表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

姉上、憑依転生されてません!?

作者: 成神 なるせ
掲載日:2026/05/13


 姉が、紅茶を飲んで言った。


「うま……こほん、おいしいですね」


 アランは危うくティースプーンを取り落としかけた。


 朝食の席だった。

 磨き上げられた銀食器。季節の花を飾った長卓。父のしかめ面。母の完璧な微笑。


 そして、王太子の婚約者候補として厳しく育てられた公爵令嬢セラフィーナ・レーヴェント。


 その姉の口から今、絶対に出るはずのない音がした。


 うま。


 公爵令嬢が言う言葉ではない。

 まして、あの姉が。


 セラフィーナは、人形のように美しい姉だった。


 長い睫毛も、白い肌も、花びらみたいな唇も、陽の差す回廊に立つ姿も、あまりに整いすぎていて現実味がない。


 アランはそんな姉を、ずっと遠くから眺めてきた。


 褒め言葉として、人形のようだと思っていた。

 精巧で、繊細で、壊れやすくて、目を奪われる芸術品。


 仲が良いわけではない。悪いわけでもない。

 そもそも、ほとんど交流がないのだから。


 父と母はアランには期待を、姉には失望を向けていた。


 アランは次期公爵として勉強漬け。姉は王太子妃候補として価値を示せない失敗作扱い。


 長年のそれで、姉は本当に人形みたいになった。


 怒らず、泣かず、逆らわず、ただ美しくそこにいるだけの。


 だから、今朝の「うま」はおかしい。


 おかしすぎる。


 アランは何食わぬ顔でカップを持ち上げ、向かいに座る姉を見た。


 セラフィーナは涼しい顔で紅茶を置いた。

 耳の先だけ、ほんの少し赤い。


 父は気づいていない。母も気づいていない。


 だが、控えていた侍女の肩がぴくりと震えたのを、アランは見逃さなかった。


 やはり、おかしい。


 少し前にも、姉は庭の薔薇を見て笑っていた。

 昨日は窓の外の噴水を妙に熱心に眺めていたし、一昨日は食事を見て「野菜が少なすぎるのでは」と言っていた。


 今までの姉なら、そんなことはしない。


 花を見ても空を見ても表情は変わらない。食事に意見しない。紅茶に「うま」なんて言わない。


 ――姉上、まさか誰かに乗っ取られてません?


