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クサミナ物語

作者: ゆきと
掲載日:2025/11/27

ある日私は目覚めると

そこは限りなく広がった広大な草原だった。

そこに1人女の子がいた。

しばらくするとその女の子は私に、

「こんにちは何をしているの?」

と話しかけてきたので、私は起きていたことをとりあえず話すことにした。

気づいたらこの場所にいたこと、なんの記憶もないこと。

するとその子は話し始めた。

「私はクサミナよ。今日は妖精達にサプライズをするためにここに来てたのよ。

でも、どうすれば喜んでくれるかわからないの。」

と相談をしてきた。

私は少々戸惑いながらも考えてみることにした。

「そこにあるお花たちを編んで世界に一つの冠を作ろうきっと喜ぶはずだよ。」

というとクサミナは嬉しそうにお花を集め始めた。

そんな彼女を見届けながら私も花を編み始めた。そして私は数日の間クサミナと過ごす日々が始まった。

クサミナの仲間の妖精とも仲良くなれて私のために今日は宴を開いてくれるそうだ。

それは豪華でまるで人間の私を祝福してくれるようなものだった。

食事も用意してくれていて肉など

沢山のものが用意されていた。それ以外にも歌ったり踊ったりしてくれてそれも容易に少なくとも一般人のレベルは超えていた。

宴のあと私は祝福されながらあの草原へサプライズをしに行く。

私は辺りを見渡した。

そこには広大な空に見下ろせば大地が広がっていた。

私は羽を広げかけつけクサミナの元へゆく。

何をしてるか話しかけると

「私はいま明日の宴のために準備をしているわ。」

そう、明日はまた宴を開く予定らしい。クサミナ曰く新しく仲間ができるとそれを歓迎するために毎回宴を開くのは恒例なのだという。

そんなクサミナを手伝うことにして一緒に作業を始めた。

「あなたは会場の内装とそれに必要な用具をおねがいしたいわ、食事とかのものは私が用意しとくわね。」

と言われ、分担作業を開始していると近くの扉から嗅いだことの無いような不思議な匂いがした。私はそれが気になって部屋をそっと覗いて見た。

すると中には黒いカーテンがあり中に何かがいた。そしてその匂いを嗅いだ瞬間何かを思い出した。

私は元々妖精だった訳ではなく人間であったと。



なぜ…いやそれよりもいつから…?

どうして私は妖精になったことに気づいてなかったの?

そんなことを考えていると、背後から足音がした。

「あなた…これが何かわかるの?」

驚いたような目で私を見る彼女はこう続けた。

「私もあなたと同じ、元々人間であることを思い出した存在、イロハ。昔の名前は彩花よ。」

彩花…人間の名前だ。でもどうしてだろう、私は自分の名前を思い出すことができない。

「まだ思い出してすぐだから、記憶がハッキリとしてないだけよ。とりあえず今はここを離れましょう。」

そう言うと彼女は私を誰もいない小さな部屋に連れて行った。

「この部屋、狭いけど誰も来ないから。」

そう言うと彼女は、静かに扉を閉める。

「わかった、でもどうしてここなの?ほら、狭いしなんか変な落書きがたくさんあるし…」

「あのね、この話は誰にも聞かれちゃいけないの。昔、私の仲間はそのせいで連れて行かれた。あなたもそうなってほしくない。」

「どこに連れて行かれたの…?」

彼女はわからないと言った。

その後、たくさんの事を話した。妖精の中にも階級や様々な能力があるという。能力が強いほど階級が高くなり、会いにくくなるらしい。

クサミナについて聞くと、イロハはクサミナの存在を知らなかった。

「もしかしてそのクサミナ…?って妖精が、あなたを妖精に変えてしまったんじゃないの?!」

どうして私は気づかなかったんだろう、彼女と出会った時は確実に人間だった。クサミナ…彼女が私を妖精にしたのか。でも一体なぜ…何のために?


