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【コミカライズ2巻8/19発売・小説6巻発売中】転生アラサー女子の異世改活  政略結婚は嫌なので、雑学知識で楽しい改革ライフを決行しちゃいます!【Web版】  作者: 清水ゆりか
第五章 王都王宮・お見合いそして出会い編

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128/354

話には続きがありまして

*****

 マーガレット・ポルタが十六歳の時、〇〇(攻略者を入れてね!)と無事婚約が決まる。

 平民出の男爵令嬢から一転、彼女は誰もが羨むシンデレラとなったのである。



 その裏側で、彼女を苛めていた侯爵令嬢ふたりが王子アーノルドとの婚約を破棄され、幽閉のために修道院に送られる事になった。


 覚悟を決めたようなガーディニアに比べ、第二悪役令嬢マグノリアの憔悴は酷いものであった。


 さかのぼる事、王子の学院卒業パーティーでの断罪の時。


 沢山の人に嘲笑される中、婚約を破棄されるばかりか、マーガレットの信奉者である父と兄からも助けの手が伸ばされる事はない。

 それ所か手酷い叱責を受け、罵られ、膝から崩れ落ちる事となった。


 そんな彼女の打ちひしがれた様子を見ていたのが、マリナーゼ帝国・皇子ユリウス(十八)であった。


 留学生である彼はアーノルドを真っ直ぐに愛するマグノリアに心を寄せていたが、盲目なマグノリアには全く届かない。


 想い出だけを胸に帰国する予定でいたが、愛する少女への余りにも酷い仕打ちに、それなら自分が貰い受けると宣言する。

 ……が、国の恥となるような悪女を隣国の皇子に嫁がせる事は出来ないと断られてしまう。


 何も出来ないまま、見送る事しか出来ない自分を責めながら傷心の帰国をする。



 そして、瞬く間にアゼンダ辺境伯領でもこの事件の話が伝わる。


 アゼンダは昔、アゼンダ公国という小国であったが、過去の戦争によりアスカルド王国の一領地となっていた。

 アゼンダ辺境伯領の領主はジェラルドの父であるが、幼い頃からの軋轢から、双方の関係は断絶していたのであった。


 辺境伯の養子でジェラルドの義理の弟にあたるクロード(三十二)も、この話を聞き心を痛めていた。

 祖父も義理の叔父も、未だかつて彼女に会った事はない。


 事実を調べるにあたって、褒められた事ではないものの余りにも厳しい処罰なのでないかと国王に進言、アゼンダ領で引き取って静かに暮らせるようにしたいと願い出るが、やはり聞き届けられる事は無かったのである。


 失意のまま、領地の近くを通るとの情報をやっと得て、護送される馬車の窓から垣間見た少女。

 その余りの美しさに、一目で心を奪われた。


 戦時中、アゼンダ公国の男爵家の生き残りとされるクロード。

 しかし、本当の正体はアゼンダ公国の死んだとされる隠された王子(大公子)なのであった。

 

 育ててくれた義父への恩を常日頃感じているクロードであるが、その父は孫娘の境遇を知りすっかり塞ぎ込んでしまっている。


 アスカルド王国の悪政と、アゼンダへの圧力への鬱憤も溜まりに溜まっており、民衆は爆発寸前である。

 クロードは決意する。打倒王室を。そして少女の奪還を。


 偽っていた身分を明かし、再びアゼンダ公国として再興し、挙兵を決意するのであった――



 一方、護送する騎士は美しい少女を憐み、馬車の奇襲をでっちあげて逃がしてやることにした。

 森を彷徨うマグノリアはやっとの事で街道に出ると、男装の麗人騎士と女実業家に拾われる事になったのである。ところが……


 

 そして一方、自国へ帰国した皇子もマグノリアを救出すべく、アスカルド王国へと宣戦布告をするのであった。

  

 傾国の美少女・マグノリアを巡り、王国は再び戦火の渦へと巻き込まれていく……


 ふたりの皇子と王子(大公子)の愛の行方は? 男装の麗人や女実業家、見逃してくれた騎士はどう関わってくるのか? 更には第三の男性の影が……?

 そして、マグノリアの運命や如何に!?


 運命に翻弄される登場人物達の愛憎絵巻。

 恋愛シミュレーションゲーム『プレイバック♡みん恋Ⅱ~今度のヒロインは、可愛すぎる悪役令嬢!?~』

 

――――

 R15です。

 ユリウス皇子は 弊社別作『ハーレム×ハーレム』(R18)の主人公です。

 若干の過激な表現、若干の百合表現がございます。


 ******


 ちょいちょいちょいちょいっ!!!!

 待て待て待てーーーいぃぃっ!!!!


 マグノリアは何から突っ込んで良いのやら解らず、またもや耐えられずに突っ伏した。


「…………!!」

「だ、大丈夫?」


 大丈夫どころではない。

 大ダメージである。


 突っ伏しながら、ヴァイオレットに問いかけた。


「……順番に聞いていって良い?」

「うん……」


 ガバリと起き上がると、到底ご令嬢とは思えない顔が、ヴァイオレットの顔にずずずいーーーっと近づいた。


「まず、マリナーゼ帝国のユリウス皇子って何なの?」

「ああ。うちらの二個上の隣の帝国の皇子が、留学でアスカルドに来るんだよね」


 それねって顔で、ヴァイオレットが頷いた。


 ジェラルドとブライアンの設定については、もう今更何を言っても仕様がない。そういうもんだと思う事にするが。

 何か、知らん皇子が追加されておる!