 そんな馬鹿げた考えが、アランの頭をよぎった。


 だが悲しいことに、それがいちばんしっくり来た。



 その翌日、廊下で母に呼び止められたセラフィーナは、「次の王太子妃教育までに必要事項を確認したいのですが」と言い出した。


「必要事項?」


「業務内容のようなものを。何を求められているのか曖昧なまま努力しろと言われても、困るでしょう?」


 母は絶句した。


 アランも、少しだけ吹き出しそうになった。


 業務内容。


 王太子妃教育をなんだと思っているのだろう、この姉は。


 だが、困るでしょう、には深く同意した。大変遺憾ながら。


 ますますおかしい。



 それでも、最初のうちは黙って見ていた。


 アランは昔から、見ることに慣れていた。

 口を出すより先に、観察して、覚えて、飲み込む。

 そうしているうちにこの家で生き延びる術を身につけてきた。


 姉を見るのも、その延長だった。


 廊下の先に立つ姿。窓辺に落ちる影。風に揺れる金の髪。

 人形のように美しい芸術品。


 遠くから見ているぶんには、完璧だった。


 だが最近の姉は、完璧ではない。


 驚く、困る、言い間違える。

 ちょっと目を離すと、庭師の鉢植えを覗き込んでいたりする。


 以前の姉が完成された彫像なら、今の姉は火の灯った硝子細工だった。

 危うくて、読めなくて、妙に目が離せない。

 ある意味で、こちらのほうがずっと芸術的ですらある。


 そして、その感想に胸が少し痛む。


 本当の姉は、どんな人だったのだろうか。


 アランは知らない。


 知ろうとすることは、いつでもできたはずなのに。

 話しかけようと思えば話しかけられた。同じ屋敷にいたのだから。


 けれどアランはしなかった。


 遠くから美しいと思って、それで済ませていた。


 だから、もし本当に中身が変わっているのだとしても、今さら自分が何を言えるのか分からなかった。


 それでも、確かめずにはいられなかった。



 決定打になったのは、図書室だった。


 午後の空いた時間に立ち寄ると、セラフィーナが本棚の前にいた。


 手にしていたのは薬草に関する本だった。

 社交術でも王家の系譜でもなく、薬草。


 アランはもう、声をかけるしかない気分になっていた。


「姉上」


 セラフィーナはびくっと肩を揺らして振り向いた。


 その反応だけで、アランの中ではほぼ決まりだった。

 前の姉なら、そんなふうに驚かない。


「……アラン」


「読書をされるのですね」


「ええ。いけなかったかしら」


「いえ。ただ、意外でした」


「そう」


 そこで会話は終わると思った。

 だがセラフィーナは少し首を傾げた。


「あなたは、いつもそんなに難しい顔をして本を読むの?」


 アランは黙った。

 姉が、自分に話しかけた。


「難しい顔、ですか」


「ええ。明日世界が終わることを知った顔」


「そこまででは……いや、どんな顔ですかそれ」


「少なくとも楽しそうではないわね」


 少しだけ笑ってそう言う。


 セラフィーナが笑う。


 目の前で見ても、やはり違和感があった。

 いや、違和感というより衝撃だ。


 顔立ちは同じなのに、中にいるものが違う。そんな印象が拭えない。



 その日からアランは、折を見て姉に話しかけるようになった。


 ほんの短い会話ばかりだ。


 食堂で、廊下で、図書室で。

 長話はしない。できない。

 けれど、少し言葉を交わすだけで、疑惑は増すばかりだった。


 ある日、厨房の前で姉が足を止める。


「いい匂い……」


「姉上」


「なにかしら」


「今、だいぶ庶民でしたよ」


「そう?」


「そうです」


 またある日には、新しいドレスの仮縫いで鏡の前に立ちながら、ぼそりと言った。


「これ、構造が複雑すぎない?」


「姉上」


「何よ」


「公爵令嬢としてあるまじき感想です」


「ええ、そんなに」


「そうです」


 さらに別の日、茶会用の小さな菓子を見つめて、