「ねぇ私、クサミナと仲良いから聞き出せるかもしれない。」



「絶対にやめて!」

イロハは叫ぶ。その声が聞こえたのか、何者かが扉に近づいてきた。

「わ、私がなんとか説得するから!!イロハはここで隠れてて!!!」

外にいた妖精に言い訳をした。すると罰として外から水を汲んでくるよう言われた。イロハが隠れたままになってしまったが、仕方ない。私は素直に外に出て水を汲みに行った。

(その時イロハは何か察したようで、すぐにそこから出てきたという)


「あー地味に遠いし重いしめんどくさいなぁ」

なんてブツブツ言いながら、草原の真ん中を歩いていると、近くにいた1人の妖精が助けてくれた。

その子は上の階級の妖精たちからいじめられた過去があったのだとか。

「うん、わかるよ、わたしだってそうだったもん。つらいよね、しんどいよね…」

え、私…いじめられたことがあったの?

咄嗟に出た自分の言葉に、自分が1番驚いていた。


「もうほんっとに重かったぁ!」

30分後、やっとのことで会場に戻り、私はイロハに愚痴を言っていた。

「あの妖精にさっさと水持ってきなさい!って急かされるし!めっちゃ重いし!まあ周りに赤とか青とか黄色とか、綺麗な花がいっぱい咲いてたから退屈しなかったけど〜」

イロハは真剣な顔をしていた。

「道中に花なんてあったかな…あ、宴のために花を植えたのかな、どうなんだろ」

え、そこ?とツッコミそうになっていると、

「スカスビのやつまたサボりやがって…下の階級のくせに…」

と、上位階級の妖精たちが何か呟いていた。

「妖精界にもいじめとかあるんだね」

イロハ曰く、同じ階級同士はそのようなことはなく、ほとんどが上の階級からの圧力だそうだ。

「そう、私ね!人間時代いじめられてたかもしれないの!さっき唐突に思い出して…」

イロハはにっこり笑った

「人間の頃の記憶が少し戻ったんだね、その調子でいろいろ思い出していこう。いつか元の世界に戻れる方法が見つかるかもしれない。」

私たちはまた1つ、前に進んだのであった。



私とイロハは、妖精の住処へ行くこととなった。定期的に開催される宴は、新参者か高階級の妖精のみで開かれる。私はもう新参者という枠から外されたのだろう。イロハはというと、人間だったという記憶を取り戻した妖精を見つけるために、駄々を捏ねて毎回参加させてもらっていたのだとか。

妖精の住処はファンタジーの世界のような空間だ。悪い言い方をするとアリの巣…でも地中ではなく木の中という感じなので嫌な気はしない。

部屋の中はというと…会場にあったあの狭い部屋と同じような落書きが壁に書かれていた。

「これ…なにが書いてあるの?」

私はイロハに聞く

「それがわからないのよね、ここに来た時はなかったはずなんだけど、いつの間にか増えてて…」

不気味だ。イタズラか、また別の何かか…

「まあ気にしないでいきましょ!もう遅いし、また明日話しましょ」

そういうとイロハは眠ってしまった。

イロハにしては珍しい、何かを隠しているのだろうか。

そんなことを考えていると、私もいつの間にか眠りについていた。


ある日の夜、布団に入りながらイロハは私に話しかけてきた。

「クサミナって子、この近くにいるらしいの。明日はあの会場で宴が開かれるんだけどね、クサミナは行かないらしいの。だから私、クサミナ直接聞きに行こうと思う。」

イロハの手は震えている。きっととても怖いのだろう。

「私も一緒に行くから大丈夫だよ!話せばわかってくれるよ。」

手を握ってそう言うと、イロハは私の手を振り払った。

「あ…ごめん、違うの。どうなるかわからないから、私一人で行くつもり。もちろん何かあってもあなたを売るようなことはしない。」

私は何も言葉が出なかった。

止めなきゃいけない。けどもしかしたら元に戻れるかもしれないと、少し期待をしてしまっている。

「私が帰ってこなかったら、そういうことだから。でもその時は必ずあなたが助けに来てくれる。だから私は行く。」

そしてイロハは布団の下から大きな紙を取り出した。

「これ、あなたならわかるんじゃない?」

そこには不思議な記号が並んでいた。

『アイウエ…』最後は『ン』で終わっている。

「これはね、私たちが元いた世界の言語、日本語のカタカナだよ。今は何が何だかわからないかもしれない。でもあなたの記憶が戻ったらきっと…あの時の部屋や、この部屋にある落書きの意味がわかるはず。私がいなくなっても、解読できればきっとあなたを助けてくれる。だから大丈夫。私を、あなた自身を信じて。」

