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【コミカライズ2巻8/19発売・小説6巻発売中】転生アラサー女子の異世改活  政略結婚は嫌なので、雑学知識で楽しい改革ライフを決行しちゃいます!【Web版】  作者: 清水ゆりか
第八章 何事も経験(王都&アゼンダ)・ヒロイン降臨!?編

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奴らが領地にやって来た

 一行はいつものように領都の要塞へと馬車を停めた。

 出迎えの騎士団と辺境伯家の中に、少女の姿を認めて幾人もの人が小さく瞳を瞠った。


 マグノリア・ギルモアだ。


 ピンクの髪と朱鷺色の瞳は、伝承にあるハルティア王家の色だという。

 緩く波打つハーフアップの髪は柔らかそうであるが、風に乱れぬよう両サイドはきっちりとねじり編みにされ、後頭部で髪飾りと共に留められていた。


 質実剛健をモットーとするギルモア家らしく、ガーディニアはいうに及ばず、貴公子たちから贈られたワンピースを着るマーガレットよりも質素なワンピースを纏っている。

 だが決してみすぼらしい訳ではなく……何故だか慎ましやかさが美しさを増幅させている様に感じられた。


 登城することが殆ど無いばかりか、領地に来たとしても出迎える事も無い為、王子の側近であっても初めて目にする者もいる。


 噂の妖精姫は、辺境伯と次期辺境伯に護られるかのようにふたりの間に立っていた。


 見るからに筋骨隆々の山の様な老人と、一見細く見えるだけで実際は逞しい青年の間に立てば、そのほっそりとした姿は否が応にも強調される。

 折れそうな柳腰と対照的に豊かな胸。美しいデコルテを隠す様に首元まで詰まった服を着ているため、禁欲的な雰囲気が逆に妖しい色香を増強している気がしてならない。


 家系なのかマグノリアも女性としてはそこそこ長身である。顔立ちは幼さが残るものの凹凸の激しい体型もあり、とても秋に十三歳とは思えない見目だった。


 そして、美姫と謳われるガーディニアも、学院一愛らしいと言われるマーガレットも。モブであるヴァイオレットはいうに及ばず。

 この世のものとは思えないような、儚さと美しさと可憐さであった。


 ……左肩に乗る白い小鳥が非常に気になるが。


「……妖精姫」

 誰かがぽつりとつぶやいた。



『……おー、あれが妖精姫かぁ。兄貴とあんまし似てへんが、エラい別嬪さんやなぁ! ……けど、なんや。中身はどエラいオッサンみたいな姫さんやなぁ』


(どエラいおっさん……)


 自分の左肩の上で、脚先をひさしの様にして遠くを見遣るテントウムシの声を聞いて、ブライアンは何とも言えない表情をした。


 おっさんかどうかは別として、なかなか豪胆な性格であるのは確かだ。


 僅か四歳にして自らが自らを買い上げるというウルトラCを繰り出し、あの父を遣り込めたのだ。


 ――あの、暗躍の権化とも言えるジェラルドをである。


 王宮に勤めてみて解った事だが、ジェラルドは無害を装いながらかなり裏で暗躍している。悪事には手を染めていないが、悪事をしている者をバッタバッタと容赦なく闇に表に葬っているのだ。

 実質的な死では勿論ない。社会的な死だ。

 

 ブライアンの知るところではないが……元のゲームよりも健全な国家運営がなされているのは、ジェラルドの暗躍ありきであると言って過言ではない。


 重職に就いていると出来ないのだと言っていたが、成程と思う。


 多分手加減をされただろうし、祖父の元で暮らす方が良いという考えに至ったのもあるのだろうが、そんな父親を出し抜く少女なのである。


 更には襲撃事件で犯人相手に。海に出れば海賊相手に爆弾を投げつけるご令嬢である。

 


 そんな事を考えていると……その中身おっさんな美少女と、クロードの視線の圧が凄い。

 妖精の力について聞いているのであろう。ブライアンの左肩をめっちゃ見てる――すんごい見ているのだ。

 

 そのめっちゃ見ている、中身おっさんなアラサー女性のマグノリアは、ブライアンの肩の上にいるという『男の娘な虫』を目を凝らして確認していた。


(……全然見えねぇ)

 ちっ、と心の中で舌打ちをする。

 

 仕方が無いのでヴァイオレットを見て互いに微笑み、どこか思いつめたようなガーディニア、王子と何故だか口を開いている側近達を流し見て、最後に小柄な可愛らしい少女に朱鷺色の瞳を止めた。


(あの子がヒロインか……確かに見た目は可愛いな)

 

 この世界にしてはやや短めなハニーブロンドには、イチゴとリボンの髪飾りがついている。大きな萌黄色の瞳をキラキラと輝かせていて、顔の下で両手を握りしめて小首を傾げていた。ピンク色のフリフリのワンピースが良く似合う。


 ……何だろう。ロリータファッションが好きな子なんだろうか……?

