3話
気が付いたら、冬休みになっていた。
しかし、寒さに凍えることも、街に溢れかえるカップルにイライラすることも私には全くない。
なぜなら外に出ないから!
これまでの冬休みは、どうしてもお菓子が食べたくてコンビニに行った時と、初詣で神社に行った時しか外の空気を吸っていない。
それ以外は、こたつでぬくぬくと過ごす日々だった。
冬休みのデメリットといえば、学校という大義名分がなくなって和に会えなくなることくらい。
そして今年は、とうとう!
ピンポーン!
「はーい」
「清夏〜。来たよ!」
こたつが友達、みたいな冬休みを過ごしていた私にもようやく人間の友達と過ごす冬休みが到来したのだ!
飛鳥は相変わらず少女漫画から飛び出してきたかのような美少女だった。
「仕方ないから宿題を手伝いに来たよ。清夏が留年しちゃったら困るからねえ」
「本当有難い〜」
こたつに広がっているのは、先生から特別に出された欠点者課題の山。
だいぶ無理して入った高校だから、当然私の学力でついていける授業のレベルではなかった。そもそもついていこうとはしていないとは誰も思っちゃいけない。
その上、提出物もほとんど出していないとなると、私の成績は進級が危ない所まできていた。
それを知った飛鳥が冬休みに私の宿題を手伝ってくれることになった。
チラッと返された飛鳥の成績表を見ると、学年2位と書いてあった。
もう飛鳥と結婚しようかと考え始めている。
「…ねえ、始める前に提案があるんだけどさ!誘ってみようよ、白無くん!」
「え〜だって高校生になってから、学校かたまたま会った時しか話さないもん。突然誘っても変に思われるでしょ」
「別にいいでしょ!白無くん家2つ隣だよね?行こ!」
「うーん…」
誘う事自体に緊張するわけじゃないけど、誘った事をどう思われるかは気にするよね。
…まあ、いちいちそんなこと考える人じゃないけど。
…結果として、家には誰にも居らず。
宿題をやる集中力がお互い長く続かず。
「清夏はさ、白無くんのどこが好きなの?」
「うーん…外見でいうなら、笑った時に笑窪がピクピクなる所と、伸びた前髪がかかってる綺麗な目!中身は…そうだなあ、いつもヘラヘラしてるのに、絵を描いてる時は集中力がすごいのと、誰にでも優しい所、かな?」
「へーえ…ずっと見てきたからこそ分かるんだろうね。良さが!…あ、そうだ。オススメのやつ持ってきたからさ、読んでみて!面白いから!」
そう言って、飛鳥はカバンから取り出したのはあまり私が読まない少女漫画。
…絶対最初から、勉強する気なかったな?
少女漫画は、特に何も考えていない小学生の頃までは読めていた。
中学生になって私は、ある事実に気づく。