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魔天創記 (壱)  作者: ちゃすけ丸
第5章
24/40

~ 23 ~

 首筋を掴まれると顔の前まで持ち上げられた。



「この屋敷に猫が紛れ込むとは」



 リルは相手に気がついて暴れるが、小さな猫の姿ではまったくの無意味だった。



 魔犬はリルの後を追って部屋へと入ってきたが、入り口で老人の姿を見つけると急に大人しくなった。



「もう行きなさい」



 老人が腕を払うと魔犬はゆっくりと部屋を出て行く。



 リルは捕らえられたまま部屋の奥へと連れて行かれた。



 その部屋の奥からは声が聞こえてくる。



「セバスや、そろそろ食事に致せ」



 それは女の声だった。



「すぐにお持ち致します、ルーマ様」



 老人は部屋の奥に向かって頭を下げる。



 部屋の奥へと辿り着いたところに、胸元の大きく開いた派手なドレスに身を包んだルーマと呼ばれる女性がいた。



 顔や身体にシワが見え、派手なドレスを着るには少々年齢が高すぎるように思える。



 お婆さんが、派手な服を着るなです!



 リルは首筋を持たれながら毒づくが、次の瞬間には宙を舞っていた。



「フニャ!」



 彼女は猫の姿になっていたが、体勢を整えることができず腹から地面へと落ちる。



 きらきらと瞬く星々を首を振ってかき消し、ゆっくりと辺りを見渡すと、目の前には鉄格子が見えた。



 リル、また捕まっちゃったです……



 リルは部屋の中に置かれた檻の中へと入れられていた。



「君はここで大人しくしていなさい。 あとでスープの出汁にでもして差し上げますよ」



 老人は不敵に笑みを浮かべると、リルの隣の檻から何かを引きずり出した。



 彼女が顔を向けると、老人に引きずり出されていたのは若い女性だった。



 抵抗できないまま檻の外へと出される女性。



 若い彼女は既に体力が尽きているのか、叫ぶ悲鳴にも力がない。



 ただただ身体を震わすだけだった。



 リルが周りをよく見ると、檻の中にはまだ多くの女性が居た。



 檻の中にいる女性たちも身体を寄せ合いながら震えている。



 こ、これは、酒場のマスターが言っていた事件です。 リルもいつの間にか巻き込まれちゃったです〜!

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