#7 英雄と映画とスイーツと
「ふん、女がこんな棒を一つ持ったところで、この俺に敵うわけが……」
そう言いながら迫ってくる中尉の男に、ジャンヌは仕掛けた。
コーンバーをつかもうとする右手を払いのけ、まずわき腹に一発、続いて首の付け根、最後に頭のてっぺんをそのコーンバーで叩く。
この間、わずか1秒未満。速い。さすがはオラーフ王国で第3位の騎士だ。
普段はもっと重いレイピアを使い、さらにチェーンメイルをまとっているジャンヌにとって、今の服装と武器は軽すぎる。その分、動きが速い。
元々酔っている相手だ、この三撃を食らって倒れてしまった。
周りは静まり返っている。今、目の前で何が起きたのか?ほとんどの人が、まったく理解できていないようだ。彼女の普段の動きを見慣れている私でさえ、目で追うのがやっとだった。
「こいつ!」
そう叫んだもう一人の少尉は、なんと店の前にあった待ち合わせ用の椅子を担ぎ上げた。そしてジャンヌに向かって、木製のその椅子を振り下ろそうとする。危うし、ジャンヌ。
だが、ジャンヌはそれをとっさにかわしてコーンバーで受ける。だが、相手は重い椅子、ヤワなプラスチックの棒は、あっけなく真ん中で折れてしまう。
が、ジャンヌはその破断して半分になったバーを、なんとそのままその少尉の腹に突き刺す。割れてささくれたバーの先は鋭利になっており、これが少尉の腹に刺さる。痛みのあまり叫び声をあげて、少尉もその場に倒れる。折れたと分かってから一瞬で攻撃を切り替えるジャンヌ。キレると、これほどまで恐ろしい相手だったのか。
わずか数秒の出来事だった。あっという間に2人の狼藉者を倒したジャンヌ。手には、少し血のついたコーンバーを握りしめていた。
で、2人を倒し、そのコーンバーを高々と上に掲げる。一部始終を見た周りの人々は、この勝利者を讃えるように拍手を贈る。
直後に、艦内警察が駆けつけてきた。多分、群衆の中の誰かが通報したのだろう。早速私とあの男2人、そしてジャンヌは近くの駐在所に連れて行かれた
その後、1時間ほど取り調べを受ける。が、状況が分かるにつれ、途中で管轄が警察から軍へと変わる。
なにせ軍人による民間人への暴行未遂、および上官への乱暴、これらは明確な軍規違反だ。このため、この2人の件は軍が処理することになった。
あの2人にはアルコール中和ドリンクを飲ませ、酔いが覚めたところで取り調べを再開するようだが、おそらくこの2人は軍籍剥奪、地球294に帰還の後、しばらく独房入りになるだろうということだ。
一方で、ジャンヌはお咎めなし。ジャンヌは民間人、しかも女性だ。あの2人を倒した件は、暴行に対する正当防衛ということになった。
「もぉー!信じられませんよ!いきなり主人のエルンスト様を突き倒すんですよ!?これが怒らずにいられますか!」
取り調べ中も、終始ご立腹のご様子の我が妻。だが艦内警察は、近くにあった防犯カメラが捉えた彼女のあまりの速い動きに、かなり衝撃を覚えていたようだった。
「一体何者なのですか、閣下の奥様は。」
と警官に聞かれたので、私は地球813のとある王国で、剣術を習っているとだけ応えておいた。騎士団長を務めるほどの腕であることまで言ってしまうと、正当防衛が取り消されてしまうかもしれない。
予定よりも2時間遅い食事をとることになった。取り調べの間、騒ぎの起きた店でマリーを預かってもらっていたので、再びあの店に戻る。
「いやあ、閣下と奥様のおかげで、うちの従業員が助かりました。ぜひ何か、奢らせてください。」
というので、昼食はそこでいただくことになった。ちなみにこの店はソーセージとハンバーグの店。ビールもあるが、まだ昼間だし、さっき酔っ払いを相手にしたばかりなので、私は遠慮した。
