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2-49.王様のブラックジョークという事で

「「「!」」」


しっかり王様達の耳に届く声で意思を持って伝えた。俺の顔が見えていない後ろのみんなに聞こえても冗談だなと思われる声色で。


正直な話。

たまたまこの王国に生まれて、たまたま家族がいるからこの王国に住んでいるにすぎないのだ。

竜巻直前に他の国にハクに乗って飛んで行ったが、寒すぎない地区ならどこに住んでも構わないな、と思ったくらいだ。


あまり寒すぎると行動に支障をきたしてしまう。

寒いのは苦手なのだ。

暑すぎるのも困るけどね?


精霊にルークの思考は当然ダダ漏れサトラレ。

精霊王である精霊ちゃんも例外ではない。


え?嘘でしょ?って顔で見られても、そんな事はこちらからしたらお構いなしだ。

申し訳ないけれどそんな義理はないよ?

家族に迷惑が掛かるなら亡命もありだ。

キースに言えば、「なら一緒に他国へ行こう!」と嬉々として言ってくれるだろう。

ふっふっふ。


「「それもありかもしれないな。」」


ルークとキースの声が重なる。ほらね?

キースは先程のルークの言葉、『他国へ移住もあり』に、心が大きく揺れたようだ。


「あら、キースが移住するなら私もそうしようかしら。」

「え?デイジーが移住するなら私も一緒に行くわ!」

「おいおい!ハンナが行くなら俺も行くぞ?」


と、芋蔓式に祖父母が釣れた。

ルークの両親であるアーサーとアイリスも、もちろん自分達も一緒に行きますよ。

という表情で頷いていた。


「ちょ、ちょ、ちょーっと待ってよ!!冗談よ!冗談!ちゃんと筋を通すわ!無理強いはしないし、無茶も言わないわ!今まで通り!」


焦った精霊ちゃんは慌てるが、今まで通り〜?それでじいちゃん達が嫌な目に遭ってるっぽいのにぃ〜?


ふと思いついた移住ではあるが、良い案かもしれない。

ルーク一人で一族を一生養えるだけのお金はすでにあるのだし、祖父母も両親もルークに養われずとも他国で生きていくだけの金も腕も備えているのだ。なんなら一人で移住もありなのだ。ここに来て五年。誰かが居なければ流石に寂しいかもしれないけれど、スローライフのやり方は学べたし、万能スキルがあるから土地さえあればどこででも暮らす自信がある。


王様も王妃様も慌てて精霊ちゃんの言葉に頷きまくる。あんな勢いで頷いていたらムチウチ症になっちゃうんじゃなかろうか。というほどの勢いだった。


(王様も王妃様もさ。思考がさ、甘えてるんじゃない?俺にも、俺の家族にも。

俺が帰還して、生まれて育ってるから安泰だって思って治世が崩れるなら、俺はここを出たほうが良いよね?)


ダメ押しの念話で精霊ちゃんに告げる。


ハッとした精霊ちゃんは申し訳無さそうな表情に変わった。おそらく本当に甘えていたのだろう。


(それは傲慢です!その気持ちが育ったら黒霧の発生源になるって知らないわけじゃないでしょ?)


更に追加で言えば、飛ぶ元気を失ったかのようにヒョロリと王様の上に落ちた。光を大分失っているので、多分精神的に落ち込んでしまったか反省する準備に入ったのだろう。ついでに王様と王妃様もしょんぼり項垂れてしまった。


精霊ちゃんのスキルで、ルークの心の声が伝わっていたのかもしれない。ちょっとだけ言い過ぎたかな?とは思うけど、間違った事は言ってないと思う。


「でも成人の儀があるならさ、宮廷ホールで式典は良いかもね。全員の名前を一人ずつ呼んで、王様も王妃様の前に立って「おめでとう」のお言葉をいただくなんて良いと思わない?一生の思い出になるよね!ドキドキワクワクだよ!」


この王国の成人の儀がどんなもんか知らないけれど、俺の考えたのはいわゆる成人式。そこに滅多に顔を拝見することが叶わない王族と会えて、お言葉を貰えるなら、ちょっと遠出をしてでも行ってみても良いかなと自分なら思う。

