~ 19 ~
「覚えていろ、人間!」
ガーゴイルはこれ以上戦っても勝てないと悟ったのか翼を羽ばたかせて間合いを取り始めた。
言い放った言葉は負け惜しみにしか聞こえない。
「逃がすものか!」
逃走しようとした相手の様子に気が付くと、レイヴァンはすかさず剣を左右に続け様に切り上げた。
その剣先からは二つの光の刃が放たれる。
放たれた光の刃はガーゴイルの両翼を同時に捕えて斬り落とした。
一瞬の出来事に、ガーゴイルは何が起こったのか解らない。
地面へと向かって落ち始めると、ようやく翼を失ったことに気が付いたようだ。
落ちる間際になんとか我に返り、地面に叩きつけられることだけは免れた。
「き、きさま、その攻撃は!?」
「精霊術の応用だ、さすがに剣は投げられないからな」
ガーゴイルが着地して言葉を発している間にレイヴァンは間合いを詰めていた。
すでに刃が届く間合いとなっている。
「人間を甘く見すぎたな」
「ま、まて!」
ガーゴイルは慌てて、相手に向かって右手を上げる。
「悪魔に情けをかけるつもりはない」
彼が剣を力いっぱい薙ぎ払うと闇夜に不気味な悲鳴が響いた。
「き、き、さま……」
剣を鞘に納め歩き出したところで、背後からかすれた声が聞こえてきた。
「体が半分に分かれても人語を話すとは、しぶといな」
レイヴァンは振り返ってガーゴイルを見る。
切り離された下半身は完全に石に変わっていたが、顔の部分だけが未だ石に変わっていなかった。
再び剣に手をかけるも相手の顔が徐々に石へと変わる様を見て、直ぐに再び背を向けて歩き出した。
「あいにく精霊石を持ち合わせていないからな。 そのまま石にでもなってくれ」
「ル、ルーマ様が、必ずや!」
ガーゴイルは力を振り絞り、そう言い残して事切れた。
最期の言葉にレイヴァンは小さく舌打ちすると、厳しい顔つきで酒場へと戻った。