「う、美味いべよぉ!なんだねこの細長い肉は!?」
「それはソーセージっていうのよ。それよりもマリーちゃん、このハンバーグも食べ応えがあって美味しいよ!」
ガツガツとハンバーグとソーセージを頬張る女騎士とエルフ。そもそもエルフだというだけで珍しいのに、ソーセージを貪るように食べる訛りの強いマリーを見て、店内の人々は唖然としているようだ。
「はあ~っ、美味しかったですね、このお店。」
食事を終えて、店を出る。さっきまで男たちと対峙していた女騎士とは思えないほど、にこやかな笑顔を振りまいて歩くジャンヌ。
「あのー……」
「何か?」
店を出たところで、ある2人の女性に声をかけられた。2人のうち、1人は軍服姿。階級は少尉。聞くと、どうやら2人とも補給中の我が小隊の駆逐艦の乗員のようだ。
「で、何の用か?」
「はい、あの、閣下の奥様であるジャンヌ殿と一緒に写真を撮りたいと思いまして……」
ジャンヌと写真?そんなに有名なのか、うちの女騎士団長は。その申し出にジャンヌは快諾したので、彼女らとジャンヌ、そしてついでにエルフのマリーも写真に収まっていた。
ところが、街を歩いているとまたジャンヌとの撮影をせがまれる。今度の相手は男性の大尉。他にも2組ほど、こういう人物が現れる。
どうも変だ。さっきまでそれほど注目を浴びていなかったジャンヌが、突然あちこちから声をかけられる。これは絶対、何かある。なんとなくそう感じた私は、スマホを開いた。
ニュースアプリを開くと、私はその理由を発見する。
そこには、コーンバーを持つジャンヌが映っている。暴行を働こうとする男性士官2人に勝利した英雄、ジャンヌ、と下の記事にはそう書かれていた。
どおりでさっきから声をかけられるわけだ。いつのまにかジャンヌは、この街の英雄になっていた。
「あれ?これ、私じゃないですか。何ですか、これは?」
私のスマホをのぞき見るジャンヌ。だが、下の記事まで読んでしまい、みるみる顔が赤くなる。
「ななななんですか、これは!?わ、私が英雄だなんて!私はただエルンスト様をお守りしただけで……」
この記事のおかげで、今さらあの一件が恥ずかしくなったらしい。これほど照れるジャンヌというのも珍しい。
とはいえ、その後も現れる撮影希望者には、恥ずかしがりながらも快く応じてしまうジャンヌ。こういうところは、なぜか生真面目だ。
だが、やはりジャンヌはジャンヌである。気になるものを見つけると、居ても立っても居られなくなる。
「ねえねえ、エルンスト様!あれは一体、何でございますか!?」
指差す先にあるのは、大きなモニター。そこには刺激的な映像が流れている。
あれは新しい映画の予告編だ。そしてそこにあるのは、映画館だ。
「ああ、あれは映画館だよ。」
「えいがかん?何ですか、それは?」
「ほら、ジャンヌもドラマの動画を見るだろう。ああいうのを大きなスクリーンで見るのが映画というもので、それを見せてくれる場所が映画館だ。」
「ええっ!?なにそれ?行きたい、行きたいです!」
こういう映画を見たいと言う人はいるが、映画館そのものに行きたいという人物はジャンヌくらいではないか?まあ、そういうところがジャンヌらしいといえばらしい。
だが、映画館に行くという目的ではここに入ることはできない。何を見るかを決めなければならない。そこで、映画館前のモニターで検索して見ることにした。
『どのような作品がお好きですか?』
モニターが質問を投げかける。その答えからその人の好みを分析して、上映中の映画の中からオススメを紹介するという仕組みだ。ジャンヌは即答する。
「剣で殺しあうやつが見たい!」
なんともストレートな答えだ。おかげでモニターは、即答で「魔王」シリーズを勧めてきた。