「見た目はすごいのに一口で終わるの、なんだかコスパが悪いわね」


 と言ったところで、アランと目が合った。


「……今のはなしで」


「手遅れです」


「厳しいわねえ」


「当然です」


 そんなやりとりを重ねながら、アランは少しずつ確信していった。


 姉上は、そんな顔をする人でしたか。


 そんなことを言う人でしたか。


 前の姉は、もっと死んでいた。


 ひどい言い方だと分かっている。

 だが、そうとしか思えなかった。


 今の姉は、あまりにも生きている。


 呆れて、困って、笑って、食べ物の匂いに惹かれる。


 だからこそ、胸の奥に哀しみもあった。


 本当はどういう人だったのか知れなかった。

 知ろうとしなかった自分が、今さらそれを悔やむのは身勝手だ。

 けれど哀しいものは哀しい。


 問い詰めるなら、ちゃんと覚悟を持たなければいけないと思った。



 機会は、温室で訪れた。


 昼下がりの温室は静かだった。

 ガラス越しの光が柔らかく、湿った土の匂いがこもっている。


 セラフィーナは奥の鉢植えの前にしゃがみ込み、葉を覗き込んでいた。


「これ、ミントかな」


 小さな独り言だった。


 アランは声をかける。


「姉上」


「ひゃぃっ」


 完全に素の変な悲鳴だった。


 もう、言い逃れはできない。


「少し、お話が」


 セラフィーナは立ち上がった。


 スカートの裾を整える仕草が微妙に遅れる。取り繕い慣れていない人間の動きだった。


「……なにかしら」


「ここなら誰も来ません」


 アランはまっすぐ見た。


「あなたは誰です」


 しん、と一瞬だけ静まる。


 温室の中で、葉がかすかに擦れる音がした。


「姉上は、そんな顔をする人でしたか」


「どんな顔かしら」


「花を見て笑って、紅茶に『うま』と言って、厨房の匂いに釣られて、僕に話しかける顔です」


「最後のは別にいいでしょう」


「いいえ。かなり重要です」


 セラフィーナは小さく息を吐いた。


「……ずいぶん観察していたのね」


「唯一の息抜きでしたので」


「息抜き」


「姉上は人形のように美しい芸術品でした」


「それ、やっぱり褒められてる気がしないのだけれど」


「僕にとっては最大級の賛辞です」


 セラフィーナは困ったように笑う。


 その笑みが、また胸に刺さった。


 アランは試すように言う。


「子どもの頃、一度だけ、姉上が僕に菓子をくれたことがありました」


 セラフィーナは少し目を伏せ、それから静かに言った。


「……ごめんなさい」


 ああ、やっぱり。


「そうなんですね」


「ええ」


「前の姉上はどこへ行ったんです」


 セラフィーナはしばらく迷っていたが、やがて観念したように口を開いた。


「分からないの」


「分からない?」


「気がついたら、この身体の中にいたわ。前世の記憶がある、と言えば近いのかもしれないけれど、そんな綺麗な話でもないの。別の世界で生きて、死んで、どういうわけかここで目を覚ました」


 アランは黙って聞く。


「だから、この子本人ではないわ」


 予想していた。けれど胸の奥には、冷たいものが落ちたままだ。


「でも、この子がどれだけ苦しかったかは分かるの」


 セラフィーナは痛ましそうに目を細めた。


「記憶そのものは曖昧でも、痛みだけは残っているの。どうやって息を殺して生きていたのか、とか」


 アランは唇を結んだ。


 想像はしていた。気にかかってもいた。


 だが、知ろうとはしなかった。


「前の姉上は、戻るんでしょうか」


「分からないわ」


 優しい声だった。

 だから余計に、責める気にはなれなかった。


「怒らないのね」


 セラフィーナが言う。


「怒る資格は、僕にはありません」


 アランはゆっくり答える。


「本当の姉上を、僕は知りません。知ろうと思えば、いつでもできたのに、近づかなかった。遠くから眺めて、美しいと思って、それで満足していた。だから今さら返せとは言えない。ただ……悼むことしかできない」