イロハはそう言うと、眠りについた。

そしてその朝、彼女の姿はなかった。


「イロハ…イロハ!」

私は何も考えずに飛び出していた。

「まだなんの感謝も伝えられてないのに…!」

すると2人の妖精に捕まっているイロハの姿があった。しかし私はいつの間にか立ち入り禁止区域に入っていたらしく、外に連れ出された。

「イロハがいなくなっちゃった…よし、あの落書きを解読できるようになろう…」

「おい、なにをごちゃごちゃ言ってるんだ。お前、名前は?」

私を連れ出した警備員のような妖精にそう聞かれた。私の名前…私は…

パッと出てきたその名前を、なぜか私は無意識に言ってしまっていた。

「私の名前は……


「私の名前は…イロハです。」

私は何を言っているのだろう。しかし警備員は名前を聞くと満足して行ってしまった。

「まあなんとかなったし…部屋に戻ってる解読できるようがんばってみよう」

私は部屋に戻り、ずっと紙を眺めていた。

何日も何日も、ずっと…。


ある日、夢を見た。学校だ。私は机の上で黒板の音を聞いていた。

ここまでしか夢の内容は覚えていないが、人の話声と黒板の文字はハッキリと覚えている。

記憶が戻ってきている。

私はカタカナの表を取りだした。わかる。読める。

早速壁の落書きを見た。消えかかっているものもあり、全部は把握できなかったが、

『ワタシ……ウセイヲハナニ…テシマウ、ソシテ…キオ…ハナクナ…』

読みにくい、でもなぜかわかる。『私は妖精を花にしてしまう、そして記憶はなくなる』、おそらくこう書いてある。

私にそんな力が…?使っていてもその記憶はなくなるわけだから今まで気づかなかったのも理解できるけど…

仮にその力がほんとなら、もっと大騒ぎになっているはずだ。私は気づかれないところでその力を使っていたのか、でもずっと一緒にいたクサミナはなぜ…

いろんなことがごちゃごちゃになって頭が混乱している。今は一旦休もう。明日になったら、また考えよう。そして私は眠りについた。

あれから、何ヶ月経ったのだろうか。私は壁の落書きをほとんど理解できた。

『私は妖精を花に変えてしまう、そして記憶はなくなる』『一度に多くの妖精を花にしてしまうと、その分たくさんの記憶が無くなってしまう』『宴に参加して、私を探して』

たったこの3文にかなりの時間を使ってしまった。しかし大きな収穫だ。私はこれから宴に参加して、同じ運命を辿る妖精を導かなければならない。あの日のイロハのように。


宴に何回も参加しているのに、一向にイベントが発生しない。あの日の私のような子が現れない。でもあそこに書いてあったからにはしっかりやらなければいけない。なぜかわからないけど、そんな気がする。何回も何回も宴に参加し、その日を待っていた。その間、私はふとあの狭い部屋を思い出した。あそこ、今はどうなっているんだろう…

私はその部屋に行った。立ち入り禁止だったが、勝手に入ってしまった。中はもう掃除され、落書きは消されている。

「誰だ!そこにいるのは!」

遠くから声がする。警備員に見つかってしまった。花に変える力を使ってみる絶好の機会かもしれない。私は壁に文字を書いた。

気がつくと目の前には綺麗な花が2本落ちていた。

『イマカラハナニカエル、コレヲミタラオモイダセ』

そう書かれた落書きが壁にある。

「あぁ、私はやってしまったんだな、」

実験は成功した。やり方はわからないが、力は使えることはわかった。この調子でこの力をコントロールできるようになろう。


そしてついにその日が訪れた。

黒いカーテンの中を不思議そうに眺める少女がいる。彼女の手は震えていた。その妖精に近づき、私は優しく囁く。


「あなた…これが何かわかるの?」


彼女は怖がっている。敵でないことを証明しなくちゃ…

「私もあなたと同じ、元々人間であることを思い出した存在、イロハ。昔の名前は彩花よ。」

人間の頃の名前を言っておくと少しは安心できるかな…。彼女は安心した表情をしていたが、名前を思い出せないという。

「まだ思い出してすぐだから、記憶がハッキリとしてないだけよ。とりあえず今はここを離れましょう。」

私は、あの狭い部屋に彼女を連れて行った。

「この部屋、狭いけど誰も来ないから。」

そう言うと私は、静かに扉を閉める。

「わかった、でもどうしてここなの?ほら、狭いしなんか変な落書きがたくさんあるし…」

「あのね、この話は誰にも聞かれちゃいけないの。昔、私の仲間はそのせいで連れて行かれた。あなたもそうなってほしくない。」


それから、いろいろ話をした。そこでふと思った。私が過去にイロハとした会話と同じじゃないかって。これ、ループしているの?その説が正しいとなると、私はこれからクサミナについて聞かれるだろう。あの日イロハは知らないと言っていた。私も知らないフリをしたほうがいいのかな…。

