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すばらしい世界を楽しむ  作者: ゆきつき
21/425

20話 移動する

 どういうわけか、さっきと同じだけ集まった。どういう神経してるんだろう。殺されたところを見せられたばかりなのだ。俺なら絶対にやりたくない。


『いろいろあって、1回戦をやり直すことになりましたー』

『これは推薦者の実力がちゃんとわかるかもしれないぞ』


 全員もう集まっている。宣言通りなのか、ブーゼは武器を持っていない。なめられるのはいいが、ここまでくると逆に、他人事みたいに感じてきた。

 実況は張り切っていた。始める時も、今までで一番勢いがあった気がする。


 さっきと一緒で、全員が俺めがけてきた。一応、想像はできていた。

 ただそれでも全員が来るとは思わなかった。少なからず俺に恐怖心があるはずだ。それなのに来ている。来るときは、少し戸惑っているようだった。もはや洗脳の域だろう。俺には考えられない。


 俺は剣はうまくない。ダガーはこの学校でも一番うまいかもしれない。それぐらいには自信がある。だが、剣は本当にうまくない。

 何故か筋力が付きにくく、魔力を纏わせなければまともに扱えない。そして攻撃の時には魔力がかなり動く。どんだけ意識しても、攻撃にも意識を割くので、どうしても剣をまともにふるえない。ただ魔力が多いから、それでも何とかなる。そのせいで剣の腕前は上がらなかった。言い訳ですね。すみません。

 そういうわけで剣はあまりうまくない。普通より上手だが、達人とかではない。だから切り倒していく、なんてことはできない。相手がこちらに来て、それを確実に倒すことしかできない。全員を倒すことはできると思う。けど、この人数相手は簡単にはいかない。だから確実に相手を減らして、減ったら、こちらから動く。作戦はこれでいけるはずだ。


 最初に飛び出してきたのは、ブーゼよりも魔力が少ない。弱い奴から攻めてきているのだろうか。







 だいぶ楽だった。相手が弱かったのだろう。残りは、俺を含めて5人になった。ブーゼ含め、俺のクラスの奴が残っている。誰かまでは覚えていないが。


『一人で次々となぎ倒していくー!』


 実況もヒートアップしていたのだろうか。かなり会場も沸いているはずだ。

 俺はかなり魔力が残っていた。1割ぐらいしか使わなかっただろうか。1割は聞こえでは少ないが、俺は3割ぐらいまでしか扱えないから、これでもかなり多く使っているのかもしれない。

 それに対して、ブーゼたちは戦っていない。完全に仲間?に任せていた。そのおかげで、魔力も全く減っていない。

 しばらく膠着状態になった。俺にとっては、休憩になるからどうでもいいが、疲れている相手に動かないのはどうなのだろうか。


「来ないのか。こっちから行くぞ」


 そういって、残っている中で一番魔力が少ない奴に向かていった。実際の実力はわからないが、とりあえずそこから狙った。

 比べる対象がおかしいが、ユミトよりも剣の腕前は下だった。そのおかげで、あまり苦労せずに倒せた。

 ブーゼ以外も同じようになった。ブーゼは腰を抜かしたのか、動く気配がない。どうすればいいかわからない。とりあえず話して諦めさせれれば一番いいか。


「どうだ。諦める気になったか」

「そんなわけないだろ」


 声は少し震えていた。始まる前の威勢はどこに行ったのだか。


「じゃあ、かかってこいよ」

「わかってる!」


 分かってないな。動く気配がしない。自分でも焦っているのだろうか。もう終わらせるか。

 相手の前に立ち、首に剣を突き付ける。ブーゼは粋がって、武器を持っていない。だからこれで終わったも同然だ。


「どうだ。諦める気になったか」

「まだ俺は負けてないぞ」


 どっからそのセリフが言えるのか。全く持って理解できない。普通なら殺される一歩手前の状態だ。そんな状態でよくこんなこと言えるな。これがさっきまでずっと戦っていたら、かっこいいセリフだっただろう。だがこいつは、動けないままの状態だ。かっこいいわけがない。ただただダサい。

 もうめんどくさいので、気絶させる。


『まさに、圧倒的。1人で残りすべてを倒しました』

『さすが、推薦者ですねー。羨ましいですねー』


______


 そんなわけで、今日の試合は終わった。次の試合の出場者は、各試合の3位までになった。俺の試合は例外だった。俺1人だけだ。なんだかんだで俺一人に負けたのだ。仕方のないことかもしれない。それに約束があった。文句を言われても俺にはどうにもできない。


「タイシ、なんで2回もやってたんだよ」

「ちゃんと見てなかったのか」

「そうだぞ、ファオス。実況も言っていたじゃないか。1回戦のやり直しだ」

「そういう事じゃねえよ。なんで2回目をやったのかを聞いてるんだよ」

 