せっかくだし、家族も王都へ一緒に出てきて王都観光も楽しんだら楽しめるんじゃなかろうか。構想五年の公園もオープンするし。

人数がどれくらい集まるのかは知らないけど。

多すぎるなら数日に分けたら良いのだ。


「式典はちょっと堅苦しい感じにすると良いな。その後立食パーティーがあるなら、更に楽しいんじゃないか?そっちは欠席しても良いとかにして。」

「同じ年の人間が一同に会するというのは良いかもしれないわ。」


珍しくジェイクとハンナが助け舟を出したように感じたが、ルークの意見に賛同しただけかもしれない。

キースはスンとした表情を保っている。この場に宰相は来ていないが、どこから話が漏れるか解らない。ここで甘い顔をして、宰相に曲がって伝わる可能性がないとも限らないのだから、拒絶の姿勢は崩さないのだろう。

デイジーはいつも通りニコニコしていて心が読めない。さすがだ。


というか。

王様と王妃様二人しか居ないって、流石に不味くない!?いや、精霊ちゃんがいるし、勝手に転移して来たのか…。


「それならさ、そのパーティでは、新進気鋭の料理人の発表の場にしたら良いんじゃない?料理は必ず『門出に相応しい料理』とかにして。で、成人した子達にどの料理が良かったか投票してもらうの!」


そしたら、ばあちゃん達が無理やり引っ張られることもない。ルークの提案に王妃様がピクリと体を揺らし顔を上げた。


「お。面白いな。」


「でしょ?そこで優勝した料理人は、一年間『何年成人の儀料理大会優勝』っていう看板を掲げて王都でレストランを出店させるとか。もちろん一年間レストランの店舗は無料貸出にしてさ!」


無理にばあちゃんたちを引っ張り出して、そのお礼だからと振り込まれる料金よりも、店舗貸出無料の方が経費は格段に安い。同じだけ経費が使えるならば、レストラン経営に必要な人員も手配してやれば良いのだ。


「一年経営すれば、経営の仕方も学べるだろうし、腕も更に磨ける。仲良くなった従業員がいたら、その後に引き抜きもオッケーにしたらお互いWin Winだし、王都の活気も良くなるのでは?確か、店舗はまたまだ余ってるし。」


大人の経営者と同じようであり、まだ子供の浅い意見かもしれないけれど、美味しい料理や評判の料理店が毎年増えるのは、周囲で働く人たちにとっては喜ばしいでしょ?


「それは良いアイデアだ!」「この話はしっかりと詰めましょう!」


王様と王妃様が言うと、周囲の人間達は「おおお!」と喜び始めた。

ここには料理人が多くいるので、こういうイベントが今後あると耳にすれば、テンション爆上がりなのだ。自分達は隠居した身ではあるが、知り合いに連絡すれば喜ばれるだろう。

従業員たちは、それぞれ集まって話し出したので自然と王様と王妃様からは離れていった。


王様の頭の上で、


「そう…言われてみたら…、成人の儀って大昔は神獣様のところへご挨拶へ行ける唯一の日で、人間の子供達は大喜びだったのを思い出したわ…。」


精霊ちゃんはぼうっとした様子で涙を流す。

するとその涙が頬から離れるとピカリと光ってヒュルリ消えていく。


その光景は、なんとなく浄化を思い起こせる光景で、とても美しいとルークは感じた。


「うん。そうよね。そうだわ。成人の儀も誕生日のお祝いも、大昔はやっていたわ。大切な子供達の成長を神獣様と共に喜びあったのよね。すっかり忘れて、国をどうにかすることばかりに目がいってしまって。ダメよね。こんなんだから神獣様は未だに姿をお見せにならないんだわ。」


少し寂しそうにいう精霊ちゃんをみて心が痛む。ルチルならもう降りてきているのだ。


そう言えばいつもなら肩にやってくるはずのルチルが姿を見せない。

仮の姿であっても精霊ちゃんとはまだ会えるほど、精霊ちゃんの思考が整って居ないのだろう。

現にプリンケーキを今後も食べたいがために人の迷惑を省みず、おかしな事を言い出したくらいなのだ。


精霊王の中でも精霊ちゃんが一番まともだと言う話だったっけ。正直これで?だな。そりゃフェニックスだって帰ってこないはずだよなぁ。


「そ、そんなぁ…。」


ルチルのことを考えた思考はしっかりと隠蔽され、『君が未熟だからフェニックスは帰ってこない。』と言う認識だけ精霊ちゃんは読み取ったらしい。


ルチルの事がバレずにホッとすると同時に、成熟していたはずの精霊王たちに一体何が起きてルチルや星の意向に反する行動を起こすようになったのか、と疑問が湧き上がる。


先程の精霊ちゃんの涙で精霊ちゃん自身が浄化されたように感じたと言う事は…?