 セラフィーナはじっとアランを見ていた。


 それから、ひどく柔らかい声で言った。


「この子は、素敵な弟を持ったのね」


 その言葉に、アランは少しだけ息を止めた。


 責められるより、よほど堪えた。


「別人でも構いません」


 セラフィーナが目を見開く。


「今のあなたのほうが、ずっとましだ」


「……それ、前の子に対してだいぶ失礼では」


「ええ。なので訂正します」


 少しだけ間を置いて、アランは言い直した。


「別人でも構いません。今のあなたは、生きている」


 セラフィーナの表情がわずかに揺れる。


 前の姉がどんな人だったか、もう知ることはできない。


 けれど目の前のこの人は、生きようとしている。

 それを否定したいとは思わなかった。


「それは嬉しいけれど、生きていくにはこの家、息苦しすぎるわ」


 ぽつりとセラフィーナが言う。


「同感です」


「あなたもでしょう」


 アランは少し口元を緩めた。


「僕も両親の人形ですから」


 王太子妃候補としての人形と、公爵家嫡男としての人形。


 役割は違う。だが糸を握られていることに変わりはない。


 ならば、話は早い。


「秘密を共有しましょう」


「共有」


「ええ。あなたが憑依転生だということを、僕は黙っている」


「そんなにはっきり言うのね」


「姉上、憑依転生しましたよね?」


「しちゃったっぽいのよねえ」


 軽い。


 あまりにも軽い。


 アランは思わず額を押さえた。


「そこはもう少し深刻に」


「だって今さらでしょう」


「……たしかに」


 少しおかしくなって、口元が緩む。


「では」


 アランは声を落とした。


「……証拠隠滅の仕方から相談しましょうか、姉上」


 セラフィーナがぎょっとする。


「そんな物騒な」


「誤解しないでください。別に誰かを埋める話ではなく」


「今の流れでそれ以外に聞こえないわよ」


「僕は公爵家の嫡男ですから、使える札と消すべき痕跡を整理する癖があるだけです」


「十四歳でその発想になるの、やっぱりこの家よくないわね」


「まったくです」


 セラフィーナが吹き出した。


 その瞬間、アランは思う。


 ああ、これは悪くない。


 秘密を共有して、共犯になって、両親に隠れてこそこそ相談するのは。


 思いのほか、ずっと悪くない。



 それから二人は、屋敷の中で短い会話を重ねた。


 父と母の前では距離を保つ。

 だが食堂で目が合えば、ほんの少しだけ表情が緩む。


 廊下ですれ違えば、必要最低限の言葉で情報を交わす。


 使用人の中で誰がどちらに忠実か。

 王家と公爵家の間で、誰が何を見ているか。


 アランは知っていることを伝え、セラフィーナは慣れない貴族社会に眉をひそめる。


「思ったより面倒ね、この家」


「今さらですか」


「いや、外から見るのと中から回すのでは違うでしょう」


「回すつもりなんですか」


「一応、公爵令嬢の身体だし」


「適応が早い」


「褒めてる?」


「少し」


 そんなふうに話せる相手がいるだけで、屋敷の空気は少し違って見えた。



 王城から使者が来たのは、それからほどなくしてだった。


 近々開かれる茶会への打診。


 王太子周辺の人間がわざわざ公爵家を訪れるとなれば、父も母も気を張る。


 応接間には余計なくらい花が飾られた。

 母は完璧な笑顔を貼りつけ、父は機嫌よく家の格を語る。

 セラフィーナには、いつも通り黙って美しく座っていればいい、そういう空気だった。


 だがセラフィーナは、そのいつも通りを少しだけ裏切った。


 出しゃばらない。だが黙りすぎない。

 相手の言葉をきちんと受け、自然に問い返し、必要なところで微笑む。

 ただの人形ではなく、会話のできる意思のある令嬢としてそこにいた。


 使者は明らかに機嫌を良くしていた。


「さすが公爵家のご令嬢。聡明でいらっしゃる」


 その一言で、母の笑顔が一瞬だけ引きつった。



 夜、セラフィーナは書斎に呼ばれた。


 アランも同席していた。

 跡継ぎとして、家の評価に関わる話だからという名目だ。


 父が低い声で言う。


「余計なことをしたな」


 母も続けた。


「今まで求めてもできなかったくせに、急に勝手な真似をして。お前は黙って微笑んでいればいいのです」


 セラフィーナは黙っている。

 その沈黙が諦めではないと、アランはもう知っていた。


 だから口を開く。


「それは違うでしょう」


 父と母がそろってアランを見る。

 アランは引かなかった。


「姉上を侮辱するのはおやめください」


「アラン!」