やはり彼女は、クサミナについて聞いてきた。

私は知らないと言った。


「ねぇ私、クサミナと仲良いから聞き出せるかもしれない。」

少女はそう言った。


「絶対にやめて!」

あの日のイロハのように叫ぶ。

すると警備員が彼女を連れて行った。

「全部…過去と同じように動いている…これは偶然なの…?」

私は外に出た。

水を運ぶ彼女を、何者かの妖精が手伝っていた。あんな子、私は知らない。

すると次の瞬間、彼女はその妖精を花にしてしまった。本人は気づいていない。

「もしかして私もしてしまっていた…?記憶が無いだけで…だから無いはずの花が咲いていて…」

帰ってきた少女の愚痴を聞きながら、私は様々なことを考えていた。


しばらくして、私たちは妖精の住処に移った。

部屋は同じだったため、落書きがたくさんある。

落書きについて聞かれたが、私は知らないフリをする。この何日かあと、私はクサミナの元に行き、どこかへ連れて行かれるだろう。

これまでは今までと同じように進んできたが、ここから先どうなるかわからない。その恐怖が私の体を揺さぶっていた。震えが止まらない。


ある日の夜、布団に入りながら私は少女に話しかけた。

「クサミナって子、この近くにいるらしいの。明日はあの会場で宴が開かれるんだけどね、クサミナは行かないらしいの。だから私、クサミナ直接聞きに行こうと思う。」

私の手は震えている。

「私も一緒に行くから大丈夫だよ!話せばわかってくれるよ。」

彼女は手を握ってそう言う。しかし私は彼女手を振り払った。

「あ…ごめん、違うの。どうなるかわからないから、私一人で行くつもり。もちろん何かあってもあなたを売るようなことはしない。」

彼女は黙り込んでいた。傷つけてしまったのかな…

「私が帰ってこなかったら、そういうことだから。でも必ずあなたが助けに来てくれるって信じてるから。だから私は行く。」

そして私は布団の下から大きな紙を取り出した。

「これ、あなたならわかるんじゃない?」

かつてイロハが私にくれたカタカナの表。次は私がこの子に渡す。

そして私は眠ったふりをして、彼女が眠ったのを確認すると部屋を出ていった。


2人の警備員に連れられ、私がたどり着いたのはクサミナの所だった。でもあれは…


あれは、あの姿は…かつて私を助けてくれたイロハだ。

でも服装や雰囲気はクサミナそのものだ。

ねぇ、イロ…いや、クサミナ!どういうこと?!

私は困惑していた。なぜこうなってしまったの?

警備員たちは帰って行き、クサミナと2人で外に出た。

「ねぇ、イロハ。私たちが追っていたあのクサミナはどこ?」

「わからない。どこかに行っちゃったみたい。」

私のほうがわからないよ…でもこのまま色々聞いても埒が明かないから、取りあえず私は話を聞くことにした。

「妖精の最上階級は4人いる。彼女たちには能力があってね、1人は花を妖精に変えることができる。1人は人間の世界とこの妖精の世界をつなぐことができる。もう1人の能力はわかってない。だれも見たことがないの。でも私はその子だと思ってる。」


