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この不良、超能力は「肉体」のみ  作者: 創場
1章 その不良、超能力に出会う
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プロローグ 島倉滝の場合

 島倉しまくら たき。身長158cm。中学三年生。長い黒髪をポニーテールのようにしている。

 部活はバスケ部で部長をしていたが引退し、高校を楽しみに待つことだけであった。幼馴染の木場 道也の事さえなければ。


 道也とはもともと母親同士が友達だったため、赤ちゃんのころからの付き合いで一緒に居るのが当たり前だった。

 だが、幼稚園に入ると、組がバラバラになり、とても寂しくなっていた滝だったが、杞憂だったらしく、道也はその女の子に間違われそうな顔でニコニコ笑いながらもおどおどして、こちらの組に遊びに来てくれた。滝は、そんなおどおどした性格の道也を弟のようにかわいがっていた。


 「僕、滝ちゃんと結婚したい」


 滝はその言葉を聞いた時、もう頭の中は道也だらけになっていった。


 だが、ある時を境に、道也は粗暴になり、遊んでくれなくなったのだ。不良になっても構わなかった。滝は道也と遊びたかったのだ。昔のように気弱な返事で返してほしかった。だが返ってきた言葉は・・・。


 「女となんかもう遊んばないよ。僕はもう強いんだから」


 「え、でも結婚するんだよね? 私たち」


 「しないよ? 僕、もう滝ちゃんとは結婚しない」


 そう言い捨てられた。滝は悲しみと怒りが混ざり、道也を無視するようになった。道也は時々と言うより、お隣さんだったので、嫌でも毎日顔を合わせていたが、滝は目も合わせずに話しかけられても返事もしなかった。滝の母も道也の変化に気づいており、母子揃って木場一家を避けていくようになった。


 だが、どれだけ避けても同じ学区。近所に住んでいる限り顔を合わせてしまい、忘れることや気にしないことができなかったのである。

 一度、引っ越しも提案したが、父はこの町の港から船で仕事に行っており、滝は漁師だと思っていたが、ひょろひょろの中年の父にそんな力仕事は無理だなと最近になって思ったが、滝も思春期で悩みも多く、その上、目の上のたんこぶである道也と小中が一緒で毎日が気まずいのに父の事など気にも留めれなかった。そのような理由で滝は道也の居るこの町から出られずじまいだった。


「県立を受けてあんな乱暴者が居る町からすぐにでもおさらばしてやる!!!」


 滝はそう勇んで県立を受けたが、おさらばしたのは合格通知だった。絶望した滝は中卒で家を飛び出すのも考えたが、とても現実的ではないので諦めた。


 そんな鬱々とした思いを馳せながらも月日は進み、三月十日、日曜日、卒業式前日の日、滝は町の近くの河川敷で散歩をするのが日課になっており、よく河川敷に来ていた。だが、今日は様子が違っていた。


 目線の先で同じ学校で見たことがある五人組が斜め下を見ながら叫んだりしていた。滝は、この光景を数回だが目にしたことがある。そして、大抵、目の上のたんこぶのあいつが居る。目線を下に移すと、案の定。木場道也。滝は思わずため息を吐いた。道也の方にも一人味方らしき男が居た。道也の唯一の不良仲間。不知火しらぬい 大吾だいごだ。


 中学生にしては攻めた風貌で、身長は中学生にして180を超え、髪は銀髪に染められ、ウルフカットのようなワイルドな髪型にしており、目つきも獰猛な狼ようで、まるで狼の擬人化した姿のようだった。女子からの人気は高く、〈頭が残念でなければ最高級の肉食男子〉と専らの評判だ。

 

 道也といつ出会ったかは滝には分からなかったが、小学校から道也とつるんで、揉め事を起こしていた。さっきのドスの利いた声はあいつだろう。滝はそう察した。なぜなら、道也は声変わりしておらず、あんなドスの利いた声など出せないからである。


「まだあんなのと絡んでるの? ま、関係ないけどね・・・」


 滝は残念そうにつぶやいた。その言葉はずっと悩まされる気持ちよりも、元の道也に戻ってほしいと言う願いもあったのかもしれない。それに気づいていない滝は、見て見ぬふりをし、その場から立ち去った。

プロローグはこれで終わりです! 次から本編です!!

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