『桜草』
植物だって、自然界で生きているのだから、
きっと私たちと同様に恋をしているはず。
そう考えて、自然や植物たちを眺めて見れば
あなたにもこんな景色や恋模様が見えてくる
のかも知れませんよ。
春の訪れを
誰よりもはやく
あなたに伝えたくて
毎年のように私は
仲間たちと競って咲くのです
そばを流れる美しい小川の
せせらぎを聴きながら
穏やかな風に撫でられて
潤いをもたらす恵みの雨と
暖かな太陽の陽射しを
交互に受けて勇気をもらう
花咲き見上げれば
そこにはいつもあなたがいる
桜の花びらが開きかけた
美しいあなたがすぐそこに
「もうすぐあなたの春がきますよ」
私は元気いっぱいに呼び掛ける
ありがとうと優しく微笑む
あなたの声が聴きたくて
あでやかに咲くその姿を
いつもそばで見上げていたい
繰り返す季節
私はいつでもあなたを想う
私は野に咲く小さな桜草
どんなにこの手を伸ばしても
あなたに触れることが叶わない
そんな私の想いを知ってか知らずか
ウグイスが私のそばに寄って来る
あなたの花びらを一枚
そっと根元に置いてゆく
「君にも春が来たよ」と告げながら
私は笑顔で眠りつく
風も私の恋をそっと後押し
あなたに想いを知らせて桜吹雪
それはきっとあなたの嬉し泣き
ありがとうまた来年
私が誰よりもあなたに
幸せな春の訪れを
約束するから
~了~
(注)この作品はタコアシのものです。
不正な転載や盗作、並びに違法行為に
なることは固く禁じさせて頂きます。
最後まで読んで頂いて感謝します。
この作品は、『胡蝶の翅』『釣鐘草』に続く
植物詩の第三弾。
少しでも愉しい気分になって頂けたら幸いです。
それでは、また。




