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吸血蝙蝠ニコさんのダンジョン攻略記(仮)  作者: こぺっと
プロローグ 吸血蝙蝠ニコさんのダンジョン攻略記
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001 ハグレ蝙蝠ニコさん

2017/09/07 誤字修正など軽微な修正を入れました。

2022/08/24 諸々修正しました。ストーリーに影響はありません。


どうでもいいですが、いきなり蛇が蛙食べたり蝙蝠が芋虫食べたりするので、苦手な人は要注意です。読み進める場合は脳内にモザイクをご用意ください。

 どうも皆様こんにちわ、私は吸血蝙蝠のニコ。

 私は今、洞窟の中をフラフラバサバサ飛んでいる。

 独りぼっちで飛んでいるのよ。


 私は元々他の仲間と洞窟の中でキーキーガヤガヤ生活していたの。

 まぁ、コロニーっていうんだけどね!


 でもある日、私たちのコロニーは大きな蛇に襲われちゃった。

 こーんなおっきいでっかい蛇! すっごく驚いた!


 私も驚くくらいだから、皆も凄く驚いた。

 でね、その時みんな散り散りになって逃げたものだから……、はぐれちゃったのよね、私。


 それから私は独り、洞窟の中をフラフラ彷徨ってるってわけ!

 どう? 一部の隙もない説明じゃない? これでみんな、私の境遇は分かってくれたと思うの。

 きっと「可哀想にね」って同情もしてくれると思う。

 だって実際可哀想よ? 私。


 一人での生活はとっても危険。

 例えばほら、今まさに大きなカエルに狙われているわ。

 あのカエルね、舌がとっても長くって、いっつも私のことを狙ってビュンビュン飛ばしてくるの。

 あのサイズになると蠅なんかじゃ物足りないのねぇ。

 マジで勘弁してください。


 キーキー喚きながらなんとか長い舌から必死に逃げ回っていると、いつの間にか現れた巨大な蛇。

 カエルを後ろから一のみにしたわ。

 ああ、九死に一生ね。


 ていうか、あいつ私たちのコロニーを襲った蛇とおんなじくね?

 カエルがいなくなって助かったと思ったら、実質状況は変わってないどころか悪化してない?

 ああ、まったく、なんてこと!?


 あら、でも今は大きなカエルを食べたから、ちょっと動きが鈍くなっているみたい。

 もしかしてこれは助かったのかしら。

 だったらさっさとお暇しましょう? そうしましょう。

 オホホホホ、それでは蛇さん。ごきげんよう。

 わたくし、ちょっと用事を思い出しましたの。

 きっともう二度と会うことはないでしょうけど、お元気で。


 大蛇に背を向けて逃げ出す私。

 ふぅ、どうやら蛇は追ってこない模様。

 今回もなんとか助かったみたい。


 こういったことは日常茶飯事。

 気を付けてないとすぐにピンチになってしまう。

 まったく嬉しくない環境だわ。

 今まで生きてこられたのは、きっと私の運が良かったのと、いつもいっぱい気を付けているからね!

 私超偉い。誰も褒めてくれないから私が褒めてあげるわ!


 さて、私もそろそろお腹が空いたわね。

 こう逃げてばかりじゃお腹も空くわ。

 そろそろカロリーを摂取したい。


 私がお腹を空かせてパタパタ洞窟内を彷徨っていると、私の高性能な超音波が丁度よく良い感じの芋虫を見つけた。

 芋虫っていっても、こんなちっちゃいのじゃなくって、私よりも全然おっきいやつ。

 それにしても、なんだかいつも見かけるやつより大きくない?

 きっとお腹を空かせた私を哀れに想った神様が用意してくれたごちそうなんだわ! なんてね!


 ちなみにアレ、実際食べれるんだけど、実はちょっと危険な奴でもあるの。

 ただのごちそうじゃなくって、どっちがごちそうになるか熾烈な争いをしないといけないタイプのやつってこと。

 なにせ、口からたくさんの触手が伸びてくるのよ? 超キモい。ホント信じらんない。

 前にコロニーのキース君――私が勝手に付けた――が捕まって食べられてるとき、私はただ見てることしかできなかったわ。怖くて。


 だからいつもは近寄らない。

 もうほんとトラウマよ。


 でも、私が今見つけたのは岩場に隠れて眠っている芋虫。

 眠っているやつなら怖くないわ!