 ちらり、クロードを見遣る。


『プレ恋』のメインヒーロー(?)とはいえ、『みん恋』の隠し攻略キャラでもあるのだ。案外、一目見て恋に落ちる事もあるかも……と思いながら横目で盗み見ると、めっちゃ眉間に皺を寄せていた。


 マグノリアが反対側を見ると、同じ事を思っていたらしいセルヴェスもクロードをガン見していたのである。

 何だったらヴァイオレットもガン見である。


「…………」

 そんな。三人から見られ不機嫌そうなクロードが、ギロリ、鋭い眼光を返して来た。


(おおぅ、怖っ! めっちゃ機嫌悪っ!)

 ……どうやら一目惚れはなさそうである。


 王子との挨拶の時だけにこやかに顔が変わるのがこれまた恐ろしい。

 面倒なのだろう、作り笑い百二十パーセントであることが身内にはモロ解りな表情だ。

 なお、外面的には素敵な貴公子である。



「久し振りだな、マグノリア。五年ぶりか?」

「覚えていて下さり恐縮でございます。ご無沙汰いたしております」


 セルヴェスとクロードとの挨拶を終えたアーノルドの言葉に、マグノリアは丁寧にカーテシーで答えた。


「ここにいるという事は、今年は案内を頼めるのか?」

「私では体力が持たず、皆様にご迷惑を掛けてしまうかと(大嘘)……残念ではございますが、ご遠慮をさせていただいた方が宜しいかと思っておりますの」


 食い気味にならない様に気をつけながら、断りを入れる。

 大体、忙しくてそれどころではない。

 若干マーガレットが気にはなるが、やっと勢ぞろいしたのだ。ヴァイオレットがどこまででも観察する事であろう。


『凄い可愛い~。お人形さんみたい! どなた?』

『しっ! 辺境伯家のマグノリア・ギルモア嬢だよ』


 マグノリアの姿を見たマーガレットが、小声で近くの側近に確認している。

 慌てたルイは唇の前に指を立て、なるべく小さな声で答えた。


 マグノリアからの声掛けを待っていたガーディニアだが、マグノリアが自分をたてて自ら声掛けをしないと判断すると、ちらりとふたりの方へ視線を向け、まるで声をかき消すようにガーディニアが挨拶をする。


「マグノリア様、お久しぶりでございます」

「ガーディニア様も。お元気そうで何よりです」


 どこか困ったようなガーディニアの表情に、にっこりと笑いかける。

 同行者の態度に苦言を呈したいのだろう。ちゃんと対応できないのは上の者(王子とガーディニア)の責任とでも言いたいに違いない。


 ……マーガレットに関してはガーディニアが対応しないのも出来ないのも解ってはいるので、余り気にしないで貰えると有難いのだが。


「……良く参られた。短い時間ではあるが、楽しんで参られよ」


 本当は来ないで良いのだが。心の中で本音を呟く。

 

 代表者(王子とガーディニア)の挨拶が済み、領主であるセルヴェスが全員に労いの言葉をかけ解散しようとなった時に、マーガレットが小走りでセルヴェスに近寄り、ニッコリと笑った。


「あの……王都でお会いしたことがありますよね? とても大きなおじい様ですもの、覚えておりましたの! お久しぶりです、こんにちは!」


 いきなりの突進に、みんなびっくりして目を丸くした。


 ――大きなおじい様。凄い呼びかけだ。


(……そりゃぁ、確かにデケェけどもさ)


 流石のヴァイオレットも驚いたようで、小さく口を開いている。

 あぁ、という嘆きの声が、マグノリアの後ろに立つディーンから漏れた。


(えぇ~……何故ここでいきなり挨拶!? マナーの練習はどうした?)


 この世界、基本的には身分が上の人間から話し掛ける。

 上の者の予定を邪魔したり煩わせたりしない様、頭を下げたり視線を伏せたりして声掛けを待つのだ。


 下のものから挨拶する事も状況によりあることはあるが、少なくとも長旅をして来て、王子に休んで貰ったり荷物を片付けたり、ガーディニアが親戚の家に更なる移動をしたりという今では無い。


 慌てて飛び出して来た王子の側近がこちらに頭を下げながら、マーガレットの手を引っ張る。


「申し訳ございません! マーガレット嬢、駄目だよ!」

「以前にお会いしたことがあるの! ご親切な方だから大丈夫よ?」


 知ってる人にあったらちゃんと挨拶しなさいという小さい頃の躾と、淑女の挨拶の仕方が同時にマーガレットの頭の中で展開されているのだろうか。

 貴族として対応するなら、貴族の方だけ思い出してくれれば良いのに……


 それともゲームでの性質なのか。もしくは現代日本の行動に当てはめてあるのか。

 