 試合が起こった理由をすべて説明した。ブーゼにやったことも話した。


「あいつ、あれでまだ勝てると思ってたのかよ。俺でもさすがに諦めるぞ」

「それがが普通だろ」

「ブーゼは中等部の時はあんなのじゃなかったのだが」


 とても気になることが聞こえた。


「ヘルト。その話詳しく」

「ん、ああ。ブーゼはプライドは高かったが、ここまでではなかった」

「……マジで?」

「ああ、本当だ。私も詳しくは知らないが、貴族である自分に対するプライドが非常に高かったのだ。市民に対しても、特に何もなかったのだ」


 全く信じられない。ヘルトが嘘を言う理由もないだろうが、もし嘘じゃなかったら、何故こうなった。本当に洗脳なのか。それとも俺だからこうなのか。俺、何もしてないい。


 次の試合は来月だ。試合に出れるのは、各試合から3人までだ。合計10人だ。1回目の試合は俺しか出ない。だから10人だ。

 試合に出るのは、俺にヘルト、ファオスも出る。さらに、リナ、セレメ、さらにジェメリとツヴィリーも出る。ほとんどが知り合いだ。最後は知り合いと呼べるほどなのか分からないが。



____________



 2週間たった。ほとんどの人が魔法を使えるようになっていた。使えないのが、俺とヘルト、リナだった。俺はまだどんな魔法かもわからない。リナとヘルトは一応使えるが、ほとんど使えていない。使いこなせていない。


「タイシ、まだできねえのかよ」

「しかたねえだろ。わからないんだから」


 本当に言ったままの意味だ。まだわからないのだ。使い方もわからない。どんな魔法かもわからない。行き詰ってる状況だ。どうすればいいんだよ。



_____



「明後日から、合宿にいく」


 突然だった。今日の授業が終わったら、そういわれた。


「場所は出発前に言う。準備が必要なものはしとくように」


 どこ行くかわからないのに、準備とか言われても困る。


______



 場所を言われてもわからなかった。知らない住所を教えられて、ピンとくるはずがない。他の人もわかる人と、わからない人の2つに分かれた。知っている人の方が多いだろうか。

 持っていくものは、直剣とダガー、あとは保存食だ。保存食は肉を干したものだ。おいしくない。噛み切るには、かなり顎がつかれる。それでも空腹を満たす貴重な食糧だろう。

 グループに分かれて出発する。このグループは着いてからも一緒に行動する。そのために準備が必要なら、買い出しをしてから行く。集合は明日の12時だ。それまでにつけばいい。俺たちは夜には着くはずだ。買うものもないが、しばらくは町でぶらぶらしてから出発する。そこには半日ぐらいかかるらしい。ヘルトがそう言った。グループはヘルトとファオスだ。いつものメンバーだ。


「あれ、タイシ君じゃん」

「リナか。まだ行かないのか」

「もうすぐ行くところ。一緒にどう?」

「俺達ももうすぐ行くから、俺は別にいいけど」

「俺もいいぜ」

「私も問題ない」


 こんなわけで、俺、ファオス、ヘルト、リナ、セレメ、ジェメリー、ツヴィリーの7人で行動になった。

 一緒だからと言っても、結局は最初のメンバーでしゃべってた。俺とリナはちょくちょく喋っていたが、結局は男同士と喋るのが落ち着く。





_______


 山道に入った。場所を聞いたが、わからなかった。ファオスもピンときてなかった。地名を言われても知らないので、聞いたところで意味がなかった。けどここはなんとなく見覚えがある。山道はどれも一緒なのかもしれないが、やっぱり見覚えがある気がした。


「どうしたんだ。何か悩んでるようだが」

「いや、なんとなく見覚えがある気がして」

「山道なんて、どれも似たようなものだろう」

「それもそうか」


 気にし過ぎか。山道なんでどれも一緒か。


 言われたのは、そこには小屋がある。そして、先生は先に行っているので、山の中の目印として使える。先生はかなり魔力があるから、そこを目指せばいい。

 先生がいる場所には、ほかに2人の魔力があった。それも1人は先生より多い。先生より多いのは、俺の知ってる中では、ユミトとユウキ、そしてユズハだけだ。そして、ユミト達はいつも3人でいる。けど、ここにはムートがいない。そうなるとユズハになる。けどここは違う場所じゃないのか?


「本当に大丈夫なのか、タイシ」

「大丈夫なはずだ」

「それならいいのだが」

「おい、タイシ、ヘルト。家が見えたぞ」

「かなり歩いたな」

「そうだ、な、、」


「久しぶりだな、タイシ」


 そこには先生はもちろん、お父さんがいた。そしてこの家は、見慣れる前に出て行った俺の家だ。うんなんで道を覚えてないのか、って質問には、一回しか通った事が無いからって答えるぞ、俺は。

面白い、続きが気になると思って頂けてら幸いです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 基礎も根本も教えないのか(笑)それとも大人ですら理解してないのか。無知なガキが独学で出来るなら教育機関?も大したことないと思うがな。
2021/05/15 11:40 退会済み
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