 私はこっそり近づいて、芋虫が身じろぎ一つしないのを確認する。


 ふふ、じゃあいっただっきまーす。

 私は可愛いお口を全開にした。


「キー!」


 芋虫の頭にガブリと噛みつく。


 体液を啜っていると、私に気付いた芋虫が暴れだす。

 ふふ、でももう遅いの。

 私が今いる位置は頭の上、芋虫なあなたは私に何もできないの。

 ああ、なんて完璧な頭脳プレー! 私賢い! 賢いは偉い!


 しばらくすると芋虫は完全に沈黙。これは私の完全勝利ということ。

 これでしばらくお腹を空かせて困ることは無いわ。

 来たれ、飽食の時代!


 私は「キーキー」と勝利の雄たけびをあげた。


 結局、その後三日は食料に困らなかった。

 芋虫様様ね。


 さて、今私の目の前にあるのはその芋虫の体内にあった何か固い石みたいなもの。

 他の部分は何とか全部食べたのだけど、これだけはさすがにねぇ。

 私の歯が負けちゃうかしら。


 しかもその石、なんだかボンヤリ光っていてちょっと綺麗。

 一体これはなんなのでしょう?


 試しに石を齧ってみるとガチガチと固く、とても噛み砕けそうになかった。

 やっぱり、とても食べられたものじゃないわね。

 そう思っていると――。


「ギャアアアアアアアアァァァ――――」


 何やら遠くから恐ろし気な叫びが!

 びっくりした私は石をまるっと飲み込んでしまった。


 すると、次の瞬間私の心臓がドクンッと跳ねた。

 急に体が熱くなって、全身に力が湧いてきて、ああ、今なら何だってできそう!

 何かしらこれは!?

 しゅごい、しゅごいわ!


 突如漲った全能感。暴れだしたい衝動。

 私は必死に抑えたわ。

 だって、冷静な私が囁くんだもの。

 こんなものに冷静さを欠いて飛び出したら私の命は長くないって。


 しばらくの間、私は荒れ狂う衝動を必死に抑え、その場でバタバタのた打ち回った。

 どれくらいの時が経ったか、体の熱は冷めてきて、その頃になるとなんだか随分と気分が良かった。


 冷静さを取り戻した私は、体の隅々まで意識を巡らせ調子を確かめた。

 それから、洞窟内を羽ばたいてみる。

 すると、自分がすっかり快調で、それどころか今までにないほど絶好調なことに気付いたの。


 あの石が何なのかはよく分からないけど、もしかして私ってば良いものを見つけちゃった?



 それから味を占めた私は寝ている大きな芋虫をいっぱい食べた。

 芋虫の体にある光っている石も全部食べた。

 私の調子はその度にどんどん良くなって、元々あまり良くなかった目も今ではとっても良くなった。

 暗い洞窟の中も鮮明に見えるのよ!

 鼻も前より効くようになったし、何より耳が凄く良くなった。

 お陰で私は周囲の状況が手に取る様に分かる。危険な場所もすぐ分かる。

 謎の石、凄い!


 ご機嫌な私は一人で観光案内まで始めちゃう。

 さて、最近の私のお気に入りの場所はとても大きな湖があるところ。多分地底湖ってやつね!

 洞窟の中なんだけど、天井には大きな光る石、水晶がついていてとっても綺麗。

 目が良く見えるようになったから視覚情報で得られる景色がとても楽しいわね。

 淡く光る水晶の光。それを、ゆらゆら揺れる湖面が反射して煌めく。

 ああ、いとをかし。趣深いわね。


 そして水面に揺れる魚影、時々凄く大きい影が見えるの。

 一体どんなお魚がいるのかしら、ほらあそこ、うふふふふ。


 ――ザバァァァ!!


 そんなことを考えていると、大きな音を立てて巨大な魚が飛び上がる。

 私とは少し離れたところにいた蝙蝠が、逃げる間もなくその魚に捕食された。

 ああ、デイビット。

 彼、最近よく私と「キーキー」お喋りしてくれたのだけど……、そう、凄く残念ね。


 どうやらここはとても危険な場所。

 少し調子に乗ってたみたい。

 さっさと退散いたしましょう。


 それでは皆様、ごきげんよう。

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