魔王シリーズ。もうかれこれ10年は続いており、すでに60以上の作品が存在するシリーズである。
話の流れは大体決まっていて、冒頭では人と魔族の争いが映され、勇者と賢者と剣闘士の3人が出会って悪の総元締めである「魔王」を倒すため立ち上がる。そして、聖剣を手に入れて凶悪な魔王を倒す……
毎度このワンパターンで、2か月おきに新作が作られるという粗悪乱造的なシリーズだが、どういうわけか未だに支持されるという不思議な作品だ。
支持される最大の理由は、この作品の背景が剣と弓の世界であり、その背景そのものにあるようだ。
この宇宙にある星の多くは、発見当時はこの映画のように剣と弓を持ったいわゆる中世風の星であった。かくいう地球294もそうだったし、ここ10年くらいの間に見つかった星の8割以上が文化レベル2の「中世」な星だと言われている。
そんな彼らは、宇宙からもたらされる技術や文化を目の当たりにし、自身の築き上げた文化に引け目を感じているようだ。
だがこの映画では、むしろ自分たちに近い文化を持った主人公が、無敵とも言える魔王を倒すのだ。そんな人々からすれば、痛快この上ない。
そういうわけで、未だにこの作品は支持され続けているようだ。このシリーズを作った制作会社も、まさかこれほど長く支持され続けるとは思っていなかったという談を述べているほどらしい。
ということで、この星もまさにこの作品の背景のような星。地球813に至っては、中世どころではない。コボルトやスライム、そして未確認ながらドラゴンもいるという、まさにこの作品の背景そのものの星だ。もっとも、魔王はいないようだが。
「うわぁっ!ワクワクしますねぇ!あのでっかい幕に、剣を振り下ろし腕や脚を切りとばす荒くれどもがわんさわんさと出てくるんですね!」
「ああ、そうだよ。しかも立体だから、あたかも目の前で行われてるような映像が現れるんだ。」
「立体?なんだべな、それは?」
「マリー、それは見れば分かるよ。」
映画館に入り、席に着く。女騎士もエルフも何も映っていない銀幕を見て、すでに興奮気味だ。今からこの調子では、実際に映像が現れたら心臓が止まってしまうんじゃないか?心配である。
しばらくして、館内が暗くなる。迫力のサウンドとともに、まずは他の映画の予告が始まった。
これから見るものとは違う作品の映像がダイジェストで流れる。恋愛もの、時代劇、近未来なSFもの、これはこれでこの2人を刺激する。
ところで、我々3人の席の配置は、私を挟んで右にジャンヌ、左にマリーが座っている。売店で買ったポップコーンを頬張りながら、流れる映像を鼻息荒く見つめているジャンヌとマリー。
そして、ついに「魔王」本編が始まった。
最初に現れたのは、人族の大軍勢。劇中では10万の軍勢と説明されていた。
その軍勢に向かって、まずは多数の「ゴブリン」と「ワイバーン」が襲いかかる。あっという間に暗闇が人族の軍勢を飲み込み、ゴブリン達が棍棒を振りながら襲いかかる。奮戦する人族の軍勢。
が、上からワイバーンが炎を吐き、ゴブリンもろとも人族の兵を焼き払う。まさに地獄絵だ。
次々に倒される人族の軍勢。一向に減らない魔族の軍。結局世界は闇に包まれ、人族は抵抗するすべを失った。かに見えた。
このあたりですでにうちの女騎士は大興奮だ。どうやらゴブリンや人の腕が吹っ飛ぶのが面白いらしい。うーん、大丈夫か、うちの妻は。
そんな凄惨な戦いが終わり、いよいよ主人公が登場する。
勇者が現れた。顔はイケメン、まるで何処かの王子のような凛々しい表情でスクリーンに現われる。
続いて、筋肉隆々な剣闘士が現われる。始めこの2人は剣を交えるが、やがてこの剣闘士は勇者の仲間となる。
