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吸血蝙蝠ニコさんのダンジョン攻略記(仮)  作者: こぺっと
第三章 ニコさんと神々の遊び
70/100

070 人間災害とピオニー騎士団

最近更新ペースが酷く残念で申し訳ございません。

「それなら一緒に行きましょうか」


 ニコさんの言葉に、アルメリアさんが信じられないというように悲鳴を上げました。

 若干声も裏返っています。


「何を考えているのか、貴女は!」

「え?目的地が同じなら、一緒にいけば良いんじゃないかしら?」

「彼等と一緒になど、行けるわけ無いだろう!?」


 対してニコさんは軽いもの。先程のやり取りを見ていなかったとしか思えないような口ぶりです。

 アルメリアさんは随分とご立腹のようで、魔槍をニコさんに向けています。それはもう般若のような目つきで。


「彼等は重罪人だ!それに!」

「それに?」

「私は彼等がしたことを許さない!」


 固く拳を握り締め、唾を飛ばして語るアルメリアさんは、キッとアルバさんとベインさんを睨み付けます。もう一度、「絶対にだ!」と強調する程許せないようです。


「そういえば、彼らが罪人という事を差し引いても何か個人的な恨みでもありそうな感じよね」


 ニコさんが呟くと、皆一様にアルメリアさんを見ます。

 ポージングに忙しいアルバさんは置いておいて、ベインさんも気になるのか不思議そうな顔で彼女を見ており、何やら恨みを買う事をしでかした本人は既に記憶に無いようです。


「忘れもしない、五年前の夏……」


 そして静かに語り出すアルメリアさん。

 静かなのが逆に怖い、そんな感じでしょうか。


「我々、ピオニー騎士団はとある大規模な任務の後、その慰安ついでとベルベラの温泉に立ち寄ったのだ……」

「温泉!?良いわねぇ」

「ああ、ベルベラは良い所だぞ。俺も何度か行ったことがあるが、あそこはリゾート地でな。海の見える露天風呂がな」

「僕も前に行ったことがありますね」


 アルメリアさんとは酷い温度差のニコさん達。わいわいと始める彼等を他所に、わなわなと震えるアルメリアさん。槍を握る手からはミシミシと音が聞こえそうです。


「我々が任務の疲れを癒そうと温泉に入浴している時、突然として男湯と女湯の境にある壁が吹き飛んだ」

「「……」」


 皆一斉にアルバさんとベインさんを見ました。

 アルバさんは綺麗なサイドチェストを決めていますが、ベインさんは思い当たることでもあったのか、「ああ」と手を打ちました。


「そういえば、そんなこともあったねぇ。いやぁ、あの時は本当に大変だった」

「大変だったのはこっちだ!いきなり壁は壊れ、挙句暴れまわる貴様らを止めるために服着る間もなく対応する羽目になった私たちだ!」

「すると成程、貴女はあの時の!よく見れば確かに、うーん。思い出した!」

「思い出したか!いや、思い出さんで良い!忘れろ!」

「いやぁ、全裸なのに勇ましい女性達だとは思ったけど、その筆頭が確か貴女だったね!全裸騎士団!」


 うんうんと頷くベインさん。遠い過去に思いを馳せているようで、目線は遠くなっています。


「全裸騎士団……、誰のせいで……ッ!」


 魔槍を握りなおすアルメリアさん。その顔は羞恥と怒りで歪んでいます。

 身に纏っている魔素量は先程の比ではなく、つまりそれはクッコロスとの感応です。


「あれは、非常に悲しい事故でした」

「ふざけるな、ふざけるなよ!?……裸で対応する羽目になった乙女の恨み、思い知るが良いッ!クッコロス!」


 アルメリアさんから一際濃い魔力が漏れ出すと、彼女は地面を蹴りました。


「インビジブル・バリアー!」


 キィィィィィッ!と甲高い音。


 またも衝動的に飛び出したアルメリアさんの槍は、やっぱりベインさんの魔法、見えない壁に止められてしまいました。


「くぅぅぅぅぅぅっ!」

「いやー、その節はどうも、めんごめんご。周りのおじいちゃん達も眼福って喜んでたし、まぁいいじゃないか。美しいものというのは誰かに見られてこそ価値があるものだよ」


 クフフと嗤うベインさん。悪びれた様子が全くないどころか挑発とも取れる言動でアルメリアさんを煽りました。アルメリアさんはその壁に青筋立てながらクッコロスを突き立てます。