 本当は日本でも目上の人間からかけるのが理論的にはあってはいるが、そこまで誰も気にしていないだろう。何だったら下っ端のくせに率先して挨拶をして来ないなんて、と言い出す輩がいるかもしれない。


 笑顔で元気よく爽やかにご挨拶が、現代日本のセオリーである。



 楽しい旅行先の宿主が(領主だが)、見た事のある人間だったという偶然も高揚させる一端だったのかもしれない。


 今まで会った大人――同じ階級のご婦人や男爵、使用人達。平民時代の近所のおじさん。そんな人たちは子どもであるマーガレットが愛想良くご挨拶をすれば、頬を緩めたに違いないのだが。


「私はポルタ家が長女、マーガレット・ポルタと申します。宜しくお願い致します!」


 カーテシーをして顔を上げると、蕩けるように笑って小首を傾げた。


(うわ~。これがヒロインの微笑み……)


 確かにこれは、男子はやられそうな非常に愛らしい微笑みである。


 とはいえ現在、流石に凍り付いている人間が大半で、困ったような顔をしている王子と、セルヴェスの血縁者である自分が間に入った方が良いのか思案するブライアンの顔が見えた。


「……久し振りだね。楽しんで行かれよ」


 自らの母親がなかなかの自由人であった為、女性に振り回される事に比較的慣れているセルヴェスは、取り敢えず流す事にしたらしく短く返事をした。


 マグノリアを猫っ可愛がりする事からも解るように、小さい子どもには優しいセルヴェスである。

 見た目は悪魔でも中身は優しいおじいちゃんなのだった。


「ありがとうございます! 伯爵様!!」


 その場にいた全員がギョッとする。


「違うよ! ()()()だよ!!」

「だから、辺境……国の端っこに住んでいる伯爵様でしょう?」


 不思議そうにマーガレットが首を傾げる。

 

 本人に悪気は全くなさそうだが、発言は直訳すれば『田舎の伯爵』という意味と捉えられる。

 諫めようとして口を開いたガーディニアを、マグノリアが視線で留めた。


 彼女に咎が行かないよう、きつく叱るかもしれない。話が大きくならない様に、敢えて身内を叱るのは日本でも良くある方法だ。

 だがそれをしたらまたガーディニアが王子に何か言われるに違いない。今現在の立場で、別段彼女が悪者になる必要も無いだろう。


「辺境伯は国境を守って下さる家門の方の事だ。国や時代によっても多少違うけど、爵位としては侯爵家同等以上だよ」

「そうなの!? ごめんなさい……さっき、『マグノリア・ギルモア』って、ミドルネームが無いから伯爵家だとばっかり……あ! 侯爵以上なのにそれが無いのは、私と同じ養女なんですね!」


 焦ったように、愛想笑いをしながら言い募る。

 侯爵令嬢を、文面的にそんな意図はないとはいえ呼び捨て。

 そして笑いながら養女なのだろうとマグノリアに同意を求めた。


 焦っているからなのだろう(……と、思いたい)、言わなくても良い言葉がどんどん口から溢れ出して来る。


 気にはしていないから構わないが、普通なら地雷を踏みまくりだ。

 ……もう黙ってれば良いのに、と思う。


 聞いている側近や近衛騎士達の顔は真っ青である。


「マグノリアは儂の直系の孫だよ」

「マグノリア様はギルモア侯爵家の実のご令嬢ですよ。幼い頃に体調を崩されて、ご静養の為ご祖父である辺境伯の領地に移られたんですよ!」


 悲鳴のような声で公式で出している言い訳が説明される。

 謝罪するだけ謝罪して、説明は後ですれば良いのに……側近氏もテンパっているらしい。


 マグノリアとセルヴェスは、あたふたしているふたりを見遣ってから、顔を見合わせた。

 クロードが静かに口を開く。


「……この一行の責任者はどなたか?」

「私だ」


 ちろり、答えた王子を見て再び口を開く。

「大人の責任者は?」


 お前ではない、責任の取れる大人だと、雄弁に青紫色の瞳と表情が物語っている。口では言っていないが。

 ……不敬には当たらないのだろうか。ギリ、セーフだろうか。


「……私でございます」


 侍従長が前に進み出て頭を下げた。


「この茶番は、貴方の意向か?」

「滅相もございません」

「では誰の?」


 通常の貴族の感覚では、随分舐め腐った言い草であるのだ。沢山の高位貴族令息に近衛騎士や使用人もいる訳で、黙って流してはいけないと判断したらしい。


 面倒だから流しておけば良いのに。


 ……ちゃんと教えない王子達にお灸を据える目的もあるのだろう。クロードはコワモテだがとっても面倒見が良いのだ。


 侍従長が謝って、教育をしますと言って下がる……という筋書きにしたらしいクロードの追及に、全く気付いていないアーノルドが口を出して来た。

 

「マーガレットは不慣れなのだ、許してやれ!」


(おおぅ! 王子、そこはまずスマンだよ、スマン!!)

