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停滞前線  作者:
14/16

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「篠沢が二股かけてるって噂がある」

 登校してすぐに西善はたずねてきた。わくわくしているような口調で、眉をひそめると彼は申し訳なさそうに肩をすぼめる。

「あいつが、誰と誰に二股かけてんの」

「宮田と、お前」

 なに言ってんだ、と即座に返す。確かに一緒に帰っているところを二回くらい目撃されてしまえば、付き合っているのだという話に繋がってしまう。そういう高校生の安直な考え方が僕は大嫌いだ。なんの話でも、色恋沙汰に持っていきたがる。しかもゴシップが大好き。今の時代の高校生は誰でも週刊誌の一つや二つ、楽勝で書けるのではないだろうか。しかし、そうなってしまったらNHKのニュースもすべてゴシップになるのかもしれない。そんなのは御免だ。

「でも早くも噂になってるぜ。そして篠沢が宮田を振ったという噂まで出てる。実際のところは?」

「何も知らない。気になるんだったら宮田に聞きにいけばいいだろ。僕はまったく関係がない」

あっそ、と西善は興味無さそうに言った。僕の言ったことなんて聞いていなかったんだろう。

 授業もあっという間にすぎて、近くの席の奴と弁当を一緒に食べる。そいつがべらべらと喋っているときに、廊下を宮田と紅葉が真剣な顔で通っているのが見えた。そのときは知らなかったのだが、あとで西善に聞いた話だと、彼らは別れ話をしていたらしい。その情報のソースは誰か聞いたが、彼は笑っただけで何も教えてはくれなかった。

 唐突だ、と思う。でも紅葉が二股をかけていたという噂はかなり広がっていたようで、きっとそれが関係しているのだろう。どちらが別れを切り出したのか。僕は紅葉だと思うが、西善は当然宮田だろうと言い切った。でも、人一倍噂を気にする紅葉がその噂を無視するはずがない。


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