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吸血蝙蝠ニコさんのダンジョン攻略記(仮)  作者: こぺっと
第四章 ニコさんと魔王
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エピローグ 旅の終わり

 ニコさんがアルビオさんの手に触れると、その瞬間、周囲に二つの光が現れます。

 光が消えると同時に現れたのは、小さい王様のような格好の少年、ネロさんと真っ青な髪の少女、フラウさん。


「久しいの、アルビオ」

「三百年ぶりかの」


 久方ぶりの再開です。ただ、そこには感動などありませんでしたが。

 ネロさんは不敵に笑います。


「という訳で、覚悟はできているのだろうな。アルビオよ」

「このままお前たちが終わらせて、彼らが納得ると思うのか?」


 アルビオさんがニコさんたちを見ます。

 ニコさん、フィズィさんはなんかもうすっかりアルビオさんには興味が無さそうで、不意に水を見向けられてポカーンとしています。全く緊張感がありません。

 アルガスさんとアルメリアさんはやや緊張した面持ちですが、まだやるの?みたいな気持ちがにじみ出ています。アルム君は上空で、え?まだ終わってないの?みたいな顔をしています。

 唯一、レムレスさんだけはアルビオさんを睨みつけるように見ています。

 そうです。レムレスさんだけは、今回まだ何もしていません。更に、ニコさんにネロさんを呼び出すという役割をさらっと奪われてしまいました。欲求不満と言う奴でしょうか。

 一応一通り見回したアルビオさんは、うむと一つ頷きました。


「デネロス、フラウルよ。我はもう、今回為すべきを為した」


 そして、別の論点で責めることにしたようです。


「故に、我は我が軍をこの大陸より開放し、この世界の管理をお前たちに委ねようと思う。これよりこの世界は、お前たちが望んだ、神の干渉せぬ世界へと進むことを、我は許容しよう」

「ほう、それはこの世界を棄てる、ということかのう?」


 これにはフラウさんも怒りの表情を見せます。

 ネロさん、フラウさんからすれば、アルビオさんはやりたい放題やってもういいや、と世界を棄てる、というように感じるからです。これは流石に駄目です。

 しかし、流石にアルビオさんもそんなに外道ではありません。一応、この世界を今まで見てきた神様ですから。主にここ数百年は魔王としてですが。


「いいや、そうではない。そこのニコ=ウォーカー、二条 瞳が示したのだ。ヒトは神なき世にあっても、その一欠けらの教えさえあれば魂を成長させることが出来る、と。ならば、我等は既に不要であろう。前回と今回の我の干渉と共に、我は最後の教えをヒトに与える。それを以て、この世界は進むべきに進むと信じているのだ。お前たちにはそれを見守っていてほしい」

「随分とムシの良い話じゃな。じゃが、悪い話ではないの」


 ふむ、とネロさん。


「じゃが、魔族はどうする。アルビオよ、この大陸から解放するとは言うが、どこに連れていき、どうするつもりじゃ」

「宛てはある。そして、もちろん……」


 ニヤリとアルビオさん。


「真の魔王軍を完成させるのだ!このような急造ではなく、我が理想の魔王軍を!ふふ、ふはは、今から楽しみだよ!」

「「結局それかい!」」


 どうやらアルビオさん、完全にこのロールプレイングゲームにお熱のようですね。

 一応考えていることがある、と信じたいですが、高笑いする彼を見る限り、あまり考えていないのかもしれません。ですが、一応これでも神様です。きっと、何か考えあってのことでしょう。きっと。


「では諸君、去らばだ。今回は、実に愉快だった。それと、アルガストロ=A=イリシオよ」

「……」

「マグリスを恨むなよ。奴はよく我に尽くした。この国の王族はともかく、この国の多くは腐っておった。奴は、そういったものだけを粛正していった。奴なりに、この国の事を考えたのだ」