 母が鋭く名を呼ぶ。


 だがアランは構わず続けた。


「本日、王家の使者に最も高く評価されたのは姉上です。結果を出した人間を責めるおつもりですか」


「しかし――」


「しかし、ではありません」


 父の言葉を、アランは初めて正面から遮った。


 書斎の空気が凍る。


「姉上が黙って微笑むだけの人形でいたから、今まで何も進まなかったのでしょう。今日うまくいった。ならば、今までのやり方が間違っていたと認めるべきです」


「貴様、親に向かって!」


「親だからこそ申し上げています」


 冷たく、はっきりと、言葉を打ち込む。


「姉上を失敗作のように扱うのは、この家の品位を下げるだけです。成果を認めることもできないのであれば、公爵家の名が泣きます」


 母が絶句し、父の顔色が変わる。


 だが反論は来ない。


 来られない。


 今日の結果がある以上、感情で押し切るには分が悪いからだ。


 アランはさらに畳みかけた。


「王家の覚えが良くなったことを喜ぶどころか、自分たちの思い通りに動かなかったからと責め立てる。そんな姿を外に見せれば、誰がどう思うでしょうね」


 父が唇を噛む。


 母は扇を握りしめたまま、何も言えない。


 やり込めた。


 胸の奥が少し熱くなる。痛快だった。


「……以上です」


 アランは一礼した。


「姉上を責めるおつもりなら、僕は反対します」


 父も母ももう黙ったままだった。



 書斎を出ると、セラフィーナが隣で小さく息を吐いた。


「あなた、思ったよりずっと容赦ないのね」


「姉上が思っていた僕は、ずいぶん線の細い弟だったようですね」


「うん。もうちょっとこう、繊細で儚い観賞用かと」


「失礼ですね」


「ごめんなさい。でも、助かったわ」


 そう言って笑う。


 その笑顔に、アランは少しだけ目を細めた。


 前の姉がどんな人だったのか、もう分からない。


 それは変わらず哀しい。


 けれど今の姉は、こうして隣で笑う。


 驚いて、呆れて、たまに庶民みたいなことを言う。


 そして自分の隣に立っている。


 それが思いのほか、心強かった。



 廊下の窓の外には夜の庭が広がっている。


 闇の中に噴水の白い輪郭だけがぼんやり浮かんでいた。


「姉上」


「なにかしら」


「その妙な言い回し、今後も矯正していきますので」


「まだそこ言うの?」


「重要です。『うま』は禁止です」


「そんなに?」


「そんなにです。コスパも」


「それはつい口から」


「ついで出る単語ではありません」


 セラフィーナがくすくす笑う。


 アランも、もう笑うことを我慢しなかった。


 さっきまでの書斎の冷たい空気とはまるで違う。


 胸の中にあるのは重さではなく、高揚だった。


 味方がいる。


 この家で、同じ方向を向ける相手がいる。


 それだけで、こんなにも息がしやすいのかと思う。


「では、姉上」


「ええ?」


「次は本格的に反撃会議です」


 セラフィーナが目を瞬かせる。


「本格的って、どこまで?」


「まずは両親の手札と弱点の洗い出しからですね」


「やっぱり物騒なのよ、その言い方」


「安心してください。まだ埋めません」


「まだって言ったわね今!」


 アランは小さく笑った。


「冗談です」


「信用ならないわあ……」


 そう言いながら、セラフィーナの顔は楽しそうだった。


 アランも同じだった。


 今まで自分は、ただ見ているだけだった。

 美しい人形を、遠くから眺めているだけだった。


 けれどもう違う。

 姉は人形ではない。


 自分も、ただの人形でいるつもりはなかった。


 これから何をどう崩していくのか。


 両親にどう報い、どう出し抜き、この家の息苦しさを奪い返すのか。

 考えるべきことは山ほどある。


 なのに不思議と、足取りは軽い。


 隣にいるのが、予想のつかない、生きた姉だからだろう。


 そのことが、たまらなく嬉しかった。


 同じ側に立つ相手がいる。


 それは思っていた以上に、心強い。


「行きましょう、姉上」


「どこへ?」


「共犯者らしく、まずは作戦会議に」


「……ほんとに共犯なのね、私たち」


「ええ」


 アランは迷わず頷いた。


「ようやく、です」



「姉上、少し楽しんでいませんか」

「少しね」

「僕もです」


読んでくださりありがとうございました!

ちらっとでも面白かったらぜひ評価お願いします!

ぽちっとリアクションも嬉しいです^^

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