46話 着替える
服ができたので、試着することになった。それも、結構な人数分ができたとか。俺もついに着ることができる。着心地が良いらしいし、着てみたかったのだ。普段の服が、恐ろしくボロイ服だし。
「タイシよ、ついに着れるんだな」
「俺も楽しみだ。けど、俺はどうせネタになるんだよ」
最初に着た人が、イケメン過ぎた。身長もあるし、顔もいい。絶対比較される。しかも、ファオスと一緒なのも困る。なんだかんだで、こいつも結構素材は良い。性格は残念だが。そっちと比較されるのも辛い。
俺はイケメンでもないし、かといって、可愛いわけでもない。どちらかと言えば、可愛いの方に入るだろう。しかも、身長も低い。女子と一緒ぐらいしかない。残念過ぎる。タキシードとか似合わないだろうな。
「そうそう、タイシ君はこっち」
「はい?」
なんで呼ばれるの?今から着替えるんだよね。女子側行くのはおかしいだろ。
「いいから、いいから」
「何がいいんだよ!」
ほんと何されるの。なんで俺は引っ張られてるの。しかも、女子にすら力が負けてる現実を俺は受け入れたくない。
「またやってるよ」
「いつもあいつだけ、なんで俺達には…」
いや、その反応は違うだろ。止めろよ。止めてください。お願いですから、嫌な予感しかしないから。
なすすべなく、女子に引っ張られた。なんで誰も止めてくれないの。そんな面白いことでもないだろ。なんで笑いながら、いや、目が笑ってなかった気がするけど、送り出すの。それなら、止めてくれよ。
「ちょっと待つの」
「なんでここで待つの!?」
用事なら、すぐに終わらしてくれよ。何されるんだよ。もう怖いよ。
「よし、目隠しをさせて」
「わかった」
何が分かったの?なんで目隠しとか必要になるんだよ。なんで押さえつけられてるの。こんなに力強いの!?ってか、俺ってこんな力なかったのか。女子に負けるぐらい。
「ハハハ。なんだよ、その格好」
「もうヤダ。何もしたくない」
「どうしたんだよ。そんな面白い格好して、俺達をどうしたいんだ。笑い殺したいのかよ」
それだけのために、こんな格好になるわけがない。
目隠しをされてからは、考えたくない。なんで着替えさせられてるのか。怖い。今の服は、龍学祭の服になってる。俺は男なのだ。タキシードなはずなんだよ。なんで、メイド服になってるの?しかも、リナやセレメから似合ってるとか言われても、全く嬉しくない。なんで似合うんだよ。おかしいだろ。
「それとね、タイシ君。お願いが決まったんだけど」
「いやな予感しかしないけど、一応聞くよ」
このタイミングで言われるとか、嫌な予感しかしない。
「龍学祭は、その服でやってね。もちろん、着替えたらダメだよ」
「………は?」
ちょっと意味が分からない。わかりたくない。わかったらダメな気がする。
「これなら、できないことでもないしね。ちゃんとやってよ」
「え?本気で言ってるんですか?」
「もちろん、本気だよ。ちゃんとやってね」
断れない。この前、何でもするって言ったからな。しかも、できない事でもない。そのせいで、断ることもできない。何言ってんだよ。過去の俺。
「ハハ、面白いことになったな、タイシ。絶妙に似合ってるしな」
「そうだな、これは面白そうだな。今年の龍学祭は絶対面白い」
「お前ら全員、飯抜きにするぞ」
「は、ふざけんな。関係ないだろ」
「はは、冗談に決まってるだろ」
「なんでそんな棒読みなの。嘘だよな?」
今日は何を作ろうか。いつもより作る分は少なくていいし、凝った物でも作るか?
「今日は何作ってくれるんだ」
「何言ってんだ。お前達の分はないけど」
「おい、本気だったのか」
どうしようか。サンドイッチでいいかな。女子がメインだし。あとはヘルト。ま、なんでもいいか。
「おい、ちゃんと俺達の分はあるんだよな?」
今日は短い時間で作り終わった。サンドイッチを作った。野菜を多く使った、女性でも食べやすい物をイメージして作ってみた。実際はどうかわからない。俺は女子でもないし。
「ヘルト、これはどうだ」
「いいんじゃないか。私より、セレメ達に聞いた方がいいんじゃないか」
それもそうか。
「どうだ、これ」
「いいと思う」
「私もそう思うの」
これなら大丈夫そうだな。他の人も同じような反応だし。結構作るのも簡単で、味もうまい。これなら誰でも作れるだろ。
「なあ、ホントに俺達の分は無いのかよ!」
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