 やるせないですね。


「それでは、キルギス」

「ハッ!」


 何となく流されるまま、見送る雰囲気になってしまったニコさんたち。ただただ呆然としています。一人を除いて。


「魔王!待って!」


 レムレスさんです。


「我が勇者か。貴様とは、次回、相まみえるとしよう。神を超えてみよ。さらば、我が娘」


 こうして、アルビオさんとキルギスさんは何処へともなく消えていきました。

 ニコさんの心に去来した思いは――。


「えー……」


 でした。


「まぁ、仕方ない。奴め、麿等に追われぬよう、入念に痕跡を消しておる」

「えー……」

「とにかく、暫くは奴も手を出してこんじゃろう。真の魔王軍というフレーズが気になるが、それに備え我らは真の勇者か聖騎士団でもそろえておけばよかろ」


 ホッホと笑うネロさん。

 こうして、魔王復活の騒動は幕を閉じました。実に拍子抜けする結末でした。



 さて、それから数年時間は進みます。アルガスさんの故郷であり、今回の魔王復活で一番ダメージを受けたイリシオ王国の再建は実に困難を極めました。

 残った王族はアルガスさんにベルメルさんだけ。勿論次代の王はアルガスさんに決まりましたが、国が非常にボロボロだったので、隣国の手を借りることになり、危うく傀儡にされかけたりとすったもんだの末、何とか再建に漕ぎつけました。

 その時、武力として非常に重宝したのがアルメリアさん率いるピオニー騎士団だったとか。すでに彼女もヒトの枠を超えていますから。


 ニコさんはと言えば、アルガスさんから伯爵の地位を与えられました。多くの貴族が粛正され、土地の管理が立ち行かなくなったので、一か所受け持ってほしい。そんな打診を受けたとき、ニコさんは――。


「貴族?面白そうじゃない!?パンが無ければケーキを食べればいいじゃない!?」


 そう言って軽く引き受けました。その時、ニコ=H=ウォーカーと名前を変えています。

 フィズィさんに関しては、一応ウォーカー伯爵家の貴族としての地位を受けましたが、この世界を見たいということで、世界中を旅することになり、ほとんど領地にはいません。

 政治が初めてのニコさんには、レムレスさんという優秀な顧問兼秘書が付くことになりました。

 彼女は元勇者で、元王族ですから、ある程度のことはできます。今では二人で領地の管理をしています。ニコさんは、貴族ってなんか着飾ってパーティとかすればいいんじゃないの!?と文句を言っていたとかいないとか。


 次に、アルム君ですが、彼は一度故郷の異邦人保護協会に今回の件を報告しに行くと言って姿を消しました。恐らくそのうちひょっこりと戻ってくるのでしょうが、もうここ数年姿を見ていません。


 さて、一同が一通り落ち着いたころ、ニコさんはフィズィさんと二人で再びネロさんの元を訪れました。ちょうど、フィズィさんが一度ウォーカー伯爵家の屋敷に帰ってきたのでいい機会だったのです。


「すっかり忘れてたのだけれど、あの時の約束……、果たして貰おうかしら」

「おお、そういえば、そうじゃったな」


 いつぞや、バーベキューを行った時の約束です。ネロさんがニコさんに何やら

 ネロさんは少し待っておれ、と準備をすると、一つの魔方陣を完成させました。


「異界渡しの術式。覚えても構わんぞ」

「……そうね、覚えておくわ」

「まぁ、二度と使わねェだろうがよ」


 ニコさんとフィズィさんが陣の中に入ると、ネロさんは陣を起動しました。


「では、行ってくるがいい。時間は十時間。それで自動的にここに戻ってくる」

「分かったわ。ふふ、きっとお母さん、驚くわよね」

「ヒヒ、目いっぱい驚かしてやろうぜ」


 そう言って二人は、光の中に消えていくのでした。

本作、このお話で完結とさせていただきます。

今後はニコさんのシリーズとして短編や、別の長編を書いたりするかもしれませんが、その時はまた応援していただけるととても嬉しいです。


本作の裏話をしますと。元々、とりあえず何でもいいから投稿してみようぜ!という発想を元にした見切り発車でした。

プロットもなく、頭の中で何となく思い描いてたストーリーをその時その時で書いてみる、という非常に困難な進め方をしていたので、読者の皆様には大変読みづらさを与えてしまった部分、分かりづらい部分もあると思います。


それでも、ここまでお付き合いいただいた方々には、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

皆さまの応援があってこそ、完結、という形に持ってこれました。

本当に、ありがとうございました。



もし、宜しければ、本作の感想など頂けると、次回作の栄養にもなりますので、是非に、よろしくお願いいたします。皆さまとは、また他の作品でお会い出来たらと嬉しいです。

それでは皆さま、左様なら。


挿絵(By みてみん)


ps. 結局最後までタイトルから(仮)が取れなかったorz

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