「絶ッ対に許さん!ピオニー騎士団の誇りにかけて、貴様等は我々の、私の手で断罪する!」

「おおお!?」


 アルメリアさんの叫びに呼応するように魔力光を強くするクッコロス。波紋のように揺れる空間にビシリと亀裂が入ります。


「別に、裸くらい良いじゃねェか」

「良いわけ、あるかあああああああああああああ!」


 ガシャン!と音を立てる様に砕け散った魔法の壁。その槍はベインさんに届く寸での所で、もう一枚の壁に止められてしまいました。残念。


「惜しい!惜しかったねぇ!クフフ」

「馬鹿にしてええええええええええええ!貫けええええええええええ!」

「おぉ、マジか!?」


 一際強い燐光、まるでドリルのように回転し、火花のように散っています。ベインさんの表情にも少し焦りが出てきました。


「それで、結局何でそんなことしたのよ」

「いやぁ、浴場に大顎毒ムカデがね?!」

「あら危ない、それは仕方ないわね」

「そんなわけあるかぁぁぁぁ!」

「ほああああああああああああ!?」


 うんうんとしたり顔で頷くニコさんに叫ぶアルメリアさん。砕ける魔法の壁。

 ベインさんは悲鳴を上げながら上空に逃れ、事なきを得ましたが、「おおお、こえええ」とか冷や汗をかいています。


「とにかく、このような輩と道を共にするなど、断固として拒否する!大人しく我が槍に貫かれるがいい!」

「えー」

「えー!ではない!」

「クフフ、まぁ僕らは僕らで勝手にさせてもらうよ。それに、君達は見たところここで野営するつもりなんだろう?僕らはその必要もないし、先に行かせてもらう。行こう、アルバ」

「ウィムッシュ」


 いつの間にか栄養補給のバナナを食べていたアルバさんにそう言うと、ベインさんは空を飛んで先に行ってしまいました。


「さようなら、全裸騎士さん。また、縁があれば、ね」

「待て!……ならばアルバ、貴様だけでも!」


 そう言ったアルメリアさんですが、アルバさんを見るとどうしても勝てるイメージが湧かずに、その身体は動かなくなっていました。それを見てアルバさんはその圧倒的筋肉を見せつけながらチッチッチ、と舌を鳴らします。


「リベンジマッチ、ウェルカム。バッドノットナァウ」


 それだけで、アルメリアさんは尻もちを着いてしまいました。

 アルバさんが少しでも攻性の気配を放つと、それはまるでドラゴンを前したようなプレッシャーを感じるのです。まぁ、ドラゴンと素手で殴り合えるヒトですし、あながち間違いでも無いのかもしれませんが。


 アルバさんは悠々とアルメリアさんの横を通り、ニコさんの横を通ります。


「貴方、もしかして……」

「……イグザクトリィ」


 アルバさんは悠々と歩き去って行きました。

 その背を皆で見送ると、一言アルガスさんが呟きました。


「はぁ。まぁ、もういいから、今日はもう休もう。なんかどっと疲れたわ」

「……はい」




 翌日、目を覚ました一行は、軽い朝食の後にセレスティアの入り口に来ていました。

 そこには何やら良く分からない大きな陣。その中心に石碑と、実にそれらしい雰囲気です。

 周りには青と白ばかりで、辺りを白く包んでいる靄も麓から見れば頂上を隠す雲でしょう。


「これね?」

「ああ、そのはずだ」


 ニコさんはネロさんに貰った石を取り出します。

 その石は石碑に反応するように、青く、蒼く輝いています。


 ニコさんはバッ!と音を立てながら両手と羽を広げて叫びます。


「天海へ続く扉、我が前に姿を現し、開くが良いわ!」


 その声は、周りの山に反響すると山彦となり、辺りに響き渡ります。


 すると、なんとセレスティアの入り口が……ッ!

 現れませんでした。残念ですね。


「おい、この窪みじゃねェか?ちょっと石貸せ」


 石碑を調べていたフィズィさんがニコさんにそう言うと、ニコさんには白い視線が突き刺さります。

 アルガスさんとアルメリアさんですが。


 フィズィさんが石碑の上部にある窪みに石を嵌め込むと、周囲の陣が蒼く輝き始めました。


「おお、当たりってか?」

「そうみたいね」


 段々と輝きを強める魔法陣。


「皆さん、陣の中に入ってますね!?」

「ああ、大丈夫だ!」

「私も入っている!」


 アルム君が叫ぶと同時に一際大きく陣が輝き、周りは白い光に包まれました。

 物凄い光量で何も見えない程です。フラッシュバンを喰らったらこんな感じなんでしょうか。

 各々悲鳴や叫び声を上げています。


「おいおい、大丈夫なのか!?」

「知らないわよ!目があああああ!」


 数秒くらいでしょうか。強烈な光が収まると、そこは大きな魔法陣と石碑だけ、あとは青く澄み渡る空しかない世界でした。


 こうして一行は、とうとうセレスティアに辿り着いたのです。

ようやくセレスティアに着きました。

行き当たりばったりでここまで書けたのは、読んでくださっている皆さんのおかげです。


本当にありがとうございます。


感想など頂けるととても嬉しいです。

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