087 ベスティア大森林
遅くなりまして申し訳ございません。
不定期、不定期ですので……。
その日、一晩ゆっくり休むと、翌日直ぐにニコさん達はアビスから出立しました。出立というよりは転送でしたが。
「これはまた凄い景色ね!」
着いた先は緑溢れる森です。ほど良く日の光が入り、キラキラと輝く木々の葉が幻想的。ニコさんも感嘆の声を上げました。
辺りに道らしい道はなく、自然のままとなっていました。地面は木の根でボコボコしており、とても歩きにくそうです。
「んで、結局ここは何処なんだ?」
フィズィさんが訊きました。アルガスさんが一つ頷き答えます。
「ここはイリシオの南にある森林地帯、ベスティア大森林さ。イリシオの国土じゃないが、ここを抜けるとイリシオの国境砦だ」
「しかし殿下、ここはどの辺りなんでしょうか」
「いや、流石にそこまでは分からん」
アルメリアさんの問いに、アルガスさんは首を横に振ります。流石に分からないようですね。何せ木々が広がっているだけですから。分かると言われても逆に信じられません。原住民かとつっこみたくなりますね。
ニコさんは適当な木を拾って地面に立てます。それを見たフィズィさんは呆れ顔です。
「オイオイ、お前。そんなふざけた決め方を……」
「いいじゃない、どうせどっちに行けば良いかなんて分かんないじゃない」
「いや、お前飛べるんだから上から見てこいよ」
「そぉい!……あ、こっちよ!」
「無視かよ!」
ニコさんは色々無視してカランコロンと歩き出しました。鼻歌なんか歌いながら、陽気に森を進みます。
暫くの間、道なき道を歩いていくと、レムレスさんがふと何かを見つけました。それは不思議なヒト型の生物でした。
「アレ、ヒトでは?」
「ん?何だありゃ……」
レムレスさんの指が指さした先には、大きな猫の頭にヒトの身体、という実に奇妙な生き物。森の中をキョロキョロと警戒しながら歩いています。
「魔王軍か?」
アルメリアさんが魔槍に手を掛けます。しかし、レムレスさんはフルフル首を振ります。
「いや。三百年前、あんな敵は見なかったと思う」
「そうね、あんなのが魔王軍だったら、ちょっと嫌ね!」
すると、ニコさんの声に気付いたか、猫頭がビクッと跳ねて振り向き、「誰だ!」と声を荒げました。
「バレたわ、アルム少年!」
「お任せ下さい」
アルム君は「とう!」とその場から飛び出すと、空中でムーンサルトを決めました。ニコさんは何故か「よし!」とこぶしを握ります。何がよし、なのか良く分かりませんが。
華麗に着地したアルム君。ニヤリと目を輝かせます。それに慄く猫頭は若干引き気味です。
「な、何だお前!」
「ハッハッハ、何だお前、ですか。それはご挨拶ですね、僕の顔を忘れましたか?」
「何?」
訝し気に首を傾ける猫男。しかしその表情は変わりません。
アルム君は「嫌だなぁ」と白い歯を輝かせます。
「そのジョーク面白くないどころか、ちょっと失礼じゃないですか?ねぇ、ジョナサン」
「誰がジョナサンだ!俺はマバルだ、一文字も被ってないぞ!」
「それは残念です。まぁそれは良いとしてマバルさん、少しお尋ねしたいのですが」
「いや置いとくなよ、っていうかお前何だよ!何ナチュラルに会話継続しようとしてんだよ!」
「まぁまぁ、良いじゃないですか。それで、昨今の猫の髭事情についてなのですが……」
「いや、聞けよ!」
猫頭のマバルさんはフゥー!と威嚇するように体勢を低くしました。臨戦態勢でしょうか。
「あの子の会話って、時折意味不明な上に強引よね」
「ありゃ、そもそも会話なのか?」
「さぁ。一応会話はしているわよ?……まぁ、仕方ないわね。私が行きましょう」
「お前はお前で心配なんだけどなァ」
不安げに見送られるニコさん。マバルさんは急に現れた赤い髪の女性、ニコさんにビックリしました。
「な、何だお前!コイツの仲間か!?」
「ええ、そうよ。アルム少年が迷惑を掛けたわね」
誰もが「お前がソイツ派遣したんだろう」と、内心思っていましたが、誰も口には出さずに成り行きを見守ることにしました。
「アルム少年。ありがとう、後は私がやるわ。それで、第一村人」
「ニコ=ウォーカー、彼にはジョナサンという名前が」
「マバルだ!お前ら揃いも揃って舐めてんのか!」
「あら、貴方。よく見たらその頭、被り物じゃない。道理で不自然に大きいと思ったのよ、よっぽど隠したい不細工なのかしら?ふふ、笑わないから取ってごらんなさい」
「アンタ出会いがしらに失礼だな!」
アルガスさん、アルメリアさんは額を押さえ、フィズィさんは下を向いて肩を震わせています。レムレスさんは「ジェネレーションギャップか」と呟いていますが、そう言う問題でも無いと思います。
結局その後も良く分からない会話をギャーギャーと繰り広げた三人。業を煮やしたアルガスさんが出ていき、何とか道を尋ねることが出来ました。一先ず、マバルさんについて、彼の村に行くことになったのです。
「全く、外の奴らは皆会話が出来ないのかと思ってビックリしたぜ」
「いや、一緒にしてくれるなよ。初めから俺が行けばよかったんだ。手間を取らせて悪かったな、マバル」
「何よ、まるで私たちが使えなかったみたいじゃない!」
「いや、みたいじゃない。使えなかったんだ」
「キーッ!」
カラカラと笑うマバルさんとアルガスさん。二人はすっかり気が合った様です。一行はマバルさんを先頭にワイワイと森の中を進んでいきました。
それからまた暫く進んでいけば、「着いたぜ」とマバルさん。彼らの目の前に広がっているのは、自然と殆ど一体化した集落でした。
「これは、言われなければ分からないわね」
「そうだな、ほとんど景色に同化してる」
「へへ、まぁ入んなお客人。ようこそ、ペルダンへ」
そこはベスティア大森林の隠れ村、ペルダン。被り物をした獣人たちが住まうおかしな村でした。
おしまいに向けて突っ走ろうと思ったのですが、何やらまた寄り道しそうなルートに |д・)…
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どうでも良いですが、最近の顔文字って可愛いですね(。☌ᴗ☌。)




