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クロニクル【04】 IV

クロニクル【04】 IV 2013年04月15日


カーボスター中のカルシウムイオン(イオン化カルシウム=Ca 2+)とクエン酸イオン(Citrate 3-)の結合様式について IV


【目的】

 カーボスター(以下、CSと略記)中の遊離のカルシウムイオン濃度を理論的に考察する。 これまでのクロニクルにおいて掲題の考察及び続けたが、カーボスター(以下CSと略記)中に存在するマグネシウムイオンについては考慮外としていたので、その考察を付け加える。なお、以下の考察は クロニクル【01】において行ったモデルを踏襲する簡便なものでCS中に存在するクエン酸イオンは錯結合対象である金属イオンの割合が多いため、すべて金属イオンと結合していると考えている(錯結合平衡を踏まえた考察ではない)。


【考察及び結論】

 ※ 以下の計算値はエクセルでの計算から得られた値のうち小数点以下第二位までを示したものである。

1)CS中に存在するカルシウムイオン(以下、iCaと略記)、マグネシウムイオン(以下、iMgと略記)、クエン酸イオン(以下、Cit 3-)の量は、それぞれ1.50、0.5、0.67(=2/3)(mmol/L)である(CS添付文書参照)。

  その割合の比は9:3:4となるので、これを単純に個数と考えるとCit 3- に消費され得るiCa + iMgの総量は9 + 3 = 12ヶとなる。マグネシウムイオンもカルシウムイオンのようにクエン酸イオンと1:2で錯形成すると仮定し、またその錯形成定数もカルシウムイオンと等しいと仮定すると、金属イオン1ヶについて2ヶのCit 3--が消費されるのだから残るイオン種の総量は10ヶ。

 これを濃度に戻すと1.67 mmol/L。これは(iCa + iMg)の値である。

 iCaとiMgの割合は9:3なので、iCa/(iCa + iMg)= 9/12、iMg/(iCa + iMg)= 3/12より、その割合で上記に重みを付て単純計算すると、フリーのiCa及びiMg濃度は、それぞれ、iCa = 1.67 ×(9/12)=1.25、iMg = 1.67×(3/12)=0.42(mmol/L)となる。

  本報で考察しているような金属イオン1ヶに対して三座の配位子2ヶが結合する錯塩における錯生成平衡定数等の該当データは現時点で残念ながら見つからない(無いのではないかと思われる。すなわち今回ような考察はこれまで為されて来なかったの

 で。また文献1、2にiCa(またはiMg)とCit 3- が1:1結合する場合の平衡定数は発見できたが、前提上、それらは利用できない)。

  よって以下のように考えた。

クロニクル【01】ではiCaは無限希釈状態(活量=1、事実上数mmol/L以下の濃度)にあって初めてCit 3- と [Ca(Cit 3-)2] 4- を形成できると仮定したが、これはiMgでは成立しない。MgがScから始まる遷移金属に遠いからである。よってiMgは無限希釈状態でもCit 3- と最大でも1:1でしか結合できない。これはiCaの側から見ればCit 3- を競合する能力がiCaの最大半分ということであるが、それでは判り難いので、ここではiMgの代わりに、iCaと共存し、iMgと同じ程度にiCaとCit 3-を競合する架空の金属イオンiMを考えることにする(iMは Cit 3- と[M(Cit 3-)2] 4-  のように錯結合すると仮定する)。するとiCaの側から見て、共存するイオン比は9:3:4ではなく、9:1.5:4(iMg → iM補正 3×0.5=1.5)→ 18:3:8(整数比)→ 126:21:56(Cit 3-数で割り切れる整数比)と補正されることになる。{(18 + 3)-(8/2)}/12 = {(126 + 21)-(56/2)}/84 = 1.42、1.42×18/21 = 1.42×126/147 = 1.21(mol/L)なので、上記の仮定におけるiCa濃度は1.21 mmol/Lと見積もられる(この場合はiMg濃度を上記の方法で見積もることはできない)。

 ※ 12=1.5(mmol/L)×8、84 = 1.5(mmol/L)×56。

 よって前回の結果と併せて、CS中のiCa濃度は1.17 mmol/L(iMgがCit 3- とまったく結合しない場合)から1.21 mmol/L(架空のiMをiMgに戻して、iMgがCit 3- と最大1:1で結合する場合)と見積もられる(1.17 <(iCa)<1.21(mmol/L))。

  現在評価中の電解質分析装置(電極法)(仮装置名:Ele_Ca)用CS用D及びB液で校正したEle_Caでこれまで得られたiCa濃度は1.16 ~ 1.20(mmol/L)であったから、上記の考察結果は実験結果を良く反映していると考えられる(簡便でデジタルな考えでも、ある程度本質を突くことができるらしい)。


【今後の予定】

 これまで見つからなかったカルシウムイオンまたはマグネシウムイオンとクエン酸イオンの錯生成平衡定数が見つかった(ただし上記したように1:1結合の場合)ので、錯生成平衡式を用いた考察を行う。


 デジタルで考えると以下のようになる。

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


 そもそもカーボスターの組成がわかっていることを前提して書いてきたが、以下参照。

挿絵(By みてみん)


文献1:

Trranslocation of Manganese, Iron, Cobalt, and Zinc in Tomato

Lee 0. Tiffin

United States Department of Agriculture, ARS, SWC, Mineral Nutrition Laboratory,

Beltsville, Maryland 20705

Received Juine 22, 1967.

挿絵(By みてみん)


文献2:

挿絵(By みてみん)


以上


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