で、その後魔法使いの賢者が現れる。この世が乱れ、勇者が現われることを見透かしたような発言をして、勇者の仲間になる。
私は突っ込みたい。そんな未来が分かっていたなら、勇者を待つ前にやるべきことがあったのではないか?そんな私の想いなどスルーされて、物語は続く。
次々に現われる魔王の手下たち。力技に頼るもの、頭脳プレイをしかけるもの。だが、3人のパーティーはこれらを切り抜け、さらに聖剣を手に入れてついに魔王のもとにたどり着く。
さあ、問題は魔王だ。勇者にとっての強敵でもあるが、同時にこのあたりから派手な3D画像が飛び出す。
魔王の登場シーンに変わる。このとき我々の目の前に、いきなり身長5メートル以上の魔王が立ちはだかる。それを見た我が女子どもは、私にしがみついて叫ぶ。
「きゃーっ!」
「うぎゃーっ!」
右と左から私の腕を引っ張るジャンヌとマリー。私はこれが映像だと知っているから、たいして驚かない。が、そういう耐性がないこの2人にとっては、この魔王登場の映像が相当驚いたようだ。
だが、あまり軍服を引っ張ると破れてしまう。頼むから、興奮もほどほどにしてほしいものだ。
「来たな、勇者よ……だが、余はお前ごときには倒せぬ!」
などと言って、派手なビームを射ち放ち、主人公を追い詰める。
ビーム砲を持つ相手に、一体どうやって聖剣だけで立ち向かうのか!?もし我々の哨戒機がビーム砲を向けて王国の騎士団に襲い掛かったら、たちまち騎士団は全滅するだろう。だが、不思議なことに、この主人公はそんな哨戒機のような武器を持った魔王を最後には倒してしまう。
聖剣を高々とあげる勇者。日の光が蘇るこの世界。光に満ち溢れた世界に安堵する人々。
それを見て涙を流す女騎士にエルフ。余韻に浸りすぎて、エンディング・ロールが終わるまで画面に釘付けだ。
「はあ~っ!いい物語でしたねぇ~、この魔王シリーズ。私、すっかり好きになりました!」
「んだども、ちょっと魔王が怖すぎだべ、わだすはちょっと怖かったなぇ。」
我々からすれば、この2人もあの魔王シリーズに出てくる世界のキャラクターのようなものだ。そんなキャラたちが、自分たちの世界の映画を見て感動しているような、そんな錯覚を覚える。
「でもあの映画、ちょっと違うところもありますね。」
「ん?なにがだ?」
「ゴブリンですよ。あの作品では、ゴブリンは低脳で残酷で、人を襲うモンスターとして出てきているじゃないですか。」
「ああ、そうだよ。」
「でも、実際のゴブリンは、そんなことないですよ。」
「ええっ!?ゴブリンって、あの星にいるのか!?」
「いますよ。なかなかいい奴らです。今度お会いになります?」
これは初耳だ。地球813にもゴブリンが実在し、しかもあの映画とは随分と違うという。その事実の方が、私にとっては衝撃的だ。
彼女達にとっては衝撃的な映像が、私にとっては驚くべき事実が判明したこの映画。
だが、映画館を出たところで、この「魔王」シリーズのイベントが行われていた。
そこには「勇者になろう」コーナーが設けられていた。なんだ、勇者になろうって、どういうことだ?ジャンヌは当然だが、私も気になりそのコーナーへと向かう。
そこにあったのは、鎧に聖剣だった。要するに、これを身につけて姿格好だけ「勇者になろう」というのだ。子供騙しなイベントだが、意外とその鎧を身につけてみる人は多い。
もちろん、ジャンヌがこのイベントに参加しないわけがない。早速私にせがんでくる。
「エルンスト様、私もあれ着たい着たい着たーい!」
「分かった分かった!いいよ、いっといで。」
「やったー!じゃあ、マリーも行きましょう!」
「ええっ!?わ、わだすもあれ着るべか?」
