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突然話がふられて驚いた。紅葉はこれからどうするべきなのか。頭をぐるぐる捻る。斎藤さんに謝りにいく。性格を一新する。みんなに自分の思ってることを話す。——どれも全く意味がなさそうだった。人のことが考えられない性格なのかもしれない。いいものなんて浮かばない。ぐるぐるぐるぐる。
「じゃあさ、死んでみる?」
言葉は驚くほど滑らかに落ちて、自分でも何を言っているのか理解できなかった。
それもいいかもね、と紅葉が呟いたのが聞こえた。そうすると僕も、そうだろと答えていた。全ては無意識で、本当に言葉に意味なんてなかった。
じゃ、またねと彼女が低い声で言う。じゃあ、と言って僕も歩き出す。死ぬ、なんて言葉がでてきた後のようには見えなく、妙にあっさりとしていた。