 ――かーらーのぉ、『不慣れだから不快な思いをさせたな。良く教育しておく』、だよ!


「……何を仰っているのか? 失礼ながら、人前に出ると言う事をどう思っておられる? それとも王家の意向なのですか?」


 頭の痛そうな顔をしたクロードが王子と侍従長を交互に見た。


「大変申し訳ございませんでした……ポルタ嬢、お詫びを」

「マーガレットが謝る必要などない!」

「王子!」


 侍従長が珍しく、主人に言葉を荒げた。


「ご、ごめんなさいっ!」


 流石に理由は良く解らないまでも、空気感で不味い事になっている事が解ったのであろう。

 顎の下で握りしめていた手を膝につけ、マーガレットがぺこりと頭を下げた。

 素直だ。きっと性格が悪い訳ではないのだろう。無邪気過ぎるというか、天真爛漫過ぎて、多少しょっぱいというか痛いというかだが。


 王子の顔が歪んだのを瞳の端に捉えた。今にも文句が飛び出しそうな顔である。

 それを見てマグノリアが口を開いた。


「……ここがほんの数十年前の砂漠の国なら、あなたの頭と胴は今、別々になっているところよ?」

「……え?」


 虚を突かれたようなマーガレットに、マグノリアはにっこりと笑う。


「それどころか、多分ポルタ男爵家の方々も全員かもね。不慣れなのは仕方ないのよ。だけどそれならばちゃんと抑えるところは抑える。出来ないのなら『沈黙は金』よ?」


 口を開こうとした側近に、マグノリアは待ったをかけた。


「ここは学校でも友人のお茶会でもありませんのよ。ご説明は後で自分達だけでなさって? 皆様は非公式の休暇でいらっしゃっているのでしょうが、目の前にいるのは辺境伯本人ですわよ? 高位貴族のご令息でしたら、皆様解りますわね?」


 側近達の顔を順番に見る。

 儚げな見目に似合わずマグノリアの強い口調に、みんな強張ったまま顔を見合わせている。


(……王子の側近なんでしょ? 誰か頭の切れる奴はいないのかねぇ)


 セルヴェスとクロード、マグノリアがそれぞれ似たような事を心の中で思っていると、側近としては年嵩の方らしいブライアンが進み出て、膝をついた。


「同行者の非礼、大変失礼いたしました。また側近共々深く反省致します。そして然るべき対応を。

 ……辺境伯の寛大なご対応に感謝を致します」


 おおお! あのブラ兄が、ちゃんとしている!!

 心の中で大騒ぎな上に、近づいたからか肩の上に小さい赤いものがいるのが目に入った。


(テントウムシ……?)


 ブライアンの肩から飛び上がると、くるりと頭上をひと回りして頭の上……髪の中に着地した。視線でそれを追う。

 ラドリもぱたたと飛び上がると、頭上をひと回りしてマグノリアの頭の上に着地した。


「…………」


 みんなの視線が何とも言えないが、ハッとして次々に側近たちがブライアンに続き、礼をとる。


「大変失礼致しました」

「……相解った。侍従長殿、今後の事もある故、子ども達に教育を」

「畏まりました。お詫び致しますと共に、ご厚情、深く感謝申し上げます」

 

 子どもとして不敬を流す事にしたらしい。

 ため息交じりにセルヴェスが言うと、侍従長が再び頭を垂れた。

 クロードとマグノリアにも、同じように謝る。


 今度こそ解散である。

 側近と王子達に手を引かれながら、割り当てられた要塞の部屋へと進んで行く。


 責任を感じているのか、うるうると萌黄色の瞳を潤ませたマーガレットが振り向いてクロードを見た。


(……ここでクロ兄を見るのか。攻略対象者だから本能で解る感じなのかなぁ……?)

 

 記憶があるようには見えない。

 ……あるのならばもう少し上手いやり方をするだろう。



「アゼンダ辺境伯、クロード様。そしてマグノリア様。教育が行き届かず大変失礼いたしました」


 さっさとはけた王子に代わり、ガーディニアが頭を下げた。


「お気になさらず。ガーディニア様のせいではありませんわ。抱え込まずに、ご友人達にお任せになれば良ろしいですわ。

 ……何だか大変そうですが、ゆっくりお休みになって下さいませ」


 マグノリアの言葉に、ガーディニアは再び頭を下げ、馬車に戻って行った。

 今年も彼女は要塞は使わず、親類の屋敷に滞在するらしい。


 マグノリアはセルヴェスとクロードの顔を見た後、久々に会うヴァイオレットの方へ歩みを進めた。

 


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