5人ほどが順番待ちをしていたので、ジャンヌはその後ろに並ぶ。すると、列の中の人が、ジャンヌの存在に気づく。
「あ、あれ?ヴェルデ・クナイプの英雄、ジャンヌさんじゃないですか?」
ヴェルデ・クナイプとは、あの2人が暴れた店の名前である。いつの間にか、ジャンヌはこの艦内でこう呼ばれているようだ。
「は、はい。私、ジャンヌですけど……」
「うわっ、本物だ!すごい!」
いきなり「英雄」に会えて感動した人々によって順番を譲られて、ジャンヌは勇者の着ていたあの鎧を身にまとうことになった。
鎧をつけ、聖剣を握るジャンヌ。どこからどう見ても、女騎士だ。いや、実際に女騎士なのだが、普段着ているチェーンメイルとはまた違う姿のジャンヌだ。
で、ジャンヌの「撮影会」が始まる。最初は順番を譲った5人との撮影会だったが、それを見た周囲の人々は一斉に集まってきた。コーンバー片手に男2人を倒した英雄が、今ここで勇者の姿をしている。人が集まらない道理がない。怒涛のように人々が押し寄せてくる。
ポーズを求められたり、一緒に撮影を懇願されたりと、なかなか人気のある女騎士だ。私とマリーは、ぼーっとジャンヌの撮影会が終わるのを待っていた。
結局、撮影会は1時間続く。模造品とはいえ、それなりに重い鎧を着て剣を握っていたため、途中でジャンヌが疲れてしまった。そこでようやく撮影会は終了。
「はぁ~っ……疲れましたぁ……」
ふらふらのジャンヌを連れて映画館を出て、3人は宿泊先のホテルへと向かう。その道中、第2階層のホテル寄りにあるあのスイーツコーナーが目に飛び込む。
「あーっ!そうだ、エルンスト様!これですよこれ!これを食べましょうよ!」
あれだけ疲れ切っていたジャンヌが、いっぺんに元気を取り戻す。まだプリンくらいしかスイーツを知らないジャンヌだが、ここにある未知のスイーツに何かを嗅ぎとったようだ。
「これですよ、これ!この赤と白の……パフェ、でしたっけ?これを食べましょう!」
表の看板モニターに映るパフェの映像を指差し、私にねだるジャンヌ。どうやら、すっかりパフェが気に入ったようだ。やはりスイーツというのは、外観でも女性を引きつける何かを持っているのだろうか?それにしても、昼食であれほど食べたというのに、まだ食べるようだ。
でもまあ、予期せぬ撮影会もやらかしたし、なにより今日はジャンヌのおかげで私も助かった。これくらい食べさせてあげよう。3人でパフェを売る店へと向かう。
「うわぁ……エルンスト様、これ本当に食べてもいいんですか?」
「いや、ここまできたら食べないとダメだろう。」
「そうですよね。でもなんだかもったいないような……」
パフェの実物を前にして躊躇するジャンヌ。生クリームの周りに整然と並べられたイチゴやスナック菓子は、まるで芸術作品のよう。これを長いスプーンを使って崩すわけだ。初めて目にするジャンヌにとって、これを壊してしまう事に抵抗を覚えるのは無理もない。
が、意を決してスプーンを入れる。一口それを口にすると、たちまち顔がほころぶ。この瞬間、ジャンヌはパフェという存在に触れた。
マリーも恐る恐るパフェをスプーンですくって口に運んでいたが、やはりエルフといえども女子である。食べた途端、顔がほころぶ。
「ん~んまいだよ~!なんて美味いんだべぇ!」
それにしてもこのエルフ、人族に触れすぎてすっかり堕落したようだ。いいのだろうか?エルフがこんな味を覚えてしまっても。あの老エルフではないが、私も少し心配になる。
しかし、彼女らはすっかり忘れているが、ここは宇宙船の中。地球813より3億7千万キロ離れた小惑星帯と呼ばれる場所だ。はるか遠くの宇宙の彼方で、彼女らは新たな食べ物と文化を覚え、そしてジャンヌは英雄にまでなってしまった。




