったが恐らく魔族の女の子に見惚れたんだろう。綺麗な赤髪ポニーテールの魔族…好きそうな人もいるのは分かる。


 健人は剣を握りしめて頭領にめがけて走り出すが、そう甘くはない。頭領は灰色の球を地面にぶつけると霧状に爆発した。煙幕で姿を隠すためだろう。


 だか先程も言ったが健人に近接攻撃は通用しない。しかも初撃や不意打ちであればどんな攻撃でも防ぐ。


 頭領は目眩ましをしたつもりで健人を斬りに行ったが、ただ居場所を晒しただけだったので健人に腹を斬られた。だが盗賊団の頭領というのもあり、簡単には折れなかった。


 ようやく異世界らしいイベントが来たようだ。ゲームで言うところの最初の砦・最初のボスっていう感じか。


「ボスにしては弱いような」


 いいじゃないか、形はどうであれこのイベントは健人を強くする。強大な敵(雑魚)にヒロインとなる魔族の女の子、絶対勝たないといけないこの場面は誰もが想像できるシチュエーション。


 煙幕の中「危険察知」を多用して攻撃を避けながら頭領を追い詰める健人は中世の舞踏会の「ワルツ」そのものだった。何かのリズムに乗りながら踊るように攻撃する健人と交わしながら必死に攻撃する頭領。


「その例えで言うと頭領が女性の立ち位置になるのですが…」


 それを言うなよ、僕も例えで言ったつもりだけど後から考えると震えが止まらないんだから。

 

頭領(このままだったら…俺が倒れちまう…)


 頭領はポケットに隠し持っていた魔石を上にかざすと魔族の少女の頭に紋章が出てきた。まさかとは思ったけど奴隷紋を入れられていたのか。


 奴隷紋:主人に絶対的服従をする為に刻まれた証。主人の命令は絶対であるので逆らうと命を落としてしまう。


 この状況だと魔族の少女が苦しんで健人が助けようとして少女の方に意識を持っていかれて頭領の攻撃を受けてしまうが、そんな事にはならない。


 僕は【反射】を唱えて魔族の少女の奴隷紋を頭領に付け替えた。付け替えるというか対象を反転させた。つまり魔石で奴隷に指示するなら、奴隷紋を頭領に移し替えればいいし魔石の権利は少女に行けばいい。


 そうすれば主人が魔族の少女になって奴隷が頭領になる構図になる。


頭領「は?」


 僕は今までの恨みをぶつけてもいいよと少女の手枷を外すと…


少女「私の村を襲ったみたいに自分の腸を斬り裂いて悶え苦しみなさい!」


 奴隷である頭領は少女の指示に従い刃物を自身の腹めがけて刺す。


 少女と頭領の2人だけの空間が必要だと思ったので僕と健人は洞窟の外に出る。少し経つと少女だけ出てきてお礼をする。


少女「何処の誰だか分かりませんがありがとうございます。」


健人「なんで捕らえられたのか聞いても?」   


 結構ド直球に聞くね健人、今復讐が終わったばかりなのにそれを聞くのはちょっとどうかと思うけど…


 少女は話した。少女は海を越えた大陸に住んでいた平和な魔族だったが、魔王と人族のあいだで蟠りが出来て敵対してしまい、人族が魔族を見つけては殺しに回っていた。


 家族を守るために少女の父や兄は人族に立ち向かったが少女の目の前で殺害された。でも自分は何も出来ないと悟った少女は母と弟と海を越えて逃亡していたが、先程の盗賊に会ってしまう。


 最後の力を振り絞って人生初めての魔法を頭領に放つも不発に終わってしまい確保、母と弟は奴隷商に持っていかれて少女は頭領の好みだったのか、その場で奴隷紋を付けられたのだ。


 えげつない話だな。そう思っていたら…


健人「君は今、人間に復讐したいんだよね」


少女「復讐は…どうだろう、私なんかが立ち向かっても勝てる相手じゃないし…」


 まぁ、彼女の相手は人族、魔族は同盟国も少ないし人口も負けている。そんな状況で街にでも行けば無実の罪で捕らえられてまた奴隷にされるに違いない。


健人「僕らと一緒に来ない?僕も弱くてミヤさんに迷惑をかけているんだけど、きっと一緒にいれば強くなれると思うんだ。」


 おぉ…健人、素晴らしいぞ!「僕と」じゃなくて「僕らと」で言うことによって仲間意識を持たせることができる。決して自己中心的ではないと分かる1文だ。


 それに異世界で仲間にするテンプレ的に男だけじゃ締まらない。女の子がいれば男だけで淀んだ空気もふわっとさせてくれる。


「もしかしてハーレムとか好きなんですか?」


 何を言ってるんだ!あれの何処がいいんだ!神は何も分かっていない、ハーレムをする奴=ダメ人間なんだ。


 みんなを平等に愛します…って言う割には登場頻度は最初に仲間になった女の子ばかりで後から加入した子達は描写はされるけどセリフがあまり用意されてない。平等に愛するのであればそこをちゃんとしてほしい。


「異世界ハーレム系はそんな感じのが多いですもんね」


 よし!だったらとことん異世界の不満を話していこうではないか!


 と神と話しながら健人と少女とキャンプをするのであった。


健人「あの(ミヤ)たまに1人で話すから無視していいよ」


少女「そうする」




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