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掌編小説集3 (101話~150話)

ボタンのある暮らし

作者: 蹴沢缶九郎

発明を趣味としている宮川という男の家に井手という男が遊びにやってきた。宮川の家に上がった井手が、玄関の壁に何やらボタンスイッチがあるのに気づいた。


「これは何のボタンかな?」


「押してみればわかるよ。」


訳が分からない井手は宮川に促されるまま、そのボタンを押してみた。すると壁の一部分が開き、中から靴べらが出てきた。


「これは面白い。」


感心する井手に、調子を良くした宮川は、


「他にも家中にボタンがあるから色々押してみなよ。」


と言い、井手はその言葉に甘え、好奇心から家中のボタンを押して回った。茶の間のテーブルにあるボタンを押すと、テーブルの上部分からお茶の注がれた湯飲みが現れ、階段近くのボタンを押すと、階段がエスカレーターになり、中でも驚いたのは、ベランダのボタンを押すと、家が360度回転する仕掛けだった。これは洗濯物を干す際に日光を少しでも長くあてる為との事だった。


ひとしきり感心しっぱなしの井手に宮川は満更(まんざら)でもなかった。井手が宮川に色々話を聞いていると、誰かが玄関の戸を叩く音がした。宮川が出るとそこには、取り立てにやってきた借金取りがいた。借金取りはうんざりした様子で言った。


「やっと出てくれましたね。何回呼んでも戸を叩いても気づいてくれないんですから。我々から隠れたい心情はお察ししますが、いい加減インターフォンのボタンぐらい付けたらどうですか?」


そう言われ、宮川は面目なさそうに頭を掻いた。

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