では、浄化されなければいけないような“邪な気持ち“を持っていたと言う事だ。

なら、それを持つに至った原因は…?


俺がいない間に、一体何が起きてこんな事になってしまったのか。

改めて考えていく必要があるな。


自分がこの星で今後も楽しく生きていくには、ルチルの復活は必要不可欠なのは確実。

自分だけが幸せでは意味がない。周囲も、その周囲の人の周囲も、さらにその周囲だって幸せでいてほしいのだ。


この星に入り込んでしまった他星の魂。

酷い思考の持ち主から順番に回収していると言うが、まだまだ紛れ込んでいるだろう。

果たしてそれらの魂を追い出す事だけで、自分達の幸せは確保されるのだろうか。


今までこんな感情は湧いてこなかった。

いろんな話を聞いても、ふーんそうなんだ。と、何処か冷めた気持ちで聞いていたのだ。


しかしここに来て、なんでそうなった?

どうしてそこに至った?


そんな感情が湧き出てきたのは…

俺が前世の記憶と馴染み始めた証拠なのだろう。


貴族学校に行けば、昼間は今よりは忙しくなるだろうが、そこは王都。ここのような辺境の地で、帰還者としか会わない環境とは違い、おそらく色んな星から入り込んできた魂と会うだろう。


そこで何か掴めるかもしれない。

それでも解らなければ、他の王国へ行ってみるのも良いだろう。


大元を断たねば星の意向とやらは叶えられそうにない。


大元か。

大元はジンなんじゃないの?

とは思うが、気を引き締めていこう。


ペシャリと王様の頭の上で凹んでしまった風の精霊王に見向きもせずに、そう心に刻むルーク。

精霊王たちは本気の反省が必要だ。


なぜ神獣が姿を消したのか。

最初の頃であればそれを考え改めるだけで良かったはずだっただろう。

しかし年月が過ぎていく中で、精霊王たちは坂道を転がるが如く間違え続けたのではないか?


一度坂道を転がり始めた丸い玉があれば、その先にある平坦な道をある程度進むまでは止まることができないように、おそらくこの一億年と言う時間で、転がり切るところまで転がり落ちたのだ。

平坦でもツルツルな道であれば、ゴツゴツした道よりも転がってしまう。


間違いをやんわりと正し、星の在り方を伝えてくれた神獣は、彼らの導き手でありストッパーだったはず。

その神獣を失ったのだ。

おそらく平坦な道もツルツルだっただろう。


結果がこの精霊ちゃんの考え方。

なら、他の王国の精霊王の思考は一体どうなってしまっているのか。


考えるだけで頭が痛くなる。


いや、せめて違う角度の坂道であれば、違うベクトルでもう少しまともな精霊王だっている可能性は…ないだろうか。


例えばそう、


「タマちゃんとか。」


タマちゃんはどれくらいの期間封印されていたのだろうか。あまり気にしてこなかったが、重要な事柄な気がし始めた。


今更だけども。


「タマちゃん…旧、光の…精霊王…。」


べしょべしょでペショペショだった精霊ちゃんが呟きながらゆっくり顔を上げる。

精霊ちゃんがこんな状況でも王様も王妃様も心配もしなければツッコミもしない。一体どんな関係性なのか。

少し心配になるが、自分には関係ない。と言うよりもそのことについて尋ねるような関係性もまだないのだ。そこはスルーして良いだろう。


精霊ちゃんが声を出したので、とりあえずそちらに顔を向ける。


「あの子は気がついたら居なくなってて、久々に精霊力を感じたと思ったらルークと仮契約してるとか…ずるいじゃないのっ!」


「はい!それは完全な的外れな意見でーす!」


「ぐぬぬ…。」


精霊ちゃんは悔しがるが、タマちゃんは好きで封印されたわけではない。

仮契約もしなければタマちゃんは封印されたままだったと思う。

解き放たれたおかげで光の精霊たちも復活し始めたのだから、良い事ばかりのはずだ。


それに、タマちゃんも神獣だとインナーたちに言われた。

神獣で精霊王をやっていたなんて、大変だったんじゃなかろうか。


それなのに、やっと解放された同胞にズルいだなんて言ってはいけないのでは?


