7話
「神様?ごめん、僕はそんな立派なものじゃないよ。ただのネズミ。きみが勝手に勘違いしただけだよ」
ネズミは情けなさそうに、でも嬉しそうに泣きながら答えます。カラスはますます意味がわからなくなってネズミに質問しました。ネズミは、お父さんが冒険家で太陽の島に行ったことがあるけれど証拠がなく、友達に信じてもらえず悩んでいて、カラスくんに神の使いと言われたときに、思わずカラスくんを利用してしまったことを告白しました。カラスはだまされていたことにムッとしましたが、ネズミの嬉しそうな顔を見ているとなにも言えませんでした。島から持ち帰ったものを眺めるネズミを見ていると、優しい気持ちも芽生えてきました。だまされていたとしても誰かの役に立てたことが嬉しかったのです。持ち帰ったものは全部あげるよと言い、カラスは飛び立とうとしました。
「本当にありがとう。カラスくん」
と、ネズミはもう一度お礼を言いました。恐れられるよりも、感謝されるほうがずっと幸せでした。嬉しそうなネズミの顔をちらりと見たあとで、カラスは力強く羽ばたきます。
「こちらこそありがとう。ぼく本物の神様の使いになれた気がするよ」
そう言って夕日にむかって飛び立っていきました。
夕焼けに小さな黒い影がひとつ、それは気高く、自信にあふれた影でした。
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