第二話
一月の擬人化した女性、睦月さん。僕は6月の水無月さんと睦月さんの部屋の前にいた。
「あの、何で、直接、睦月さんの部屋に行かなければならないのですか?」
「あなた、睦月さんを一月が終盤に入った時期に捕まえられると思っているの?」
「え?でも、今まで、家に籠っているケースはなかったですよ」
「今まではね。でも、睦月さんは違う。彼女だけは違う、彼女の本性は・・・」
そう言うと、水無月さんは玄関のドアノブを回して、一気にドアを開けた。ドアにカギは掛かっていなかったのか?ということは時間の都合上、省くことにして、ドアは開いたのだ。
そして、僕は顔を顰めた。
まず目に入ったのは、散乱した靴。そして、玄関から奥の部屋へと続く廊下には脱ぎ散らかした服。部屋からはどこか様々な臭いが入り混じった異臭が漂い、テレビの音が奥の方から聴こえる。
「睦月さんって、片付けられない女子だったんですか?」
「睦月さんというよりも、一月という月がそうさせるのかもしれないわね」
そう言うと、水無月さんは靴を脱いで、ずんずんと先へ進んだ。僕もその後に続く。
その間にキッチンを横切ったが、その流し台も想像をした通りの惨状だった。洗ってない食器が山積みにされて置き場がなくなっていた。
そして、僕らは奥のリビングに入る。そこも衣類や雑誌やゴミが散乱していた。ただ、中央のテーブル、いや、周りにモノが散乱していて気づかなかったが、これはコタツである。そのこたつの上も食器やら雑誌やリモコンが散乱していた。そして、玄関で聴こえたテレビの音もここから聴こえたものであった。テレビからは年始に集中した長時間の特別番組が流れていた。
「年始年末は長い番組が多いからね。録画して見終えるのも時間かかるのよ」
水無月さんの解説に僕は、「なるほど」と感嘆した。しかし、肝心の睦月さんがいない。部屋を見渡してもいない。だが、そう思った瞬間、僕は部屋の中央が静かに盛り上がっていくことに気づいた。
「あら、水無月さんじゃない。どうしたの?」
それは睦月さんだった。コタツと多くのモノに隠れて見つけられなかったが、彼女は保護色をしたカメレオンのようにこの部屋の一部になっていたのだ。