「ご、ごめんなさい。」


「ちゃんと謝れるのは偉いです。でも、その思考はダメです!」


ルークは精霊ちゃんにビシッと人差し指を向けた。


「はぅ!」


両手で自分の頬を挟み変な声を出したが、そこは突っ込まずに良いだろう。


「とにかく、俺からみたら精霊ちゃんの思考はおかしいからね?王都に行ったらちょいちょい会いにきて、話そう。おかしな思考はきちんと正常に戻さなきゃね?」


「はいぃぃ…。」


自分の頭の上で精霊王が凹んでいるのを受け入れているように見えた王様だが、少し眉を下げてからこちらを窺ってきた。


「ルークよ。私たちからも誕生日のプレゼントを準備したのだ。」


そう言うと、隣にいた王妃様が襖の向こうへスタスタと歩いて行ってなにやら少し重そうな袋を持ってきた。


嫌な予感がする。


「そうなの。私達三人の意見がまとまって、これをプレゼントすることにしたのよ。」


精霊ちゃんがその袋のそばまでふわりと浮かんで近寄る。


王妃様にさあ受け取って!と差し出された袋。


嫌な予感がして受け取る手が差し出せずにいると、精霊ちゃんのスキルが発動したらしく、袋は宙を彷徨ってルークの頭上へ飛び、袋がスルリと落ちると同時に、中身がルークの頭にズシリと乗った。


やっぱり…。


ルークはそのズシリとしたものをむんずと掴んで王様の頭の上にお返しした。


「あんたたち!こんな子供に王位を譲ろうとか頭おかしすぎるから!!」


精霊王と王族に対してあんた呼ばわりするルーク。不敬とか考える余裕が無くなってしまった。

あれほど不敬罪を怖がっていたのに。


そう。プレゼントされたのは、王位継承で受けとる由緒正しい王冠。

この王冠はルチルが作成したものでこの世に七つしか存在しない貴重なもの。


「いやいや!正当な王位継承者一族であるフェニックス家に返すのが一番良いんだ!」


王様は王冠を自分の頭の上から取ると、再びルークの頭に被せようとしてくる。ルークはさっと避けて返答する。


「俺には他にやらなきゃいけないことがあるんです!」


「そんな事を言わず!そこをなんとかっ!」


「嫌ですって!!」


わーきゃーと王冠が右往左往するのを、周囲の者達は不思議な表情で見つめている。


「冗談じゃないですよ!何が正当な王位継承者ですか!そんな何億年前の話ですか!」


王様の言っているのは、ルークがこの星にいた大昔すぎる伝説とも言えるくらい昔々の話だ。


今は七つの国に分かれたが、その頃は一つの王国しか存在せず、その王国を建国したのがフェニックスの姓を拝受した一族であったのだ。

素晴らしい統治のおかげでこの星が一番豊かで幸せな時代だったと言われている。


そんなお伽話のような昔々から、フェニックス姓の一族だけは滅ぶことも廃れることもなく、今の時代までその統治能力は尊敬され続けている。


そのフェニックス姓を与えた側が大昔のルークではあるし、統治したのがルークの子孫である事は間違いないが、王様も精霊ちゃんもそのことまでは思い至るはずのない情報。精霊ネットワークもそれよりも後に作ったので記載はない。


つまり、知っているのはルチルと当時のルークくらいなもののはずである。


王様も精霊ちゃんも、ルークがフェニックス姓で、やっと帰ってきた神獣の親友であり、人類の始祖であり、神様だと慕われていた魂だと知っているだけだ。


まぁ、それだけで十分事足りる情報なのだが。


「〜〜っ!!もうっ!なら命令します!!王様は王様の一族で今後も頑張りなさい!フェニックス一族は王位に興味はありません!今後も譲ろうなんて思わずに、精霊王と共に思考を整えてしっかり統治して見せなさいっ!」


ピシャッと指を王様と精霊王を指差し、ルークは告げた。

その言葉には無意識に神力が乗っており、他の王国の精霊王と契約している精霊王にまで楔となって伝えられた。

今後、昔昔に治めるべきスライ王国から出奔した生命の精霊王Uのような無責任な事は出来なくなったし、王族の一族がその責務から逃れる事もできなくなった瞬間であった。


ルークはそんな事になったとは全く知らない。


ルークの周囲に王位が欲しいと言うものは居ないし、なんなら絶対嫌だと言う雰囲気しか感じてこなかったので、『フェニックス一族は王位に興味がない』のは事実である。祖父母の先の曽祖父母の気持ちはわからないが、おそらく同じような人達だろうと予測がつく。

