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劣等薬屋は世界を救う  作者:
劣等薬屋 序章 ミヤ編
10/96

10.薬師温泉通り

 2ヶ月は早いもんだ、少し前まで請求書で頭を抱えていたっていうのに作業員の皆さんには頭が上がらない。無事繁華街ができたんだけどここで問題がある。ここの繁華街の名前を決めるということ。一見簡単だと思うかもしれないけど、ここで働く者たちとして一人一人に権利があるからお店を開業する責任者に名前を決めてもらい結果、3個の案が出た。


 1つ目はローランさんの案で、【轟鉄工房】という名前だ。やはりドワーフというのもあってか自身の主張が激しく、繁華街=ドワーフ工房になってるらしい。コレばかりは他の民衆が黙ってなかったので却下された。


 2つ目はリンガルの今のお偉いさんであるワトソンさんの案で、【ホワイト・レーヴル】意味はそのままで白い唇という。元々ワトソンさん自身が娼館を営んでいてその支店を今回の繁華街にも置くからだそうです。


 3つ目はサラさんの考えた案なんですがこれが一番しっくりくると思いまして、【薬師温泉通り】。温泉を作る目的で始まった事業なので僕はこれがいいと思います。


 1つ目はともかくワトソンさんの案とサラさんの案で民衆は二分していたんですが僅差でサラさんの案が採用という形になりました。

 

 名前も決まったことですし次はワトソンさん達に温泉の大まかな説明をしていきました。まず最初に玄関を開くと大広間があり、今ではロストテクノロジーと言われる物が置いてあります。マッサージ機というやつですね。それを数台置いてあり、ドワーフの方々が作ってくださったので気持ち強めに設定されています。


 それ以外にも椅子やテーブル等も多くあり、畳エリアも完備しております。最初は驚いたんですけど流石交易都市ということだけあって、畳が売ってたんですよ。この手触りと言うか、この独特の匂いというか懐かしい気持ちにさせる。


 この世界にない物で「娯楽」があり、卓球や広いスペースにはボーリング場を完備しております。これもまたドワーフさんが作ってくれました。


 温泉といっても旅館になっているため泊まることもできます。あくまで温泉がメインなので部屋数はそこまでありませんが泊まっている間は温泉に入り放題だったり、繁華街等での商品の割引券なんかも貰えますという特典もあります。


 温泉はもちろん男女別になっていてもっと言うと、種族別にもなっています。基本的な場所は同じなんですけどエリアが違う感じですね。例えばリザードマンエリアですと常温よりは少し冷たいけど水風呂よりは温かくなっている。ドワーフエリアはマグマの様に熱くなっている為、熱いの大好き自慢の方々が好きそうです。


 他にもエリアはありますが温泉と言ったら「サウナ」ですね。雪の都市リンガルを見ていたら、300年前にあったといわれるフィンランドという国を思い出しましてサウナを作りました。


 ここに関しては実際に色んな種族の方と試したんですけど、皆さん我慢比べをする場所というか一番残っていた者は勝者!みたいなものを勝手に作り出してしまう程絶賛していました。それに便乗して一番になった方には一人サウナルーム貸出券をお渡しすることにしました。


 先程も言いましたがここは旅館にもなっているので勿論料理なんかもありますし、お飲み物も充実しております。ですのでこの薬師温泉でゆっくり寒さと疲れを落としてもらって、繁華街でいっぱい美味しい物だったりのお買い物をして欲しいと思っております。


 料金としまして

 大人銅貨5枚 子供銅貨3枚

 温泉1年パスポート 銀貨10枚


 と少しでも安く提供させてもらっています。皆さんに長く使ってもらえる温泉でありたいです。



 旅館とは別で僕達の家もありますので、僕は薬師温泉旅館の総支配人になりサラさんが女将になってくれました。これって相思相愛でいいってことですか?なんて妄想は置いといて、他にも人材を採用して準備はバッチリです。


 開業は明後日なのでここでひと休憩に入りたいところなのですが、先にアイテムボックスからカエデ嬢達を出しました。基本的にはアイテムボックス内は時間が止まっているんですけど、それよりも強力なウイルスというか呪いというか。少しずつ体を蝕んでいっていましたが僕らが作った温泉に入れば少しばかり呪いの進行を止める事ができると分かりました。


 お久しぶりですねカエデ嬢にヴァイオレットさんとシアメル。レスダーさんはボックスから出した途端状況把握して早速温泉に行きました。流石ギルマス、行動が早い!


 

 私はいったい…。王都での襲撃にあって倒れたはずですが…


 

 僕は王都で起きたことをすべて話した。魔族と戦ったこと、王都が謎のウイルスに侵されたこと。話すのも苦しいがそれ以上にカエデ嬢が心配だ。カエデ嬢は薬屋で働く前は王都で宮廷魔法使いとして働いていて、好きな恋人もいたのだと。 


 王都がだめになった今、その恋人が生きている確率はかなり低い。それに今の状態で王都にいけばさらに呪いが強まってしまう。僕は王都に行きたいカエデ嬢を取り押さえた。


 事情は何であれ分かってほしい。今の僕らじゃ何もできないし、王都に行っても無駄死にするだけだ。せっかく生き残れたんだから生きてほしいし、もしかしたら何処かでその恋人も生きてるかもしれない。


 

 …と、俺は何したらいいんだ店長?見たところ薬屋じゃないような気がするんだが。 



 それに関しては問題ない。ここは薬師温泉旅館になっていて、温泉に入れば浄化いわゆるハイヒールと同じ効果が受けられるんだ。その他にも物販でいつものポーションなんかも売っていくつもりさ。


 そしてなんだがサラさん達も来たみたいだし、皆で双子の名前を決めないか?とういうのもこの子達は民衆に発表されない隠し子というやつだった。王様とメイド長が身籠った子だった為誰も知られない地下で暮らしてたらしいが厳しいバツだったり酷い暮らしをしていたりとかは無く、それなりに裕福だった。


 カエデ嬢は今は話すことでできない状況なので従者のヴァイオレットさんと共に部屋に連れていき、名前を決めることにした。僕らがへんてこな名前にしないようにサラさんに全部決めてもらい、男の子はユウキ・女の子はシルフィと名付けた。


 この子達があの王都のような経験をして欲しくないし、楽しく毎日を送ってほしいので仮パパと仮サラママと他皆でこの子達を守っていこう。



 薬師温泉旅館「九条」開店です…


 


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