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1話
あるところに若いカラスがいました。自分に自信がなくおとなしく、いつもスズメやツバメにからかわれていました。カラスはあるとき、悩みをカラスの長老に相談しました。すると、
「おまえはなに意気地のないことを言っておるんじゃ。我らカラス一族は古来から神の使いとして、気高く生きておるんじゃぞ。おまえもカラスの一羽としてこれからは自信を持って生きるのじゃ」
と、たしなめられました。カラスはびっくりしました。自分たちが神の使いだったなんて全く知りませんでした。明日からはもっと強く生きようと誓いました。
あくる日、カラスは雲の下を元気に飛びまわっていました。やっぱりスズメとツバメがやってきてカラスをからかいました。カラスは言います。
「なにを言ってるんだ!おまえたちは!僕が神の使いだと知っているのか?僕をからかうことは神様をからかうことと同じなんだぞ!」
スズメとツバメはびっくりしました。昨日までからかっていたカラスが神の使いだったんて!二羽は謝ったあとでバツが悪そうにその場から飛び去りました。