何しろこの祖父母を育てた人達なのだ。王位に興味があるなら、こんなに自由に育てはしないだろう。


「「ぐぬぅ…。」」「はいっ!しかとお受け致します。」


王様と精霊ちゃんは唸っていたが、王妃様はしっかりとした声色で、最上位の挨拶をルークに返した。


「はぁ…。解ったわ。私がダメなところはルークが指摘してくれるのよね?ならこの子と契約を続けるわ。」


精霊ちゃんがそう言うと、王様も仕方がないと頷き、


「大変失礼致しました。拝命致しました。」


恭しく頭を下げる王様の姿に、またしても周囲に騒めきが広がっていく。しかも、王様に対して「命令します!」だなんて言葉を使ったルークに対しても、疑問の視線が突き刺さる。


これはもう、俺が何者なのかを伝えざるを得ないだろう。


ふっと息を吐いて心に決める。


が、俺って何者?


誰かに自分で俺は〇〇で。と話した事はないし、自分自身、俺は俺だと思っているので、説明のしようがない。


まごまごしていると隣から助け舟がやってきた。


「もうっ!王様ったら、ルークが可愛いからって冗談がすぎるわぁ!みんなが困惑しちゃってるじゃないの!うふふ!」


「そうですよ!ルークのお祝いだからってやりすぎですよ!ルークも合わせなくても良かったのになぁ!みんなノリが良すぎるだろっ!あはは!」


うふふあははとハンナとジェイクが笑い出すと、少しビビっていた周囲の緊張感が解けていく。


冗談じゃないけど?と一瞬王様は思ったようだが、周囲の帰還者達の目が突き刺さっていた事に気がついたようで、王族らしい佇まいに戻した。


「あぁ、すまんすまん。ルークが優秀だと言うのでな。将来は宮廷で働いて欲しいものだよ。」


「「「それはお断り致します!!」」」


うふふあははと笑っていたはずのハンナとジェイクもそこは譲れないもばかりに、一刀両断する。ルークと声が揃ったのはさすがとしか言いようがない。


「お…そ、そうか。それは残念だ。」


三人の剣幕と、その三人の後ろにいるキースの表情がじんわりと黒くなったのを見て、ビビる王様と王妃様。

しかもそんなキースの隣で変わらぬ笑顔のままのデイジーもかなり怖い。


美形の二人からあんな仄暗い空気を感じれば、そりゃビビっちゃうよね。


周囲の人たちも、なーんだ。王様のブラックジョークかぁと笑い出したので、とりあえずは王様のジョークという事でその話はおしまいとなった。


ルークはズズイと王様と王妃様の間に歩み寄る。


「先程の統治の話、周囲の精霊達にも監視してもらいますからね?あと、自分の正体は積極的に宣伝するつもりはありませんから。生きにくくなるのはごめんです。面白おかしく生きていきたいので。」


「「「はいぃぃ!承知いたしましたっ!(小声)」」」


精霊ちゃんを含めた三人はピシッと姿勢を正して小声で宣言した。


ルークはスッと後ろに下がって頭を下げる。


「どうぞよろしくお願いします!」


変わらぬ笑顔を三人に向け、両親の方へ歩いて行った。


---


「「……。」」


呆然とルークを見送っている王様と精霊ちゃんに向かって王妃様は苦言を呈する。


「やはり、私が言った通りになりましたわよ?お二人とも、反省なさって下さいませね?ね?」


「「は、はいっ!」」


王妃様はダメ押しとばかりに王様と精霊ちゃんに伝え、プリンケーキのおかわりをもらいにテーブルへ向かって行ってしまった。


「「……。」」


(良い方法だと思ったんだがなぁ。)

(あそこまで言われたら、諦めるしかないわ。今後は気を引きしめてやっていきましょ。)

(そうだな。長い人生で中弛みしてしまったのかもしれんな。)


王様と精霊王の目の輝きは、やる気に溢れていた頃の二人の瞳のように、キラキラと煌めきはじめていた。

明けましておめでとうございます。

昨年中はこの作品を読んでいただきましてありがとうございます。

今年は第三章へ突入いたします。(二章は残すところ後二話となります。)

現在キャラクター構想中で、二章終了後から少しお時間を頂きますが、きちんと話はアップしますので、ブックマークはそのままでお待ちいただけると幸いです。

完結させられるように頑張ります!


(評価やブックマークをしていただけるとモチベーションがグングン上がっちゃいます。(チョロい))


今年もどうぞよろしくお願い致します。

hanacono


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