クロニクル【08】 VIII
クロニクル【08】 VIII 2013年07月05日
カーボスター中のカルシウムイオン(イオン化カルシウム=Ca 2+;iCaとクエン酸イオン(Citrate 3-)の結合様式について VIII
【目的】
カーボスター(以下、CSと略記)中の遊離のカルシウムイオン濃度を理論的に考察する。
【今回の目的】
クロニクル【06】 における実験結果を近似式に当て嵌める。前回の結果の改めて考察する。
【方法】
exelでグラフを作成し、実験結果に合う近似式を探す。クロニクル【06】の①’及び②’式をグラフ中に埋め込んで比較する。
【結果】
1)図から判るようにマグネシウムイオン(以下、iMgと略記)が存在しない場合(表1に対応)は累乗(0は定義外)及び多項式(二次)近似が、カルシウムイオン(以下、iCaと略記)濃度一定でマグネシウムイオン濃度を変化させた場合は多項式(二乗)近似が実験結果を良く反映するとがわかった。
2)遊離iCa濃度 = F iCa ={(iCa+iMg×0.70)-([Citrate 3-]/1.54)}×{iCa/(iCa+iMg×0.70)}}…… ①’
上式からiMgを消去 → F iCa ={iCa-([Citrate 3-]/f )}…… ②’として、①’式ではiMgを、②’式ではiCaを変数と変えてF iCaとの関係をみると、②’式では単純な直線なので上記近似式とは乖離するが(左図)、①’式では多項式近似と良く重なることが確認出来た。
【考察及び結論】
1)結果1に関しては、変数が一つで、かつ直線関係ではないので、累乗近似が妥当と思われる。これは平衡式で考えるとiCa濃度によって平衡定数が変化する(単純な定数ではない)場合に相当する。
2)結果2に関しては、多項式近似(二次)では数値が2.37(mmol/L)を越えると下降を始めるので、その点までの近似式としかならないため、①’式の方が妥当と思われる(本文の図 参照)。
3)②‘式は直線なのでexelで求めた近似式と乖離するが、①’式はexelの近似式と良く一致した。
【今後の予定】
クロニクル【05】で検討した平衡式の値でx(Cit 3-と結合しているiCa):y(Cit 3-と結合しているiMg)=1.5:0.5と仮定し、数値計算でxを求める。その際、今回の考察結果も考慮する。
以上