たしかに…それならすべての辻褄が合う…いや、でも私は元々人間だったのに妖精になったのは一体…。

「あれ?4人って言ったよね。もう1人は?」

クサミナは言った

「私。いや、もうすぐあなたになる。」

私は言っている意味が理解できなかった。

「落ち着いて聞いてね、あなたはもうすぐ私を花に変えなきゃいけない。」

え、どうして…?私は言葉が出なかった。

「私たちは元々花だった。人間なんかじゃない。」

じゃあなんで人間の頃の記憶があったんだろう…。

「私たちは花で…教室の机の上に置かれてたの。そこから彼女たちの力でここまで運ばれた。そして妖精になって…」

授業を見ていた記憶…私はそこにいたただの花。

すべてが繋がった。

でもどうして初代クサミナは何度も繰り返すようにしたんだろう。そうしないといけない理由…もしかして誰かを助けたかった…?だとすると、それはおそらくあの子だ。


能力を使ったがために、自身の記憶を失い、ループしてしまっていることに気づていないあの子を。ループにいち早く気づいたクサミナが、そこから抜け出すためにここまでのことを…。

みんなが彼女の能力を知らないのは、時間が戻ってしまうから。でも私たちはイロハから、クサミナから、何度も何度も繰り返された記憶を引き継いでいる。あの子を救い出せるのは私たちしかいないんだ。

妖精の中でもトップの階級を持ち、このループすべての元凶。でもそれは本人も気づいてない。時間を操る能力を持つ彼女の名前は、ジンチ。

私は彼女の部屋に行こうとした。すると、クサミナ、いやイロハに止められた。

「待って。先に私を花に変えて。」


なんで…?そんなの嫌だよ…

私は必死に拒否したが、イロハは聞いてくれなかった。

「これは決まったことなの。お願い。上手くいけば、みんなが助かる。上手くいかなくても、また会えるから。この後あなたはクサミナと名乗ってジンチに会いに行って。時間操作の能力を彼女に伝えて、ループを終わらせるよう言ってみて。彼女は否定するかもしれないけれど…」

そう言うと彼女は私に手を伸ばした。

その瞬間、私はイロハを花には変えず、彼女の手を取ってジンチの元へ走った。

「なにするの!早くしないと…!」

イロハは手を離そうとしている。

「今までもこうだったんでしょ!同じシナリオに従ってたら、いつまでのループしたままだよ!」

イロハはハッとした表情をしていた。

「たしかに…わかった。2人で彼女の元へ行こう。」


「こんにちは、ジンチさん…だよね」

彼女はとても幼い見た目をしていた。そしてとても怖がっていた。

「怖がらなくていいの、私たちはただ、あなたと話がしたくて。あなたは時間を操れるって聞いたんだけど、その力を使うのをしばらくやめてほしいのよ。」

ジンチは驚いた表情をしていた。そして小さな声でこう言った。

「私、時間なんか操れないよ…?私ができるのは、妖精を花に変えることだけ。」

イロハと顔を合わせた。私は意味がわからなかった。それは私たちの能力なのに。

彼女によると、この世界では死刑というものはない。その代わり、大きな罪を犯した妖精は花に変えられ、また新たな妖精として誕生する。

これが上位階級の妖精によって行われ、今まで秩序が保たれてきたらしい。

「じゃ、じゃあこの世界のループはなんなの?!私たちがずっと繰り返されてる理由は…」

彼女は言った。

「時間を操っているのは、あなたたちの方なんじゃないの?」


どういうこと?私たちはたしかに花に変えることができたし…

「だから、あなたたちは時間を操っていただけ。花に変えていたのは、その妖精が花だった頃まで巻き戻しただけだよ。ループしているのは、あなたたちの周りだけ。この世界自体の時間はしっかりと進んでいるんだよ。」


全く自覚がなかった。私たちがループしてしまっていた。私と、イロハと、クサミナが存在して…イロハはクサミナになる…。

「どうしたら抜け出せるんだろう、私たちもうこのループから抜け出したい。」

「そう、なら…」

ジンチはそう言うと、私を花にしてしまった。

「なんてことをするの!」

クサミナとなったイロハか叫ぶと、ジンチは不思議そうな顔をした。

「え?ループから抜け出すには、今までになかったルートを辿らないと。大丈夫よ。死んだわけじゃない。」

「でも記憶はなくなる!あの子を1人にしてあげたくない。私も花に戻る!」

そういうとクサミナとなったイロハは自分自身の時間を戻した。自分の記憶の部分だけ、戻ってしまった。

私とクサミナとなったイロハは2人とも記憶をなくしてしまった。

かつてのイロハは自分がクサミナだという記憶だけを残し、平穏に過ごしていた。


ある日私は目覚めると

そこは限りなく広がった広大な草原だった。

そこに1人女の子がいた。

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