~ 23 ~
首筋を掴まれると顔の前まで持ち上げられた。
「この屋敷に猫が紛れ込むとは」
リルは相手に気がついて暴れるが、小さな猫の姿ではまったくの無意味だった。
魔犬はリルの後を追って部屋へと入ってきたが、入り口で老人の姿を見つけると急に大人しくなった。
「もう行きなさい」
老人が腕を払うと魔犬はゆっくりと部屋を出て行く。
リルは捕らえられたまま部屋の奥へと連れて行かれた。
その部屋の奥からは声が聞こえてくる。
「セバスや、そろそろ食事に致せ」
それは女の声だった。
「すぐにお持ち致します、ルーマ様」
老人は部屋の奥に向かって頭を下げる。
部屋の奥へと辿り着いたところに、胸元の大きく開いた派手なドレスに身を包んだルーマと呼ばれる女性がいた。
顔や身体にシワが見え、派手なドレスを着るには少々年齢が高すぎるように思える。
お婆さんが、派手な服を着るなです!
リルは首筋を持たれながら毒づくが、次の瞬間には宙を舞っていた。
「フニャ!」
彼女は猫の姿になっていたが、体勢を整えることができず腹から地面へと落ちる。
きらきらと瞬く星々を首を振ってかき消し、ゆっくりと辺りを見渡すと、目の前には鉄格子が見えた。
リル、また捕まっちゃったです……
リルは部屋の中に置かれた檻の中へと入れられていた。
「君はここで大人しくしていなさい。 あとでスープの出汁にでもして差し上げますよ」
老人は不敵に笑みを浮かべると、リルの隣の檻から何かを引きずり出した。
彼女が顔を向けると、老人に引きずり出されていたのは若い女性だった。
抵抗できないまま檻の外へと出される女性。
若い彼女は既に体力が尽きているのか、叫ぶ悲鳴にも力がない。
ただただ身体を震わすだけだった。
リルが周りをよく見ると、檻の中にはまだ多くの女性が居た。
檻の中にいる女性たちも身体を寄せ合いながら震えている。
こ、これは、酒場のマスターが言っていた事件です。 リルもいつの間にか巻き込まれちゃったです〜!