 実はこのゲーム会社では、同じ世界線で作られた乙女ゲームが三種類あるそうで。


 アスカルド王国を舞台にした『みん恋』シリーズ、マリナーゼ帝国を舞台にした『ハーレム×ハーレム(略してハレ×ハレ)』、もう一つがモンテリオーナ聖国を舞台にしたゲームもあるらしい(時間が無いので割愛)。


「『ハレ×ハレ』は皇子ユリウスがヒーローで、いわゆるエロゲー」

「……なんでエロゲーの主人公が攻略対象者なのよ!」

 

 愕然としたマグノリアに、ヴァイオレットがさも当然とばかりに言い放つ。


「そりゃ、マグノリアが男子の夢が詰まってるキャラだから。おバカな巨乳美少女ですよ。ちょっとエッチいエピソードを期待するでしょ」

「えっ! マグノリアって巨乳なの!? この顔はどうみてもつるペタ顔でしょう!?」


(肖像画の曾婆ぁちゃんもつるペタだったんだけど!)

 自分の顔を指さしながら、凄い勢いでヴァイオレットに詰め寄る。


「巨乳です」

「……くっ! 汗疹が、肩こりが……」


 今世はあの苦痛から解放されると思ったのに。

 無情にも、無表情で繰り返された。


「巨乳です」

「…………」


 まあ良い(良くないけど……)。

 それよりも次に、非常にヤバそうな連続コンボが繰り出されていた気がする。


「クロードお兄様、本当は王子なの……?」

「はい」


 あの人、どんだけキャラの水増し&洪水を起こせば気が済むんだろう。

 思わずジト目で執務室の方向を見る。


 一体、どういう経緯で王子を養子にしたんだか……


(爺様が陞爵しなかった理由の裏付けのひとつか……当時のクロ兄の身の安全を考えて正体は隠すにしても、王子……大公子か? に、アゼンダを返すつもりだったんだ)


 辺境伯という、元の地位とは違う形だとしても。


 それにギルモア家とアゼンダ辺境伯家の関係断絶も、場合によってはなくも無い話であった訳で。


 更には。

「お兄様、拗らせて(?)三十二でも独身なのか……」


 お仲間である。だが、この世界の三十二歳は地球の三十二歳の比ではない。

 更には、何の責任も無い日本の平民女子と違って、辺境伯を継がないといけない立場だと思うのだが。


「更に、コロッと一目惚れするタイプじゃないと思うし。ましてや隠れていたのをバラして、簡単に挙兵とかしないと思うんだよね?」

 

 マグノリアは腕組みする。

 ヴァイオレットも腕を組み、首を傾げる。


「うーん。現実のクロード様の性格は解らないけど、ゲーム内では王家の悪政とか圧力とか、色々あるんだよね」


 王家の悪政……そっか。

 あり得るなぁと、昨日の王妃と王子を思い浮かべる。


「それに、ある程度多少はご都合もないとゲームが全く動かないし」

「……まぁ、そうだよね……」


 ただただ平和なだけの物語もつまらないだろう。そんなんをずっとプレイは無理だ。飽きる。

 ある程度の事件やら、起伏と山と谷は必要である……あくまで創作物としてはだけど。

 現実では要らないけどもさ。


 全然まったく納得は出来ないけど、話を先に進めるためには無理矢理呑み込まなくてはならないだろう。

 ……時間は有限だ。


 逃がしてくれた騎士には感謝しつつ、取り敢えず置いておいて。


「この、男装の麗人って東狼侯で、女実業家ってオルセー女男爵でしょ?」

 百合描写って……あの人達、ノーマル(多分)な上に、人妻なんだけど。


 驚いた事に、アイリスもちゃんと結婚していたのである。

 ……候爵家の後継ぎなので、立場上当たり前と言えば当たり前なんだけど。

 相手は小さい頃からの幼馴染らしくって、とっても仲良しらしい。


「既に知り合いだったりする?」

「うん。まかり間違ってもふたりはそんなんじゃないと思うけど」

「うん? 相手はマグたんだよ?」

「えっっ!?」


 びっくりして椅子の上で飛び跳ねる。

 ちょ、ありえんのだけど!!


「いや、私もノーマルよ!?」

「ほら、主人公はマグたんだし。男子の夢が詰まってるキャラだから……」

「…………。」


 R15、第三の男、戦争……


「イケメン達と美少女達が織り成す恋愛ストーリーとシンデレラストーリーを楽しめる、恋愛シミュレーションゲーム、じゃなかったのかよ?」


 何だよ、愛憎絵巻って。パートⅡ、急におどろおどろしいんだけど。

 ふざけたダサい題名と内容の乖離が酷い。

  


 とは言え。

 取り敢えず、これだけは念押ししておかなくてはなるまい。

「……取り敢えず、クロ兄の出生に関しては絶対に誰にも内緒だよ。でないと」


 この世界でもその辺に差はないのか解らないけど、万一同じだったら絶対に口外出来ない。

 辺境伯家で隠しているのに、バラしたりしたら……


 マグノリアは立てた親指を下に向け、左から右へと滑らせる。


「死、DEATH……っ!」


 口封じされたくなければ、生きてる時に口を塞いでおかないと。

 ヴァイオレットは超高速で首を縦に振った。

  


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