~ 6 ~
金貨の取り分を話しながら歩いている間に日は暮れ、酒場に着いた頃にはすっかり夜になっていた。
早速中へと入ると視界に多くの人たちが酒を片手に騒いでいる姿が飛び込んでくる。
酒場もまたギルド同様にどんな町にもある大衆的な施設だ。
しかし、この町の酒場は何かが違っていた。
その違いに、いち早く気が付いたのはブライトだった。
「居ない!」
「居ない?」
レイヴァンとリルは急に声を上げた彼の横顔を不思議そうに見つめる。
「二人ともよく見ろよ! 若い女の子が居ないだろ? あれに見えるも、これに見えるも、どう考えても俺たちより年上だぞ!」
ブライトに言われて、周りを見渡す二人。
じっくり見て、その様子に気がつく。
確かに、彼が言うように同世代ぐらいの女性が居なかった。
酒や食事を運んでいる給仕の女や、男達と一緒に居る女たちも年上に見える。
「どうやら、そのようだな」
「先日、大人の色気がどうのって言っていたじゃないですか。 夢が叶って良かったですね、ブライト」
「今は年下の若い子を相手にしたい気分なんだ!」
「……そんなこと知らんです。 何より、リルにはどうでもいいことです。 ご主人様、早く食事にしようです」
「そうだな」
「折角ここまでガンバってきたのに! 楽しみにして山を下りてきたのに! 何という酷い仕打ち。 こうなったら自棄酒だ!」
肩をがっくりと落として項垂れていたブライトは開き直ると空いていたテーブル席に着き、近くの店員を呼びつけると大量の食事を頼み始めた。
レイヴァンたちは彼がこうなると腹が満たされるまで止まらないことが解っていたので、彼と同じ席には着かず静かなカウンター席へと腰を下ろした。