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吸血蝙蝠ニコさんのダンジョン攻略記(仮)  作者: こぺっと
第二章 ニコさんと復活の魔王軍
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038 ニコさんとマクリアの廃鉱山

マクリアの組合支部を出た三人は、一先ず宿に戻りました。

部屋に着くなりやっぱりベッドにダイブするニコさん。

扉付近で腕を組んで立っているフィズィさん。

椅子に座ったアルガスさん。

部屋の中はこんな感じの構図です。


「よし、んじゃあ明日からの予定を話そう」


一息つくと太ももをパンッ!と叩いてそう切り出したアルガスさん。

もうすっかりニコさんたちのリーダー的存在ですね。

かっこよく言うとブレインです。

ベッドでゴロゴロ枕と戯れていたニコさんもモソモソと体を起こして座りました。


「とりあえず、明日はもう一度鍛冶屋モグラディウスに寄って、なんつったか?」

「ベルね!」

「そう、ベルに渡すモン渡す。嬢ちゃんの方は大丈夫そうか?」

「愚問ね!」


モグ爺さんから頼まれたベルさんへのプレゼントの事ですね。

まだなにも用意していないのにニコさんは自信たっぷりに頷きました。


「その後、俺達は廃鉱山、廃鉱の迷宮へ行って鉱石を採掘する」

迷宮(ダンジョン)!」


迷宮。

そう、迷宮です。

久しぶりの迷宮です。


「廃鉱の迷宮は、鉱山に作った坑道が迷宮化しちまったもんだ。マクリアの廃鉱は割と有名でな、採掘が終了する前に迷宮化しちまった鉱山の一つだ。奥に行くと鉱石もまだ埋まってるし鉱石を喰った魔物なんかが徘徊している。そのお蔭でマクリアは20年前くらいまでは割とそれ目当てのヒトが集まって今よりも賑わってたらしい」

「20年前?結構前ね」


ニコさんの問いかけに「そうだ」とアルガスさんが頷きます。

椅子の背もたれに寄りかかると取り出した煙草に火を着けました。


「今はもう低層にはあまりそういったモノが出ないらしくてな。奥に行くにはそれなりの実力が必要だし、廃鉱に入るには許可がいる。特にココのはそれなりに面倒でな、しかもかなり奥に行かないとまともに実入りが無いクセに入口にはキッチリ関所が設けられているから、収入の三割は持ってかれる。その上まともに鉱石を鑑定出来ない奴らじゃどうしようもないと来てるから、最近じゃここの迷宮に入る人間もそう多くはないらしい。まぁ、全然いないってわけでもないらしいがな」

「ふーん、割としっかり管理されてるのね。太古の迷宮はそうでもなかったわよね?」


太古の迷宮には確かに関所なんてモノはありませんでした。

洞窟のようにぽっかりと開いた入口があっただけで、誰かが管理している様な形跡もありませんでした。

そもそもそんな所があったらニコさんが外に転送された時にひと悶着あったかもしれませんね。


「一応管理自体はされてるが、あそこは今まで国が管理を徹底しないといけないようなモンが大量に出たってわけでもない。それに場所が場所だ、制限しないでヒトを集めたほうがよっぽど経済が回ると判断されたんじゃねぇか?」


ニコさんは初めて知ることに「へー」と感心しました。

フィズィさんも少し興味があるのか、壁に寄りかかりながらちゃんと聞いている様です。

二人にとって少し前まで迷宮はただの住処でしたから、迷宮に対するヒトの考え方というのも面白いのかもしれません。


「まぁそれはいいとして、俺達はとある鉱石を探して一攫千金を狙うわけだ。鉱石探しに関しては嬢ちゃんがいるからそれなりに有利だと思ってるんだが」

「私?」

「そうだ」


唐突に指名が入ったニコさんは目をパチクリ何のことかと思いましたが、アルガスさんが自分の右目を指すとすぐに理解しました。


「ああ、この眼ね。確かにコレ使えば分かるでしょうね」

「ま、そういうことだな。ただ、一つ気掛かりがあってな」


アルガスさんがそう言うとフィズィさんが「あー、アレか」と嗤います。


「組合で聞いたんだが、ここ二年で三組のパーティが迷宮から戻ってこなかったらしいぜ。まぁ、大勢の中の少数だ。迷宮で死ぬことがあるなんざ日常茶飯事だろうしなァ。逆に少ないと思うぜ?なぁ」

「ふーん。まぁ迷宮だしね、気を抜いたらすぐ死ぬわよね」


フィズィさんは「ヒヒヒ」と笑い、同意を求められたニコさんは何となく巨大な魚にバックリいかれた蝙蝠友達の事を思い出し、冥福をお祈りしました。

吸血鬼のクセに十字なんか切ってますが、特にそのまま体が燃えるとかそんなことはありませんでした。


「まぁ、今まではそういったケースがほとんど出なかった場所でもあるから、もしかしたら危険区域でも出来たんじゃないかって話だ。今のところそれらしい話は報告上がってないってことだったが、注意しとくに越したことは無い」


いずれにしろ、迷宮で行方不明なんてことはザラにあることです。

潜るときは相応の準備と覚悟は必要だという事でしょう。

アルガスさんは煙草を一口吸うと、フゥーッと煙を吐き出しました。


「最低でも10層より下に行かないとまともに鉱石なんざ出ないから、迷宮には二日から三日潜るつもりだ。元々迷宮育ちの二人なら楽勝だろ?なに、俺も前に一度行ったことのあるところだ。準備はするが、あまり心配する必要もないだろう」


こうして三人は明日から迷宮探索に赴くことになりました。




一旦話が終わると、アルガスさんは「そんじゃ、色々買うもんもあるから俺はちょっと外に出るわ」と行ってしまいました。

フィズィさんは「少し寝る」と言うとコートを脱ぎ捨ててベッドに転がりました。

少し経つと安らかな寝息が聞こえてきたので、本当にすぐ眠ってしまったようです。


さて、ニコさんはというと部屋の窓を開けて煙管に火を着けると一口ゆっくりと吸いました。

それを細く長く吐き出すと。


「さて。ベルの着物、作んないとね」


と、ユルユル昇る煙を眺めながら着物の構想を考え始めたのでした。


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