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吸血蝙蝠ニコさんのダンジョン攻略記(仮)  作者: こぺっと
第三章 ニコさんと神々の遊び
75/100

番外 泡沫の夜

本編には全く関係ない番外ですので、読まなくても問題ありません。

時系列的にも、ずっと先のお話です。

ネタばれ的な要素は多分ありません。多分。


有難いことに、ブックマークが50に到達したのと、先日クリスマスだったので、ちょっと記念に書きたくなってしまったのです。

いきなりこんな途中にねじ込むのもどうかと思ったのですが……。


それでは、少しでも楽しんで頂ければ幸いです。

 それは雪の降る、とある寒い夜のことでした。

 パチパチと爆ぜる薪の音、それにアルム君が奏でるギターの音色をBGMに、一行は夕食後の団欒を楽しんでいました。


 大きなテーブルの上にはワインのボトルとそれぞれのグラス、それからツマミになるチーズなどの軽食が置かれています。


「そういえばフィズィ。アンタ、サンタクロースとか信じてる?」

「は?サンタクロース?何だって急に……」


 ニコさんは唐突に思い出したのか、フィズィさんに問いかけました。


「何だ?サンタクロースって」


 アルガスさんはチーズを口に放り込み、尋ねます。


「サンタクロースというのは、彼女たちの故郷でのオカルトのようなものです。クリスマスという特別な日に、真っ赤な衣服に身を包み、子供たちにプレゼントを配って回るという奇特な老人だとか」


 それに答えたのは、ギターをつま弾いていたアルム君。

 頭の上で器用に重なった烏が二羽、眠っています。


「へぇ、そりゃまた夢のある話だな」

「因みに、人々が寝静まった深夜、トナカイと呼ばれる獣を引き連れ煙突から家屋に浸入し、子供の枕元まで忍び寄り「ホーッホホー!メリークリスマースデース!」と言いながらプレゼントを靴下にねじ込み逃げるそうです」

「前言撤回だ、普通に怖いだろそれ!」


 大体合っていますが、説明の仕方は間違っているかもしれませんね。


「サンタクロースなんて信じてるのは、子供くらいなもんだろ」

「ふふ、甘いわね。サンタクロースはね、存在するのよ」

「へぇ、何だ?子供の頃にサンタでも見たってか?」


 ニコさんは「甘いわね」と一言。赤いワインが入ったグラスを傾けます。


「サンタってのはね、ここに居るのよ」


 トントン、とニコさんは自分の胸を叩きます。

 少し酔っているのか、頬は少し赤みが刺しています。


 因みに今は和服ではなく、Vネックのシャツにカーディガン、それにジーンズです。他の面々も、かなりラフな格好です。


「フハ、随分ロマンチックな事を言うじゃねぇかこの野郎」

「そのリアクションは想定済みよ。でもね、少し違うわ!」


 そう言うと、ニコさんは持論を展開しました。


「サンタはね、その存在自体が概念として定着しているわけ。つまり、魔法なのよ。色んな国や地域によって、その細かい伝説や風習は違うかもしれないけどね」

「はァ?何言ってんだ?」

「サンタクロースという人物は存在しないけれど、サンタクロースという概念そのものがクリスマスに人をサンタにしてしまう魔法ってことよ」


 ニコさんはギターに合わせてワイングラスを爪で弾くと、チーンと音色を重ねました。


「ああ、成程。そういう事ですか、それは確かに一種の魔法かもしれませんね」

「……もっとロマンチックじゃねェか。まぁ、言ってることは分かったがよ」


 フィズィさんもそう言うと、自分のグラスを傾けました。口の中でワインを転がし、熟成した渋みを味わうと、そのまま喉へと流します。

 そうしてアルコールの熱に少しだけ目を伏せ、


「そう考えると、前の世界も魔法に溢れてたのかもしれねェな」


 と、ポツリと呟きました。


「あら、アンタも十分ロマンチックな事言うじゃない」

「うるせェ、少し酔ったンだよ」


 フィズィさんはそう言って席を立つと、雪の降る外へと一人出て行きました。


「ニコ、貴女が揶揄うからフィズィが行ってしまったではないか」

「別に揶揄ってないわよ、別に。それよりアルメリア、もうワインが無くなってしまったのだけれど」


 ニコさんは正面のアルメリアさんに開いたボトルを振って見せます。


「無くなってしまったのだけれど、ってソレさっき開けたばかりのヤツではないか!」

「美味しかったわ」

「そうでしょうとも!それなりに良いヤツを持ってきたのですから!」

「ハハ、相変わらず良く飲むな」

「殿下!」


 賑やかな団欒は続きます。

 それは雪の降る、寒くも温かい夜でした。





 その夜、ニコさんは夢を見ました。


 懐かしい、星空よりも明るい街並み。その上空を飛んでいました。

 特徴的な紅白の衣装に身を包み、白くて大きな袋を手に持っています。


「あら、これって……。まぁ、夢でしょうね。でもいいわ」


 ニコさんは笑いました。


「どうせ、現実だって夢みたいなモノだもの。どこだって、楽しまなきゃ損よね。ならば、私は今はサンタよ!待ってなさい!子供達!」


 そう叫ぶと、ワクワクした気持ちを胸に、ニコさんは懐かしさを感じる街中へと飛んで行くのでした。

 おしまい。

最後までお読みいただきありがとうございました。

感想など、お待ちしております。

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